- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041043363
作品紹介・あらすじ
ねえ。
このうちって、とてもいいおうちよね。
――わたしの、理想のおうちだわ。
皆川美海は平凡な高校生だった。あの女が、現れるまでは……。
幼い弟の事故死以来、沈んだ空気に満ちていた皆川家の玄関に、
弟と同じ名前の少年が訪れた。
行き場のない彼を、美海の母は家に入れてしまう。
後日、白ずくめの衣裳に厚塗りの化粧をした異様な女が現れる。
彼女は少年の母だと言い、皆川家に“寄生”し始め……。
洗脳され壊れてゆく家族の姿におののく美海。
恐怖の果てに彼女を待つ驚きの結末とは……。
恐ろしくて、やがて切ない、
大人気シリーズ『ホーンテッド・キャンパス』著者による傑作ミステリ!
(単行本『寄居虫女』改題)
感想・レビュー・書評
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記録
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初めて「角川ホラー文庫」を買って読んだ。
きっかけは「死刑にいたる病」の巻末に載っていた。特別な経緯はありません。ホラー小説と言うだけで、作品を前にしてブルブルと震えながら読み始め、何故か途中で止めようとは思わなかった。
物語:皆川家は現在、女四人で暮らしている。留美子は、付き合っていた男性の紹介で小姑たちに、「ふしだらな女」呼ばわりされていた。お腹には既に小さな命が宿っていたからだ。「わたし、絶対に彼と結婚しますから」それから留美子は順調に三人の娘を生んだ。三人目を産んだ九年後、四度目の妊娠で検診の結果、男児だった。
あの日の事故を境に、生活のすべてが一変した。以来、留美子は心を塞ぎ「よき母、よき妻」であることをやめた。―智未(長男)のいない我が家なんて、もう見たくない。
玄関先でうつむいたまま、留美子はため息をついた。小さな爪先が視界に入った。顔をあげる。途端、留美子は目を見開いた。目の前に、四、五歳見当の男の子が立っていた。男の子は「トイレ…貸して、下さい」と言い、留美子は場所を教えたが、男の子は間に合わなくて漏らしてしまった。
両方の拳を握り、その場に立ったまま、粗相をした自分を恥じて声もなく泣いていた。
その姿に、思わず留美子は胸を衝かれた。
ちいさい子に、こんな泣き方をさせてはいけない。子供が他人の前でこんな風に声を押し殺して屈辱の涙を流すだなんて、あってはならないことだ
ひどすぎる。この子の親は、どこでどうしているんだろう。靴も履かずに子供一人で徘徊させているだけでも異常なのに、こんなに痩せさせて、お風呂にも入れず、トイレにも行かせないなんて。
その後交番に届けたが、留美子は、亡き長男のこともあり、親が見つかるまでの間だけ預かることにした。
子供に名前を聞くと「朋巳。山口朋巳」という。
勿論、家族の反対があったことはいうまでもない。事故で亡くなった智未は、留美子に溺愛されていた。朋巳が皆川家に来てから三週間、荒んでいた皆川家は、なんとなく落ち着いてきた。ある雨の日の午後、長女琴美が自宅の軒先に立っている女を目にとめた。何とも言えぬ風貌に、琴美は思わず身を引いた。
皆川家の人たちは、女がⅮVを受けていたと勘づいた。
「あのう、もしどこへも行く当てがないのでしたら、よかったらー」と声をかけてしまったのが悲劇の始まりだった。
朋巳の母、山口葉月が住み着いた。巻末に、この小説は単行本『寄居虫女』を加筆、修正の上、改題し文庫化したものです。と書いていた。
冗談キツイぜ‼
あらま、読書は楽しい! -
純粋に怖い。あり得ないと思いつつも、今までに起きた事件とか見る限り、あっという間に中に入ってきて普通の家庭が侵蝕されて凄惨な事件に発展してしまってるのかと…
やっぱりマインドコントロールされて、その上睡眠取れないと正常な判断できなくなるんだろうな。
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面白かったです。知らない人には子どもでも話しかけないようにします。
(2018.12.12読了) -
洗脳によって一つの家族が壊されて行く…
こんなことって本当にあるのかな!?と思いつつ、実際似たような事件をいくつかニュースで見たことがあるので、興味深くあっと言う間に読み終えた!
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怖かった…ヒトコワがやっぱり最恐だな。
北九州の事件が思い出されるくらい、徐々に洗脳されて掌握されていく、まさに侵蝕でした。
ただ、終わり方は意外でした。
てっきり最悪な終わり方をするのかな〜と思ってたましたが、意外な形で終わりを迎えて、ほ〜んて感じです笑
やっぱり櫛木理央作品はどれを読んでも面白いです。 -
本来なら安心できるはずの自宅に赤の他人が棲み着いたら――
オバケも怪物でもなくて、人間が一番怖い…