- Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041042038
作品紹介・あらすじ
書き、呑み、読み、買い、眠り、時々笑って、時々怒る――。なぜ平凡な日常がこれほど面白いのか。多くの作家を魅了する、当代の無頼作家・西村賢太が描く不思議な味の日記文学! 2015年7月~2016年6月
感想・レビュー・書評
-
シリーズ五作目となるが、相変わらず何時に起き、何を食い、酒をどれほど飲んだかなどがメインではあるものの、時折挟み込まれる感情丸出しの悪口や、ちょっとした事で涙が出るほど嬉しがったりしているところに惹かれてしまい、何故か飽きることなく読ませる筆力に感心する。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
図書館借り出し。
面白いんだよ。
死ぬなよ。 -
エッセイとかではなくただの日記である。
他人の日記を読むと言うことは人の生活を覗き見しているかのような若干の後ろめたさと、少しの興奮があるとはおもうが、彼に関しては奔放すぎてそんなことはどうでもよい。ただ、喧嘩を売って、文句を垂れ、手製のなにかを作り、宝を呑んで、小説を書く。それだけだ。それを淡々と書いているだけだ。なぜだ、なぜこんなものを最初から最後まで楽しんで読んでしまうのだ。不思議だ。 -
「ただの日記」をまとめた『一私小説書きの日乗』も、本書で第5弾。
前作から定価が2000円を超えるようになり(税込みで)、「こんな中身の薄い本で2000円は高いなァ」という印象が拭えない。このシリーズはもう文庫オリジナルにすべきだ。
中身は相変わらずで、会った人、書いた原稿、食べたものなどが淡々と記録されていくのみ。
このシリーズで読者としていちばん面白いのは、各出版者の編集者との生々しいやりとり。とくに、賢太は相手と険悪なムードになったことも包み隠さず書くので、そのへん、他人の口喧嘩を横目で見るようなスリルが味わえる。
とくに本書では、賢太の天敵のような存在であるらしい『新潮』の編集長を口汚く揶揄する言葉が、くり返し登場する。
さすがに名前までは書いていないのだが、「こんなことを書いていながら、よく新潮社にホサれないものだなァ」とある意味感心する。
『新潮』に限らず、編集者から見たらつきあいにくい作家であるはずなのに、賢太が仕事に恵まれているのも、思えば不思議である。
そんなに本が売れるわけでもないだろうに、本書のような「ただの日記」が着実に書籍化され、連載もいまだに続いているのも、不思議といえば不思議。なんだかんだ言っても「人気作家」なのだな。 -
飲み食いと買淫の日記といいたいところだが、日記レベルにも達しているとは言えない。いわば無意味な記録。これが延々と続く。芸もなければ見せ場もない。無味乾燥な文章なのだが、なぜか食欲が誘われ性欲がそそられる。ここは流石と言うべきところ。加えて読者には、逆に欲の抑止力ともなっているのが凄い。不思議なテイストに誘われどんどんページが進む。不屈の章になってこれまでと大きく違う点に気付く。北町貫太がすっかり鳴りを潜めているのだ。買淫は2か月もなく波乱に一つもない。ハラハラ動悸を打つこともなく安心して読めるようになりはしたが、どこか一抹の寂しさも漂う。
著者プロフィール
西村賢太の作品





