PTAグランパ!

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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本棚登録 : 184
感想 : 32
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  • Amazon.co.jp ・本 (262ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041042236

作品紹介・あらすじ

勤続43年、無欠勤。元モーレツ社員67歳。小学校PTAの副会長に!?

大手家電メーカーを定年退職した、いわゆる元「モーレツ社員」の武曾勤。悠々自適の隠居生活……のはずが、商社勤めの娘が、小学一年生になる孫娘と共に出戻った。さらに、勤は娘の代理で青葉小学校PTAの副会長を務めることに。会長は24歳金髪のギャル男、もう一人の副会長は気弱な主婦。勤は「PTAなぞ暇な主婦のお仕事ごっこ」という認識で、敵を作らぬわけがない。早速、会計監査でママ集団のボス・雅恵に目をつけられる。形だけの総会、子連れの居酒屋打ち上げ、運動会に夏祭り……勤には到底理解できない出来事と、トラブル満載のイベントが続く中、信頼していた教師がある事件で起訴されてしまい……。

時間労力愛体力を仕事に捧げてきた昭和の男が、子供と家族、自分自身と向き合う一年間!
期待の新鋭が描く、優しい気持ちになれるPTAエンタメ。

感想・レビュー・書評

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  • よくある話みたいに感じました。
    それが面白かったです。
    以外性があればもっと面白いと思いました。

  • 世間では、任意の活動、やりたい人でやればいいというように言う人もいて、PTA活動に厳しい環境。確かにPTA活動自体に、経年のマンネリ化で「活動のための活動」、「会議のための会議」、といった改善するべき課題もたくさんあると思う。それでも、この作品はPTA活動に対してポジティブ。もちろん誰だって負担が増えることはやりたくないし、関わり合いになりたくない。
    でも、PTA活動の根底には「子供たちのために」という大原則がある。そこさえ履き違えず、且つ主体的に関われば、武曾氏のように「やって良かった」と思えるのではないでしょうか。「疲れる」のは当然、でも、嫌々するのではなく、活動自体を楽しむことができれば何か得るものがある、そんな風に思わせてくれる作品でした。

  • 美談にすんなよ

  • PTAはこどもがいる方から通る道。身近な話で
    うんうんと頷く懸案ありで、楽しく読みました。

  •  現役時代は大企業の営業本部長まで勤めたモーレツ社員だったが家事・育児は妻に丸投げ。定年後は暇を持て余すただの頑固親父。ただし孫娘に甘い。

     そんな武曾勤が、古稀目前にして小学校のPTA組織を舞台に奮闘するさまをコミカルに描いた作品。

         * * * * *

     元モーレツ社員だった熟年男性や義務教育機関のPTA組織は、小説やドラマのネタになることが多いようです。
     それだけ問題を多々抱えているからでしょうし、客観的に見れば、それらは滑稽に映るからでもあるのでしょう。垣谷美雨さんや加納朋子さんの作品を読めばよくわかります。

     本作は、その2つの要素が盛り込まれた作品で、頷いてしまうところが多かった。

     結局、問題を解決するのは人であり、その人に柔軟性があるか否かなのだと思いました。

     勤はまっすぐだが、自己を顧みて反省すべきはするという柔軟性を持っているし、PTA組織のラスボスの雅恵にしてもそうでした。
     だからこそ、あれほど異色のメンバーの執行部が、うまく回ったのだと思います。

     全員参加を強制するのでなく、メンバーそれぞれができるところを互いに融通つけあって、協力して運営に当たる。そんな思いやりが却って組織を活性化させるし、活性化した組織は人を成長させるのではないでしょうか。
     担任教師の痴漢冤罪というおまけがついたため焦点がぼやけてはしまいましたが、そんなメッセージを感じました。

     ただ、松平健主演でテレビドラマ化されたという情報を先に知ってしまったため、頭の中では松平健がストーリーに合わせて動き回っていたのには、ちょっと参りました!(吉宗より頼りなかったのはよかったのですが……。)

  • 評価は4.

    内容(BOOKデーターベース)
    大手家電メーカーを定年退職した、いわゆる元「モーレツ社員」の武曾勤。悠々自適の隠居生活…のはずが、商社勤めの娘が、小学一年生になる孫娘と共に出戻った。さらに、勤は娘の代理で青葉小学校PTAの副会長を務めることに。会長は24歳金髪のギャル男、もう一人の副会長は気弱な主婦。勤は「PTAなぞ暇な主婦のお仕事ごっこ」という認識で、敵を作らぬわけがない。早速、会計監査でママ集団のボス・雅恵に目をつけられる。形だけの総会、子連れの居酒屋打ち上げ、運動会に夏祭り…勤には到底理解できない出来事と、トラブル満載のイベントが続く中、信頼していた教師がある事件で起訴されてしまい…。時間・労力・愛・体力を仕事に捧げてきた昭和の男が、子供と家族、自分自身と向き合う一年間。

    過去の地位にすがりつくありがちな男性像で思わず「あるある」と。この男性もバツイチで社会で闘う娘とかわいい孫に育てられて普通のおじいちゃんに。
    男も女も働けば辛さも大変さも一緒なんだけど・・・・

  • シングルマザーで仕事が激務の娘の都に代わり、孫の友理奈の小学校のPTAの副会長をやることになった武曽勤、67歳。

    長年のサラリーマン時代に染み付いた経験からなかなか抜け出せず、PTAでの空気を読めない発言や行動で周囲を困惑させる事態。

    3人の子育てを家事とパートとPTAと、毎日てんやわんやの
    気弱な内田順子に、バイトと主夫をやる若いパパの会長、織部結真。

    その他のPTA幹部の女たちの圧力や、会社とは少し違うPTAという保護者たちによる独特な組織で
    初めは考え方も立場の違った人たちが、力を合わせて子供たちのために活動していく様子。

    働くママの都が、パート主婦の順子を攻撃するシーンが怖かった。
    確かに都の言うことは正論だけど、正論だけが正しいとは
    限らないんだなあ、と。
    立場は違うけど、子供を育てているというところは同じで、子供たちの未来のために今自分たちができることは、それぞれあるよね。

    先生の痴漢冤罪のは突拍子もないような印象だけど。
    ドタバタ劇のような雰囲気。

  • 意外な良作です。というととっても失礼な感じがしますが、会社で活躍したおじいちゃんがPTAに参入し、周囲をひっかき回しながら次第に絆を深めて、そして本人も変わっていくというような話を想像すると思うのですが、びっくりするぐらい想像の域を出ない本です。ほぼその通りと言っても過言ではありません。
    しかしその予測出来過ぎる内容の中に、色々なエピソードや事件を効果的に配列して、人間関係の構築をしっかり回収していくのがとってもスムーズ。しかも親子関係の確執や過去の自分への悔恨も無理なく盛り込まれて、思わず胸も熱くなったりしました。
    デビュー作「お父さんと伊藤さん」でも感じましたが、ディフォルメしつつもシンプルに人の気持ちを描くのが上手い人だと感じました。

  • 初めましての作家さん。小学校の役員を引き受けたタイミングで気になるタイトルを図書館にて発見。
    と、孫の為に役員を引き受けたおじいちゃんが主役だっとは!ドラマ化されていてそのおじいちゃんが松平健とはこれまたはまり役だこと。物語が進むにつれみんな温かい人だと気付く。ドラマのパート2も見てみたいと思った一冊。

  • 会話で進行する部分が多く、脚本のような印象。PTA経験者ならば、あるあるがいっぱい。

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著者プロフィール

1969年東京生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。出版社勤務の後、劇作家として活躍。2007年「ミチユキ→キサラギ」で第3回仙台劇のまち戯曲賞大賞、12年「春昼遊戯」で第4回泉鏡花記念金沢戯曲大賞優秀賞を受賞。13年に『お父さんと伊藤さん』で第8回小説現代長編新人賞を受賞し、小説家デビュー。著書に『おまめごとの島』『星球』がある。

「2017年 『PTAグランパ! 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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