ハリネズミ乙女、はじめての恋

著者 :
  • KADOKAWA
3.76
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感想 : 28
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041042359

作品紹介・あらすじ

嶋本好花(シマモトコノカ)19才。コノカが大阪にうまく適応できなかった原因は、おばあちゃんの代から続く芸人一家だということ。
関西中の人に、嶋本一家は知られており、そのため「なんかおもろいこと、やってみてや」攻撃にあうことしょっちゅう。その上5つ上のお兄ちゃんが人気漫才師になったことでさらに面倒に。
すっかり誰も寄せ付けない精神的引きこもり高校生になったコノカの夢は、東京に出て、だれも自分と自分の家族のことを知らない中での生活……「匿名生活」をおくることだった。
ドジでお世間知らずのコノカは、居酒屋のバイトもクビ。生活に困っているというのに、ふわふわと夢見ている乙女気質は直らない。
そんな中、通りかかったペットショップで1匹の白いハリネズミに心惹かれる。なぜか、そのハリネズミ……ハリくんの言葉がわかる! しかも大阪弁! 
優しくてピュアなハリくんとは、親友になった。そのペットショップで働き、毎日ハリくんとおしゃべりできる、不思議に充実したハッピーライフだったが……。
ハリくんとの会話を客に目撃され、ツイッターに動画をあげられ、「ハリ乙女」というあだ名が付き、一躍、時の人に。
勢いでハリくんと腹話術師としてデビューすることに! 最初はとまどっていたが、やってみると、芸人一家のDNAが開花。
大好きなハリくんといつも一緒にいられる、大勢の人に喜んでもらえる。いつのまにか暗い女の子でなくなり「かわいいものにかこまれたキラキラした生活をする」という夢もかなった。
満ちたりた生活の中でハリくんとの関係はまるで恋人のように。
しかしハリくんに異変が。病気? 超常現象? ハリ乙女の人気をねたんだだれかの嫌がらせ? 
だがしかし、それはコノカが幼少時代に大切にしていたある絵本と深く関係していた――。
過去の暗い自分から続いている覚めない夢……。
シャイで不器用、傷つくことが怖くてたまらない女の子が、やがて生きることの温かさを知る、涙なしには読めない恋と友情の物語。

感想・レビュー・書評

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  • これはすごくいい!もうもったいぶったオススメの言葉や小難しい評価や、そんなあれこれすっとばして、とにかくいい!
    白ハリくんのかわいらしさ、コノカちゃんのいじらしさ、2人のヒミツ、そしてそして星野くんの不器用さ、周りの大人たちのやさしさ。もうどこをどう切り取ってもピュアな愛しか見えない。
    これから大人になる10代に読んで欲しいとも思うけど、それよりも最近あれこれをこじらせがちなオトナたちへ、とにかく読んでみ!といいたい。これ読んで白ハリくんと暮らしたいって思わない人はちょっとそこに正座してもらうからね。

  • 芸能一家に生まれたこのかは、小さな頃からからかわれいじられ、いじめられ、下心ありありの人たちに声をかけられ、高校卒業後、一念発起して誰もこのかを知らない東京に行く。

    バイトを首になった日、ペットショップで出会ったのはコテコテの大阪弁を話すお笑いファンのハリネズミくんだった。

    〇テンポ良くストーリーがすすむ。内気と言いながら頭の中では、ひっきりなしに突っ込み倒しているところは芸能一家の娘らしい。
    ペットショップ、芸能界と仕事をこなしながら成長していくお嬢さん。応援したくなる。
    〇このかちゃんの一般フォロワーとこのかちゃん自身が薄々思っていたように、ハリネズミくんと忙しいお仕事というのが、ちょっと胸が痛い
    〇何となく、このハリネズミくんはこのかちゃんのためだけのハリネズミくんなのかなと思う

  • ちょっと内気なコノカちゃん
    東京に来て、ペットショップで働いて、大好きなお友だち(ハリネズミだけど)が出来た!
    少しずつどんどん明るくなって 自分の針もなくなって、、、、

    ハリネズミの白ハリくんが かわいくて・・笑ってる顔してるところや、がくっと寝落ちしたところ、自分のイマジネーションで かわいいかわいい白ハリくんを思い浮かべたら楽しかった

    ただ、
    こういう動物と話せる系のお話は大好きだけど現実を考えると少し切なくなる

  • 近年読んだ中で、一番面白かった物語。

    令丈ヒロ子先生の代表作と言えば『若おかみは小学生!』シリーズがあるが、あちらが児童文学的であるのに対し(もちろん、大人が読んでも面白いが)本作は、100%大人向け作品である。

    芸能一家の中で屈折した少女「コノカ」が、相方の白ハリ君(ハリネズミ)と出会い、ひょんなことから舞台に立ち、快進撃を続けて行く。

    笑いあり、涙あり、衝撃のアクシデントもあり、見事な結末まで、コノカの成長が、まっすぐ丁寧に描かれている。

    読後「なんて、いい話なんだ…」と、しばし表紙をじっくり見返した後「なんて、いい話なんだ…」と再び呟いてしまうような、心が満たされる作品。

    『陽だまりの彼女』『魔女の宅急便』『ねこねこ幻想曲』などの作品が好きな方は、間違いなく楽しめる作品なので、是非に。

  • 芸人一家で育ったコノカは目立つことが嫌いで動物と話したりする暗い子供だった.家を出て東京での一人暮らし.そこで出会った白ハリネズミによって,扉が次々開かれていく.ペットショップの優しい人たち,心配する家族,ハリ乙女を応援する人達の思いも彼女に届き,彼女の心が自信を取り戻す.意地悪する人もいるけれど優しく微笑んでくれる人たちもいることを教えてくれる.

  • 生きづらかった私の心をスっと軽くしてくれて、ホッと温かくしてくれた。

    終わり方も好きだった。

  • ハリネズミと会話できる不思議な女の子コノカとハリネズミのお話。

    関西弁を話すハリネズミがとてもかわいかった。

    この物語は、起承転結でいうと転が多くて、
    いろんな出来事が起こった。
    居酒屋のアルバイトをくびになる、
    ペットショップで働くことになる、
    ハリネズミと出会う、ハリネズミと話す、
    営業マンの暴走、ツイッター、テレビ出演、
    などなど、盛りだくさん。
    読んでいて飽きなかった。

    最後は温かい気持ちになれた。

  • 芸人一家に生まれたけれど、別に面白いことをするわけでもないため、だれも自分を知らない土地に行きたいとずっと願っていた。東京に来て、貧しいけれど自由を満喫していたが、バイトを首になってしまってから、彼女の運命が変わった。ハリネズミと彼女の友情、そしてそれが「異常」であるように見えるところが面白い。そしてSNSの使い方が絶妙。令丈ヒロ子、面白いなあ。

  • 児童書で有名な作家さん。

    芸人一家に生まれ人とのかかわり方がうまくいかずに、家を出たものの結局芸人として身を立てることになってしまった女の子のお話。

    どちらかといえば思春期の女の子の自立の話。
    恋愛は若干おまけかなー。

  • 大阪の芸人一家に生まれたコノカ。でも、性格は地味でおとなしい。家から出たくて、高校卒業したのを待って、東京で一人暮らしをはじめた。
    預金もつき、居酒屋のバイトをクビになり、途方に暮れていた時に出会った白ハリネズミ。
    お金がないコノカにはハリネズミは買えないけど、そのペットショップでのバイトが決まった。

    一生懸命仕事をおぼえて、少しづつ、自信を持てるようになり、生活も少しづつ改善していった。楽しみは、閉店後にハリネズミの白ハリとおしゃべりする事。そう、コノカは白ハリとおしゃべり出来るのだ!頭に響いてくる白ハリの声を、コノカが同じように話すので、腹話術のようになるのだが、白ハリとのおしゃべりは、コノカの秘密だ。

    けれど、コノカが白ハリとしゃべっている所を、盗み撮りされ、勝手にネットに配信されてしまった。そしてそれは、「ハリネズミ乙女」として人気になってしまい…!?



    令丈さんならではの設定。そして、成長物語。

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著者プロフィール

大阪府生まれ。嵯峨美術短期大学卒業。講談社児童文学新人賞に応募した作品で注目され、作家デビュー。おもな作品に「若おかみは小学生!」シリーズ、『パンプキン! 模擬原爆の夏』『長浜高校水族館部!』『よみがえれ、マンモス! 近畿大学マンモス復活プロジェクト』(以上、講談社)、『妖怪コンビニで、バイトはじめました。』(あすなろ書房)、『クルミ先生とまちがえたくないわたし』(ポプラ社)などがある。「若おかみは小学生!」は2018年にテレビアニメ化、劇場版アニメ化され、大きな話題となる。

「2022年 『病院図書館の青と空』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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