ホセ・ムヒカ 世界でいちばん貧しい大統領 (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041043271

作品紹介・あらすじ

世界が抱える諸問題の根源を、我々の生き方そのものにあると説いた伝説的スピーチで一躍時の人となったウルグアイ前大統領。一国の長ながら庶民的生活を貫き、国民目線に立ち続ける彼の波乱に満ちた生涯とは

感想・レビュー・書評

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  • 正しさと信念は必ずしも噛み合うわけではない。
    けれど、絶対的な正しさより、その人の持っているひたむきな思いに、人は惹かれるものなのかなと思わされた。

    「清貧」という言葉は、日本人好みのワードだ。
    自らの給料の大半を貧しい人々に与え、モノを必要以上に持つことや、便利さに目が眩んでしまうことを毛嫌いする姿は、読んでいて好ましく感じる。

    だからこそ、政治家としては異端なキャリアも、その生活も受け入れられていく。

    難しいのは、ホセ•ムヒカのような大統領がありふれることはない、ということなのかもしれない。
    人気を得られるのであれば、真似をすればいいのに、そうはならないのは、何故だろう。

    たとえば「清貧」であることに心惹かれても、それは理想に対する憧れに留まってしまうのは、何故だろう。

    そこに、誰かの発するひたむきさが関係しているのかもしれない。

    「私たちは素晴らしい世界に生きているが、必ずしもその素晴らしさが見えているわけではない」

    「人間は本質的には社会的な生き物で、時とともにエゴイストで野心的になる。これが、現代の人間が抱える不安なのだと思う」

  • オベハ・ネグラ=異端児と見られていた大統領。
    ペペの愛称で親しまれているその人は今はもう世界中で有名だ。
    トゥパマロス時代に経験した独房での生活が必要最低限の物で暮らせるベースを築いた。
    国民と同じレベルでの生活をするという善良なイメージが強いが、そこは政治家としての狡猾さもしっかり持っていた。
    お金を稼ぐことに非難している訳ではないところがまた面白い。
    彼の言葉はとても理想的な未来を想像させてくれる。
    しかしそれを実現させるのは難しく、実際には無理かもしれないし間違っている可能性もある。
    けれど、恐れずに理想を口にする姿が本物のリーダーなのだと体現してくれている。

  • 来日したことでも話題になった元ウルグアイ大統領ホセ・ムヒカ氏を取材した本。ムヒカ氏のスピーチが有名になったことで彼の名言集などが出版されるようになったが、本書はそうしたものとは異なる。
    ムヒカ氏が大統領になる以前から取材がされており、ムヒカ氏のこれまでの経歴や人となり、政治上での失敗にも触れている。なかなか読み応えのある本だ。

    正直、南米情勢に疎く、政治上の駆け引きなどは楽しめなかったが、ムヒカ氏の思想は理解できた。彼は元ゲリラで波乱万丈の人生を送っているように見えるが、本来は自然を愛する哲学者なのだ。似た経歴を持つネルソンマンデラがそうであるように、彼も読書と思索の末に自らの哲学を得たようだ。

    彼はチャーチルとローザルクセンブルクに感銘を受けたらしい。まるで正反対のように見えるが、どのような人間からも良いところを学び吸収していく柔軟な発想があったようだ。

    また、彼は常に自由を最上のものと考えている。金や物や地位といったものに執着せず、縛られない身軽な人生を理想としている。死に対しても達観して受け容れる姿勢を持っている。やはり大統領というより、哲学者や詩人のようだ。

    死を恐れず、質素に暮らし、何にも執着しない。だから彼は縛られず誰に対しても堂々と本音を言い、信念に従って行動することができた。多くの政治家がムヒカとは間逆だからこそ、異端児として世界中の注目を集めているのだろう。

    ムヒカは庶民感情をよく理解しており、多くの国民が心の底で望んでいるリーダー像を知っている。話し方もうまい。それでいてよく勉強している知的な人間だ。子供のように純粋なところもあるが、自分の考えにこだわらない柔軟性もある。

    並み居る国々を前にして、堂々と現代社会の構造的問題点を指摘し、自ら模範となって西洋至上社会、資本主義、消費社会への抵抗を表現する有言実行のリーダー。まるでゲバラのようだ。世界でムヒカが人気を集めたのもうなずける。今後も注目すべき人だろう。読んでない人はぜひ読むべきだ。

  • 穏やかな好々爺にも見えるが経歴見るとかなり凄まじい。そんな経歴を経ているからこそ辿り着ける境地なのかも。

  • ラテンアメリカの小国で政局運営することの難しさ、他国のリーダーについての感想など、およそ20年にわたり取材をしてきたジャーナリストに大統領自身が率直に語った貴重な証言集。

    特に面白いと感じたのは、自身反政府ゲリラとして闘争してきたバリバリの左翼戦士だったはずが、大統領として国を統治する立場になると、そのイデオロギーを捨て、非常にプラグマティックに政局をコントロールしようと奮闘するところ。
    ブラジルやアルゼンチンといったラテンアメリカの大国に伍していくためには、ウルグアイという小国の国際的なプレゼンスを高める必要がある、そのために、大統領自身がショーケースとなって注目を浴び、いつも人と違ったユニークな存在であろうとしてきたこと。

  • ウルグアイの名物大統領であるホセ・ムヒカ氏に10年に渡り交友があるジャーナリストが書いた氏の半生と哲学。

    元々反政府ゲリラにいて、投獄経験がある氏が大統領になっているという事実にまず驚く。

    彼はとても聡明で政治活動の間にジャーナリストに話した言葉たちはとても本質的で納得させられるものが多い。日本にもこんな首脳がいればな。。と思った。

  • 翻訳だからか、とても読みづらかった。最初の章で断念…。

  • やっぱり翻訳は読みにくい。最後まで読めない

  • ホセ・ムヒカは、現実主義者であった。

  • ●たとえ一国の大統領であっても、自分の信念に従って生きること。
    ●本をたくさん読むこと。

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著者プロフィール

1976年モンテビデオ生まれ。ウルグアイカトリック大学社会コミュニケーション学部卒業。現在同大学で教鞭をとる傍ら、19年以上ジャーナリストとして活躍。文学雑誌のコラムニストとしてキャリアを開始し、その後「エル・オブセルバードル」誌に寄稿。1996年から週刊誌「ブスケダ」に勤務。複数の大統領の外国訪問に同行し、アルゼンチン、ベルギー、日本ではジャーナリズム講座を実施するなどしている。現在「ブスケダ」編集長。

「2016年 『ホセ・ムヒカ 世界でいちばん貧しい大統領』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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