喜連川の風 参勤交代 (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041043653

作品紹介・あらすじ

喜連川藩の小さな宿場に、二藩の参勤交代行列が同日に宿泊することに! 家老たちは大慌て。宿場や道の整備を任された喜連川藩の中間管理職・天野一角は奔走するが、新たな難題や強盗事件まで巻き起こり……

感想・レビュー・書評

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  • 下野喜連川藩、藩士天野一角の生き方を描く。シリーズの第3巻。喜連川藩自体は実在の藩で、奥州街道の宿場町でもあった。宇都宮から北へ3番目の宿。今回は参勤交代で江戸へ登る天童藩と仙台藩の二重予約の顛末。時代は11代将軍家斉が隠居し家慶が将軍職を継ぐ4月。1837年。

    先に天童藩の先触れが来て宿を確保したが、時を経ずして仙台の先触れも来て、対応した用人が宿泊日をよく確認せずに文書を懐にいれ、居合わせた老中格の藩校の塾頭は「どうぞ安心して当宿をお使いください」と返答。

    後になり宿泊日が同じ日なのが分かり・・ 受け付けた者は責任をなすりつけ、塾頭は大藩が泊まった方が宿が潤うと藩主・煕氏に進言。結果、天童藩に親書を携え日をずらしてもらうよう頼みに行くことに・・

    主人公の天野一角は「下士」でいくらがんばっても「上士」にはなれない家柄。職としては今でいうと係長レベルなのか、上司の意向と下からの訴えが一角に集まる。なにしろ仙台藩が泊まるので、宿をきれいに、人もみぎれいに、言葉づかいもそそうのないよう、道のでこぼこも直せ、もっと腕のいい料理人を探せ、という難題をひとつひとつこなしてゆく。

    乱暴な浪人をやっつけたり、天童藩まで調整に行く、その「七ヶ宿街道」をネット検索しながら読んだ。1時間ドラマの前後回を見ているような読み心地。うまく着地します。このうまくゆきすぎ感がいい。また天童藩が織田信長の次男・信雄の子、信良の系統の藩主で幕末まで続いたというのも知り、ほほっーとなりました。

    一巻には解説があり、喜連川藩は石高五千石だが、足利将軍家を祖とする名家なので十万石の家格があり、領主は国府扱い、江戸城では大大名たちと肩を並べる関が用意されていたとある。参勤交代は免除され妻子も国元で藩主と一緒に暮らしていた、とあった。

    物語の中では山の上に中世に塩谷氏の城があったが、今はその麓の陣屋で政務をとっているとあった。喜連川は行ったことがあるので、なじみの地名が出ると時代が生きてくる感じがした。

    本陣の二重予約が主題になっているものに、佐藤雅美の「槍持ち佐五平の首」、映画「この首一万石」1963大川橋蔵主演、がある。こちらは首とでるとおり、やるせない結末。元ネタは江戸時代に著された「半日閑話」太田南畝著と、「文化秘筆」三田村鳶魚編に載っている。ただし場所は「文化秘筆」では奥州道中の"大田原宿とか宇都宮宿とか申す宿"で、相馬藩と会津藩になっている。



    2017.4.25初版

  • 参勤交代のダブルブッキング
    五千石にして十万石並みの家格の喜連川
    参勤交代で伊達家が領地の本陣を使用して
    くれるとなると領内が潤う!
    なんとかせい!天野~・・・ってわけで
    おもてなし大作戦が始まる
    仕事が山のように集まる主任クラスの家臣

  • 第三弾。
    今回の一角は、お疲れ、イライラ気味。
    愚痴ってみたり、煙管を喫うシーンが多かったりと。
    シリーズが進んで人間味が出てきた。
    大藩と小藩の参勤交代の投宿をダブルブッキング。
    乗り越えるために一角が走る。

  • 2017年4月角川文庫刊。書下ろし。シリーズ3作目。今回も下級藩士の天野一角の仕事ぶりが楽しくて、面白い。

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著者プロフィール

1955年、熊本県生まれ。脚本家などを経て、94年に作家デビュー。近年は時代小説に力を注いでいる。人気シリーズに「隠密船頭」(光文社時代小説文庫)、「浪人奉行」(双葉文庫)、「武士の流儀」(文春文庫)などがある。

「2023年 『大河の剣(七)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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