木島日記 もどき開口

  • KADOKAWA (2017年11月2日発売)
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本 ・本 (568ページ) / ISBN・EAN: 9784041042212

作品紹介・あらすじ

圧倒的スケール感!シリーズ最大の「仕分け」を見届けよ。

「こう。こう。こう。」
死人が蘇る。現世と黄泉の境界が崩れ始める――。
民俗学者・折口信夫の元に居候する美蘭(メイファン)が書き始めた「明後日の日記」。そこには未来の予言が記されていた。
大量の水死体発見、謎の映画製作、黄泉から蘇るアナキスト、意外な姿での春洋の帰還、仕分け屋・木島と恋人・月の暴かれる真実……。
死者と死者が交錯し、折口も木島も、誰もが「物語」に呑み込まれてゆく。虚実入り乱れる世界から一体、抜け出せるのは誰か。
鍵を握るは、父なる師――柳田國男。

装画:森美夏/装丁:鈴木成一デザイン室

感想・レビュー・書評

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  • ドグラ・マグラと同じ様に読んでいる人間を彼岸の彼方へ連れ去る。しかも、恐ろしい勢いで引きずり回す。自分が何処にいるのか分からなくなる。物語の複雑さに反して最期の光景がシュールというか爽やかで笑った。
    どの人間も自分だけの物語の中で生きている事を嫌って程に思い知らされる。思い知らせてくれる柳田さんは嫌悪を通り越してカッコよく思えた。

  • 彼岸と此岸、映画と現実、生者と死者が入り混じり自分が今読んでいる部分はどこなのだろう?と混乱しながら読みました。
    コミックの三部作を読んでいないので新たに登場する人物に「どちらさま?」となることもありました。
    この本は三部作も読まないと分からない作品だったのでしょうか…。

  • いつの間にか出ていた.それにしても分厚いなぁ.ゆっくり読ませてもらいます.

  • 森美夏さんの北神伝綺と木島日記が好きだから読んだ。
    二つの物語の登場人物たちが活躍するのはうれしい。
    前半は夢十夜のようにシーンが飛び飛びで読みにくい。
    折口の性癖描写は気持ち悪い。
    兵頭北神が出てきた辺りから少しずつ面白くなった。
    エロとグロと民俗学でサブカルチャー!って感じの本だった。

  • 太平洋戦争直前の不穏な時代の物語。民俗学のモチーフをたっぷり盛り込まれ、それに加えて国家論や国民論も合わさる奇書と言ってもいいのではないだろうか。民俗学の知識がなくとも読めるには読めるが、基礎ぐらいの知識があればもっと楽しめたかもしれない。柳田國男や折口信夫のことも知っていれば尚更面白く読めるだろう。
    思惟小説と言っていいだろう。国家論として、日本の近代化が論じられている。『明治へと社会が大きく変わり近代化を果たすが、日本という国家は皆があるかのようにふるまうことでかろうじて成り立つ国である』辛辣であるが的を得ているではないだろうか。
    この世界には、もう一つの見えない世界がある。民俗学はその見方を示してくれるようだから、興味を引いている。

  • まさか2017年になって新作が出るとは思わなかった『木島日記』。本書で完結編となる。
    文庫の新装版でひさしぶりに前2作を読み返し、新作に手をつけたのだが、一番驚いたのは文体の変化だった。前2作は良くも悪くも『漫画版を読んだ人』向けのノベライズという印象が強かったのだが、本書はシリーズの特徴を踏襲しつつも、『小説』として完結している。そこが一番の違いだろうと思う。
    ※どちらが良い・悪いという話ではない。

    ところで、旧版の単行本はどちらもハードカバーだったので、本書と並べるとちょっと統一感が無いのが残念。まぁ、この厚みの本をハードカバーにすると、重たくてかなわないのも事実なのだが……。

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著者プロフィール

大塚 英志(おおつか・えいじ):大塚英志(おおつか・えいじ):1958年生まれ。まんが原作者、批評家。神戸芸術工科大学教授、東京大学大学院情報学環特任教授、国際日本文化研究センター教授を歴任。まんが原作に『アンラッキーヤングメン』(KADOKAWA)他多数、評論に『「暮し」のファシズム』(筑摩選書)、『物語消費論』『「おたく」の精神史』(星海社新書)、他多数。

「2023年 『「14歳」少女の構造』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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