USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか? (角川文庫)
- KADOKAWA (2016年4月22日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041041925
感想・レビュー・書評
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ジリ貧だったUSJを起死回生させたマーケター森岡氏。なにしろマーケターという言葉すら知らなかった私は、利益云々とは対極にありそうな仕事をしているものですから、ビジネスの話に疎いのです。しかしこういった話が常にそうであるように、何もビジネスだけに限った話ではありません。変化を起こさないのは無難。でもときには変化を起こす必要性がある。こだわりを持つのは悪いことではないけれど、こだわるポイントをまちがえていないか。人にあれこれ言う前にまずは自分自身でやってみろ。『夢をかなえるゾウ』と併せて参考にしようかしらん。
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読む順序は逆になってしまったが読了。
USJの起死回生のストーリーがマーケティングプロセスを通して、
分かりやすく理論的に書かれており、非常に読み応えがあった。
「USJを劇的に変えた、たった一つの考え方」の方が、
読んでいる時のワクワク感と説得力はあったかなと思う。
つくづくマーケティングの魅力に惹かれる一冊。 -
USJが経営危機から脱するためのアイデア創出する過程を知ることができた。
アイデアは1から作るのでは無く、既存のものをアップデートしていくことが大事である。 -
森岡さん著「イノベーション・フレームワーク」
森岡さん処女作。「認知」を高めるため。そのためにメディアに取り上げてもらうため。そのために成長企業として認識してもらうために、このビジネス書を書いた。
目次
1〜5 森岡さんの苦労話・本題の前の具体例事前提示
6 本題 アイデアを生む方法
7 2014年ハリポタの宣伝
6 アイデアの神様を呼ぶ方法
・クリエイティブな人間ではない、右脳人間ではない人がなぜこれほどアイディアを出せるのか。
・偶然性をできるだけ排除して、合理的に確率を上げる
・イノベーションフレームワーク:アイデアを生み出す確率を高める。
①フレームワーク
②リアプライ
③ストック
④コミットメント
①フレームワーク:「どこに宝(アイデア)が埋まっているか」に予想をつける戦略眼
重要なこと:何を必死に考えれば良いかわかっていること。(漠然と広すぎる可能性から探すのは効率が悪すぎる。)①良いアイデアとはどんな条件を満たすアイデアか ②それらの条件を組み合わせて良いアイデアを探すにあたっての着眼点をどこに定めて脳のCPUを使うべきか。
⑴戦略的フレームワーク
⑵数学的フレームワーク
⑶マーケティング・フレームワーク
⑴戦略的フレームワーク 写真1,2
戦略を考える時のフローを利用して、考えるアイデアの必要条件を導き出す方法。目的→戦略(=必要条件)→戦術(=アイデア)の3段階をその順番で考える。
目的を明確に定義
戦略:経営資源をを何に集中するか選んで決める。その戦略こそがアイデア(=戦術)の範囲を決める「必要条件」そのものとなる。
弱点は戦略オプション同士を比べただけでは戦略を選べない。各戦略の戦術も考えて、さらに実現可能性まで考えてやっと決めれる。
戦略の意思決定をできるだけ早く行うこと。より長い時間を戦術の実行に費やしたい。
⑵数学的フレームワーク 写真3枚目
ロジックそのもの。
戦略的フレームワークでいうところの「目的の設定」。
数学的思考で因果関係を論理的に分析。
「重複のないように」分けて考える
②リアプライ
世界中からアイデアを探す。同じ問題にぶつかっている人はいないか?
自分自身で0→1で作りたいなんて個人のエゴ。圧倒的に効率が良いのはパクる。
③ストック
情報の量的質的蓄積
④コミットメント
どれだけ必死に考えられるか、精神論。
アイデアは絶対に見つかると自己暗示。
1〜5
・必要条件を出して逆算。解決策を発想するための必要条件を洗い出し、あとはなぞなぞを解く要領で。
・ピンチな時こそ強気。攻めの姿勢。
・ピンチであっても戦略的な発想方法があれば執念でアイディアは降りてくる。
・消費者理解。消費者目線。
・考えてからやるではなくて、動きながら考えるってのもあり
1
・USJ再建のための取り組み
3段ロケット、①最大のボリュームゾーンファミリー層を取り組む→2012年ファミリーエリアの建設、②関西依存の集客構造からの脱却→2014年ハリーポッター、③会社のノウハウを複数の場所に展開
2011年と2013年は最低限の予算で乗り切る。
2 3
・2011年の話
・差別化という名の誤ったこだわり。当初映画専門のテーマパークであることのこだわりがあった。TDRと差別化を図るため。しかし実際にはTDRとは競合にはならない。なぜなら、東京と大阪の間に交通費3万円の川が流れていたから。映画だけでは狭すぎて目指している経営規模(来場者1000万人以上)に見合わない。
・2011年 10周年。お金かけずに行く。ハッピーサプライズ。①アトモスフィア・エンターテインメント(フラッシュモブ)②トリックアートをパーク中に散りばめる③ワンピースのショーを大々的に宣伝
・【ピンチな時こそ強気。攻めの姿勢。】
【ピンチであっても戦略的な発想方法があれば執念でアイディアは降りてくる。】
しかし、3月11日東日本大震災によりエンターテイメント自粛モードに→施策:「関西から日本を元気に」をコンセプトに。反感を買わないように。→子供達をUSJに招待します。キッズフリー。
これによりUSJに行くことは正義であるとという前提にさせる。
→田中の感想。すごい。言葉の使い方重要。言い方によっては「この自粛モードに不謹慎だ」って反感を買う。女の子持ち帰る時に女の子に言い訳を与えてあげる感じみたい。言葉一つである行動(USJに遊びに行く)を不正義から正義に変えてしまう。
・【消費者理解。消費者目線。】
もう一つ施策:ハロウィンホラーナイト。夜になるとパークにゾンビ出現。非日常体験。ストレスが溜まっている日常、日本の女性のおとなしくいなければならない圧力からの解放。叫んでもいい環境。
・【考えてからやるではなくて、動きながら考えるってのもあり】
当時の大人気ブランドモンハンへの営業の話。
4 ターゲットを疑え!
・2012年の話 ファミリーエリアの建設
・子供に優しくないテーマパークだった。ファミリー層を取りこぼす。
5
・2013年の話 低予算で乗り切る
・リノベーション戦略:スパイダーマンを4K3D化
・リアプライ:アイディアを真似る。(パクリはそのまま真似ること)
・ハリウッド・ドリーム・ザ・ライド〜バックドロップ〜、後ろ向きジェットコースターの誕生
→田中の感想。ひたすらに考え続けて、寝ている時間以外常に考え続けて、最後後ろ向きのジェットコースターが夢に出てくるというのは、それだけそのことについて考え続けた結果。すごい。 -
現状に対して問題意識を持って、その問題を解決しうる何らかの打ち手を考え抜いて定め、細部にこだわりながら実行するプロセスや考え方がとても参考になった。
と同時に、森岡さんの経済とか社会貢献に対する捉え方については完全には共感できないところがある気がした。
自分も消費者として感動する体験とか最高級のエンターテイメントを求めていることは事実であり実際に森岡さんがリニューアルに携わった西武園ゆうえんちに遊びに行ったりもするが、商業的に作られたコンテンツよりは、その地域固有の文化とか生活の営みに触れることを通して視野を広げられることの方が自分にとっても世の中にとってもより有意義なのではないかと思う。前者はどこまで行っても消費者は消費者だけど、後者であれば消費と生産の行き来が起こりやすいと思う。
そう言う意味では、なんとなく消費意欲の喚起とか操作をイメージさせるマーケティングって実はあまり有意義ではないのではないか、とか、もしくは自分がまだマーケティングを正しく理解できていないのか、とか、疑問に思ったりもする。
別の番組で森岡さんが沖縄でのアミューズメント開発に尽力されていることを知りましたが、上記のような観点でその土地の文化なども織り交ぜながらぜひ沖縄や日本の活性化に繋げてほしいと改めて思った。 -
面白いかつUSJをうまく宣伝している。
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森岡さんがいつも使っているマーケティングフレームなどのアイディアの考え方が、多くの方にとって役に立つものになると思います。
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大半はUSJの改革を時系列的に解説したもので、筆者の苦労や課題に対しての対処がわかりやすく記されている。
第6章は第1章~5章で記された改革の際の考え方を分析したもの。USJに関わらずどの仕事でも応用できそうであり、それだけでも読む価値はある。 -
マーケティングに興味が湧いた。
勉強しよう。
会社経営に携わるのもおもしろそう。