悪いものが、来ませんように (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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本棚登録 : 4337
感想 : 401
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041044421

作品紹介・あらすじ

助産院の事務に勤めながら、紗英は自身の不妊と夫の浮気に悩んでいた。誰にも相談できない彼女の唯一の心の拠り所は、子供の頃から最も近しい存在の奈津子だった。そして育児中の奈津子も母や夫と理解し合えず、社会にもなじめず紗英を心の支えにしていた。二人の強い異常なまでの密着が恐ろしい事件を呼ぶ。紗英の夫が他殺体で見つかったのだ。これをきっかけに二人の関係は大きく変わっていく! 一気読みが止まらない、そして驚愕のラスト! 「絶対もう一度読み返したくなる!」「震えるような読後感!」と絶賛された傑作心理サスペンス!(解説:藤田香織)

感想・レビュー・書評

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  • あいやー、完全にやられた。手の上で転がっていた事すら気付かなかった。
    ーーーーーーーーーーーーー
    不妊と夫の浮気に悩む紗英。
    社会や家族 母と理解出来ずほぼワンオペで育児をこなす奈津子。そして互いが互いを心の支えとする「共依存」

    時系列の組み方が素晴らしい。
    紗英の旦那が殺された事を初め、その犯人も読者が理解した状態で、関係者の証言により内容を固めていく。時折組み込まれる「どうしてそうなった」の紗英と奈津子の現在進行形のパートで証言の答え合わせをしていくも、「何かがおかしい」そんな違和感を感じ、ページを戻す。だが何がおかしいのかわからない。うーん、モンモンする。

    結局、終章となり衝撃的な一撃が振り下ろされた時には、今まで自分が辿ってきた数々の証言を1から振り返り組み直す作業に翻弄され、全てがあるべき所に嵌ってようやく一息。
    「なるほど...」からの大きく息を吸い、
    「ぬぁぁあ!にぃぃい!!」と、ソファからお尻がずり落ちた。因みにこの「ぬぁぁにぃぃ」は連撃だ。作品を読んでいる方はニヤニヤしてください。

    この手のトリックは初めての経験でもなければ絶対に推理不可という訳ではないのやもしれない。しかし、彼女の作品は同じ土俵に立っていない私でさえも人物に感情移入してしまう。その人の目線で物語を追ってしまうのだ。もう推理どころではなく眉間に皺を寄せるのに全集中だった。

    今までの彼女の作品では、そのまま充実な読書をするだけでミステリとして楽しむ事はなかなか出来ずにいた。しかし今作、この芦沢央の緻密で繊細な人物の心情描写が巧みに「アレ」を隠蔽しているのだ。故にラストの衝撃を顔面で受け止めることとなった。完全なるハナヂブーをいただき、もう鼻から血を流しながらニヤニヤしてる変態野郎です。
    ご馳走様です。
    ーーーーーーーーーーー

    でもこれ、昔の作品なんだなぁ。
    もっと早く出逢いたかった...

    • NORAxxさん
      akodamさん、こんばんは^ ^

      あぁ...いつかコメントしようと思っていたのに先を越されてしまいました初代変態マンでございます。

      右...
      akodamさん、こんばんは^ ^

      あぁ...いつかコメントしようと思っていたのに先を越されてしまいました初代変態マンでございます。

      右足の脛は...痛かろうです...笑
      その後ニヤニヤしながら子鹿のようにプルプルするアレですよね、わかります...
      あれ、無断で変態度を上げてしまいましたすいません!笑

      初めましてがこんなノリで申し訳ございません...
      私もakodamさんのレビュー毎回楽しみに拝読させていただいております。
      これからもどうぞ、よろしくお願い致します^ ^
      2021/07/05
    • akodamさん
      こんばんは。ご返事いただき光栄です。

      NORAさんのレビューにはいつも熱量を感じます。

      時に喜び、怒り、哀しみ、そしていつも読書を楽しん...
      こんばんは。ご返事いただき光栄です。

      NORAさんのレビューにはいつも熱量を感じます。

      時に喜び、怒り、哀しみ、そしていつも読書を楽しんでいらっしゃるのが伝わってきます。
      そう、正しく変態です…(誉めております)

      こちらこそ、よろしくお願いいたします^ ^
      2021/07/05
    • NORAxxさん
      akodamさん、こんばんは^ ^

      文学的な才が無いのでせめて喜怒哀楽を表現出来たらと思っております。そう言っていただけて「変☆態」......
      akodamさん、こんばんは^ ^

      文学的な才が無いのでせめて喜怒哀楽を表現出来たらと思っております。そう言っていただけて「変☆態」...間違えました、「喜」でございます。

      ふふふ、お互い良き読書ライフを送りましょう꙳★*゚
      2021/07/05
  • 本作品で3作目の芦沢央作品。
    共依存といえる2人の女性の物語。
    私にとってはミステリーではなくヒューマンドラマだった。

    見事に騙されつつ、共感したり違和感を感じたり、はたまた我が事のように考えさせられたりと、あらゆる感情を揺さぶられ読了。

    著者の作品は表題名に惹かれる。
    『許されようとは思いません 』もまた然り。

    そして、無性に湊かなえ作品が読みたくなっている今宵の私。
     

  • 不妊と夫の浮気に悩む女性の悲哀が胸に突き刺さる! 鬼怖サスペンスミステリー #悪いものが来ませんように

    結婚後、家庭や社会生活がうまくいかない妻は、母や姉妹に悩みを話していた。苦悩の日常を過ごすなか、夫が死体となって発見されてしまい…

    色々な立場での女性の苦しみが伝わってきますね。物事がうまくいかない人は、おそらくは原因があるのでしょうが、ほんの少しの機運が変わってたら幸せになれるきっかけがあったでしょうに。
    まぁ男どもがクソなんですよね、誠意ある男はどこにいるんだと…

    作者はほんとに女性の心情描写がお上手で、感情移入が半端ありません。文章も優しく丁寧ですね、作者の作品への情愛が伝わってきます。

    ミステリー要素も素晴らしく、どうも途中で何度か違和感を感じましたが、そういうことですか。そしてタイトルが秀逸ですね、序盤プロローグで読んで感じたタイトルと、終盤で感じるタイトルではまるで違ってきます。

    イヤミスのプロが書き綴った高品質なミステリー、おすすめです!

  • 女同士の色々…お産とか、仕事とか…
    男の私には、分からん面もあるけど、色々あるんやろな?って思ってたら殺人!旦那が殺される!
    旦那もなぁ…ちょっとひどいな…
    まぁ、ミステリーやから当然やけど(^_^;)
    えらく、必要以上に、この2人の関係は、凄いというか何というか…密着感が…
    けど何か違和感が…
    後半になって来て、えっ!そういう事か!って騙されてる…ええ感じに^^;

    「母」になりきれない母親と、母親から卒業できない「娘」− 一卵性母娘って重いテーマ…

  • 芹沢 央 著

    子どものオムツを替えているシーンから始まる
    この物語… 芹沢さんの本を読むのは初めてです。
    プロローグの”この子のもとに、幸せばかりが待っていますように。 悪いものが、来ませんように”
    と始まるのだが、のっけから、悪い予感しかしない本作…しかし、初めての作者なので…どんなふうにミステリーが展開されるのか分からなかった。

    えっ(・_・;この関係性は、姉妹、親子?夫婦の関連も、時系列が妙な具合になりながらも…途中から
    そういう事なのか、少し、TVのミステリードラマ感もあるのだけど…何処かそれだけではすまないような、気持ち悪さが蓄積されてゆくような、不思議な感覚に襲われる
    作品に登場する女性陣に、何だか誰にも気持ちが寄り添わないし、この関係性も気持ち悪いなぁと感じながら、読み進めるのをやめられない。
    どこかで、この関連性に気付きながら、騙される感覚なのだろうか? 親子の、特に女同士の依存性って怖いなぁと思う(" ̄д ̄)
    この親密度と見栄の張り合い、子どもを持つ者、子どもを持たない者…
    子どもを持ちたいと念願する者、子どもを実際持った者の理想と現実、どれもリアルであり、どちらの場合においても、本人にしか分からない事情と幻想を抱えているのだろう… 奈津子と紗英の2人の依存性高い物語の行く末は…⁉︎
    自分は親に対しても、姉妹の姉に対しても(幼少期はそれなりに親密度は高かっただろうけど?)特別な依存性はなくクールな関係性であったから、
    そんな鏡のように、相手と自分を同じような感覚でみることは出来ないし、その関係性そのものがミステリーだなぁと感じた。
    しかし…いくら自分がそうであっても、親密度は低いが、今は亡き母親の私を視る思いも姉がみている私への本当の思いも分かっていないだけかもしれないなんて思える(ま、依存性はないのは確かだと思うけど、亡き母には私に対する依存性というか…大人になって頼られる感じは強くあったなぁと思う(笑)(・・;))
    ところで、鞠絵は…?鞠絵も奈津子の子供だったってこと?分かってない、もう一度読んで検証する必要がありそうだけど、ミステリーは種明かしを知ると再度読むには…ある程度時が経たないと無理かもしれませんね、、
    心理描写が怖い作品ですね、人が見る目と自分が感じる人の視線と感じるものは一致してないことも多くて…言葉にしても安心出来ないような、だから自分の中でのみ込んで、妄想を広げてしまう部分ってあるんだろうなぁって思った。
    この作者の他の作品も読んでみたいな…って感じた
    自分に合ってるものかどうかも分からないし、本作は騙された感という感覚とはまた違う感じだったけど.どんでん返しの騙された感がすごいと言われている作家さんなので興味があります。
    久しぶりのミステリーで、まぁ面白かったです。

  • プロローグでこれは、面白いヤツと期待しつつ。
    三分の一程読んで、小説のストーリー性が掴めてこず、情景が描けず、少々苛立ちまして。諦めて、文庫裏表紙のあらすじを読み(いつもは極力読まない)
    ほー。違和感込みで、ふんわり騙されながら読むとラストが凄く楽しめます。人によっては、2度読みが楽しめます。
    ミステリというよりヒューマン的です。
    この作品は、もしかしたら、最初から素直に書いた方が、別の方面から評価高かったたかも。それをしてしまうと、作風が違ってしまうのか。

  • どうしてもこの手の作品は湊かなえと比べてしまう。
    あまりネガティブなことは書きたくないけれど。
    母娘ものをテーマにした作品というのは結構溢れていて、「毒親」という言葉の浸透とともに、増えていっているような気さえする。そして、「自分の親もまさに毒親だったのかもしれない」「自分の関わりこそ毒親なのではないか」と気付いた読者が増えたことで、女性作家がテーマとしてあげやすくなったのではないかという気がしている。時には、出産後の作家さんがそうした作品を描いていると、その作家さんがまさに今直面しているのではないかと、そんな気持ちにさせられる。そうなるともう、ノンフィクションのような気迫もあったりする。個人的にはエッセイや漫画よりも、そっちの方が刺さる。
    ノンフィクションといえば、今回解説を担当した藤田香織さんを、完全にノンフィクション作家の河合香織さんと勘違いしたりもして、「あのセックスボランティアの人ね!これは内容もさぞかし深いテーマなんだろう!楽しみ!」なんて思いながら読んでいったら違う方でした。これは勝手にわたしが騙されてる感じで。どうでもいいですね。

    読み進めていくうちに、仕掛けに気付いてしまうと、ラストはもう、よくいろんな作品で見る母娘ものと変わらなくて。そこでやはり、湊かなえ作品にはかなわないなあ、なんて思ってしまう自分がいた。
    支配している側もされている側も、それに気づかないということ。娘への愛情、と変換された支配と略奪。これが根付いてしまうと、いざ母親がいなくなった時に娘は生きてゆけない。娘が生まれた時の喜び、歩いた時、言葉を話した時の喜びは、他の何にもかえがたい。母親は、いつまでお世話をする母親として存在するのか。「自立」なんて生まれた時はまだまだ先のお話で、母親であるということが仕事であるのだから、母親は母親として一生懸命仕事をしただけだ。それなのになぜ、お互い依存するような関係性を生んでしまうのか。

    母親が毒親で、それに対して「嫌だった」という感情を持っていれば、奈津子のように自分がされてきたのと違う養育を娘に対してしようとする母親もいる。けれどそれは、文中にもあるように、まだまだ支配下にあるのとおんなじで。

    わたしだって、せっかく母親から分離してこれからが人生楽しくなるところだ!と思い始めたところで、どこかで母親とは違う生き方を、と思っている自分がいる。同じだって別にいいんだろうけど、それでは嫌で。ずーっと公務員として組織に所属して生きることこそが素晴らしいし、そう生きてほしい、その考え方を押し付けられ、わたしも生活を考えればそれがベストなのはわかっているけれど、組織に所属して働くということがなんとなく合わなくて、転職を繰り返してしまう。そんな中最近しっくりきたフリーランスという生き方。これこそが自分の生き方かもしれない、これで本当に、母から心理的にも自立できるかもしれないとポジティブに思っていたのだけれど、やはりそれは、まだまだ母親の支配下にあって、だからこそその真逆の道で生きようとするわたしの信念は、結局親から植え付けられたものなんじゃないのかな、とか思えてくる。この本を読んでさらにそんな風に思ってしまって。

    他の作品にもこういう母娘ものってあるし、とか強がって、ちょっと★を少なめにしているけれど、きっと自分の弱いところを突かれて、それが悔しいんだろうな。解説にもあるけれど、もっともっと伸びしろを感じる作家さん。何年か先に、えぐみのある作品とか描いてくれそうな。そんなエネルギーを感じた。

    • やまさん
      おはようございます。
      きょうは、快晴です。
      体に気を付けていい日にしたいと思います。
      やま
      おはようございます。
      きょうは、快晴です。
      体に気を付けていい日にしたいと思います。
      やま
      2019/11/16
  • 初めての芦沢央さん。
    『悪いものが、来ませんように』の他にも『許されようとは思いません』や『火のないところに煙は』『汚れた手をそこで拭かない』など、興味のそそられるタイトルが多くあり、どれから読もうかなーと楽しみにしていた作家さんです。

    序盤はうーん、なんだかこの関係性の2人に入り込めないなーと読むスピードがダウンしていましたが、後半からおぉ!なるほど!と、急にリアルな感情に襲われ、エピローグを読む頃には、自分も姉妹で育ち、当たり前に母親がいて、大人になってからよく考えるようになった母親の気持ちなど、自分のことを思い返しながら物語を読んでいました。

    エピローグめちゃくちゃよかったです。
    やりすぎで間違ったけど、奈津子のもがいてる愛情嫌いじゃないな。
    読み終えた後に、悪いものが、来ませんようにってタイトルに胸が苦しくなります。
    女性ならではの悩みが深く描かれていて、そのリアルさが見てて苦しいがおもしろかった。

  • 全然気づかなかった‼︎
    やられました∑(゚Д゚)

    読みながら何か変⁉︎と思いながら全くもって分からなかったぁ(・_・;
    夢中で、ほぼ一気読みしました。ちと切ない感じのお話でした。
    結末知った上で、もう一度読み直してみたいです。

  • ぎゃー!やられたー!こわ!笑
    何書いてもネタバレになりそう笑
    違和感は確かにあった。
    あとから思えば違和感だらけやん!
    これは2度読みだ…
    後半からの巻き返しがすごい!

    ただすごい重いと言うか、嫌な感じな気持ちになるのは否めない…
    スッキリ爽快な本ではない…

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著者プロフィール

芦沢央(あしざわ・よう)
1984年東京都生まれ。2012年『罪の余白』で野性時代フロンティア文学賞を受賞しデビュー。主な著書に『許されようとは思いません』『火のないところに煙は』『僕の神さま』など。最新刊は『汚れた手をそこで拭かない』が第164回直木三十五賞候補作となる。

「2021年 『非日常の謎 ミステリアンソロジー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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