- Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041042045
作品紹介・あらすじ
ハイヒール、豪華な毛皮、脚線美、これらすべて男の特権。そして、昔だろうが男だろうが、おしゃれは我慢だった! 「怖い絵」シリーズの中野京子が、絵画に描かれた男性の当時の最先端ファッションを斬る!
感想・レビュー・書評
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山岳ばかりで寒冷なスイスは極貧に喘ぎ、14~18世紀には男たちは傭兵として出稼ぎをするしかなかった。それにしても、スイスの傭兵のファッションの奇抜さは群を抜いている。体半分で模様が違う服を着ているし、動きやすいように腕のスラッシュ(切れ込み)を入れたのも彼らが最初らしい。「俺らは命を懸けてんだぜ、どんな服装をしようと文句あるまい」とばかり、派手さはエスカレートするばかりだったという。日本のバサラみたいである。ルイ14世の赤いサンダル、美脚を見せるタイツ姿、気持ち悪いねえ。フェルメールの「地理学者」が着ているのは、日本の丹前らしい。驚いた。12世紀に流行った貴族のトンガリ靴も凄いなあ。これで前蹴りをすると、相手を刺し殺せるかも。いやはや、いろんな流行を見ることができて、西洋絵画も面白い。30編。
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「名画」というのは、映画ではなく絵画のほう。
怖い絵の本をたくさん出している中野さんだが、この本はちょっとユーモラスだ。
女性のファッションについては語りつくされた感があるので、男性のファッションに注目してみる、という形で絵画を楽しんでみましょう、ということ。
主に14世紀から19世紀くらいの間、特に、宮廷で男も孔雀のように着飾っていた時代が多い。
いつもは、「そういう時代だから」とあっさり流したり「名画だから」とありがたがって、あえて突っ込み入れないのだが、たしかにファッションというものは、流行が変わってみると、「何であんなものがはやったんだろうね」と、気恥ずかしくなってしまうものだ。
そして、「へ~!へ~!」と、昔のテレビ番組のようにボタンを連打したくなってしまうほど、面白い薀蓄がたくさん書かれている。
「ヒゲ」という漢字が3種類ある訳とか、「股袋」「骸骨服」などという、しょもないセンスの日本名とか…
そして、男は脚線美!
おもしろくてためになる本です。 -
『怖い絵』の【中野京子】女史が、名画に描かれた男性ファッションを、豊かな想像力で語り紡いでいる。絵画のモデルとファッションの煌びやかさに酔いながら、歴史絵巻を紐解くように30篇の物語が愉しめる。
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当時の流行や社会情勢など様々な理由が体系的にまとめられているわけではないので、詳しく知るための本というより、一つの絵をファッションという観点からちょっと詳しく見てみるライトな本という印象。
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文体のおかげと、ページ辺りの文字数が少ないでサクサク読めた。取り扱ってる絵の量も多く国も時代もバラバラなので幅広く楽しめる。
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<閲覧スタッフより>
西洋絵画に描かれた女性…ではなく、男性のファッションを取り上げ、当時の流行や着用の不便さ、時代背景などを解説します。「超尖ったクツ」や「脚線美は男性のもの」など、現代との感性の違いに驚きます。
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所在記号:文庫||723||ナカ
資料番号:10233267
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ふむ
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軽い読み物。暇つぶしに良かった。
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さすが中野先生
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軍服、命 ジャック・ルイ・ダヴィッド『アルプス越えのナポレオン』
エリマキトカゲ……ではない フランス・ハルス『聖ゲオルギルス市民隊幹部の宴会』
ダンディ、かくあるべし ジョバンニ・ボルディーニ『ロベール・ド・モンテスキュー伯爵の肖像』
お下がりでも貴重品 伝ピエトロ・アントニオ・ロレンツォーニ『大礼服姿の少年モーツァルト』
聖書時代のパンク レオナルド・ダ・ヴィンチ『洗礼者ヨハネ』
派手なスイス傭兵 伝ヨハネス・ルドルフ・マヌエル『傭兵』
お洒落な丹前 ヨハネス・フェルメール『地理学者』
若者しか似合わない ヘンリー・ウォリス『チャタートンの死』
悪趣味のきわみ ティツィアーノ・ヴェチェリオ『皇帝カール五世と猟犬』
道化は目立つべし ヒエロニムス・ボス『愚者の船』
海賊らしさ ハワード・パイル『キャプテン・キッド』
セーラー服王子 フランツ・ヴィンターハルター『アルバート・エドワード王子』
ここまで尖らせずとも… ファン・デル・ウェイデン『著作の献呈を受けるフィリップ善良公』
美脚には赤 イアサント・リゴー『フランス王ルイ十四世の肖像』
太陽王に負けたくない ヤン・トーマス『芝居の衣装をつけた皇帝レオポルト一世』
フツーのズボン ルイ=レオポール・ボワイー『サン・キュロットの紛争をした歌手シュナール
』
悪魔よりもっと派手 ミヒャエル・パッハー『聖アウグスティヌスと悪魔』
正統・化粧男子 ジャン・オノレ・フラゴナール『ぶらんこ』
スリの守護神 ジョシュア・レイノルズ『巾着切りのメルクリウス』
重宝この上なし フランシスコ・デ・ゴヤ『アンダルシアの散歩道』
髭に名を残す アンソニー・ヴァン・ダイク『馬上のチャールズ一世とサン・アントワーヌの領主』
ブランド・バッグ? ヤコブ・ファン・オースト『ゴリアテの首を持つダヴィデ』
刺青の勇敢戦士 ベンジャミン・ウエスト『ウルフ将軍の死』
もじゃもじゃ イアサント・リゴー『マンサールの肖像』
痒くても我慢 ハンス・ホルバイン『大使たち』
イコンとなったコサック 逸名画家『コサック』
服を着るのも大仕事 カルロ・クリヴェッリ『聖ロクス』
着ぐるみファッション ウィリアム・ブレイク『蚕の幽霊』
粋な横縞 アンリ・ルソー『フットボールをする人々』
有終の美も軍服 ミハーイ・ムンカーチ『ハンガリーの軍服姿の皇帝フランツ・ヨーゼフ一世』