ナーダという名の少女 (1) (角川文庫)

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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041044438

作品紹介・あらすじ

カルナバル(カーニバル)の国、ブラジル。日本人の父を持つ15歳のアリコは、映画館を出たところで同い年の不思議な少女から声をかけられる。右目は翡翠色、左目は水色の名前はナーダ、「なんにもない」という意味だという。何者にも縛られず自由気ままな一人暮らしの彼女が、引きこもりがちのアリコには眩しく映った。ある日、ナーダに誘われたパーティで、アリコはジットという青年に出会う。ジッドに会っちゃだめ…とナーダからくぎを刺されるが、自分の気持ちに嘘がつけないアリコは恋に落ちていく。しかし、彼から不思議なことを言われる。ジットだけではない、パーティで親しげにナーダから紹介された友人たちも改めて彼女のことを尋ねると、「そんな子いたかな?」。ナーダは本当に存在するのだろうか? 自分とどういう関係があるのだろうか? サンバのリズムに浮かび上がる光と影で描かれる、二人の少女の幻想的でミステリアスな物語!

感想・レビュー・書評

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  • 全部読み終わると、物語の冒頭でアリコが観ていた『世界の始まりへの旅』という映画のタイトルが意味を持って来る気がする。あの世とこの世、日本とブラジルとポルトガルのあいだを、アリコの心は旅をするんだもの。みんなが明るく楽しく生を謳歌するリオ・デジャネイロにおいて、父親と二人で目立たないようにひっそりと暮らすことで、かえって目立ってしまうナオキとアリコ。ポルトガル人の母は、アリコの幼い時に亡くなっている。陽射しの強いところには影ができるように、底抜けに明るいカリオカ(リオッ子)の中にも、サンバのリズムにも、悲しみを感じ取る、おとなしく引っ込み思案で感受性の強いアリコ。子どものころの思い出で、バイーアからきた黒人の白いスカートの中で踊る、ちっちゃなアリコ。その中でママエ「アリコ!」「ママエ!」と呼び合う、アリコの原体験ともいえるシーンが鮮烈で印象的。
    詳しくは書かれていないけれど、バイーアという場所はサトウキビ産業の働き手として連れてこられた黒人による、アフリカ文化が残る場所。描かれている白いレースも、画像検索すればその美しく繊細な生地を纏った、現地の女性たちの姿を見ることができる。その歴史を思うと、明るいリズミカルなダンスも哀愁を帯びて聞こえることだろう。
    ナオキとたった二人のちいさな「ファミリー」が、ポルトガルでママエの家族と会うことで広がって、同時にアリコの世界もぐんっと広がるところでちょっと泣いてしまった。これが冒頭の映画のタイトル『世界の始まりの旅』の伏線だったんだ。そして、アリコはこれから、ジッドと手を取り合って新しい自分を生きることになるんだな。姉妹のナーダにも見守られながら。
    ナーダのオッドアイは、何かのメタファーなのかな。この世を見る目と、あの世を見る目? 「姉妹」っていうよりも、ナーダはアリコの分身なのかもしれないな。真逆のキャラクターが自己の中に内在してる、みたいな感じ。

  • なんだかブラジルに旅に出た気分だった。内容的には途中どういうこと??どうなっちゃってるの?という感覚があったけど読み勧めているうちになるほど、と納得できたので良かった。
    ナーダはアリコの双子の片割れだったということね。ナーダとアリコって名前、きっと本で読んでいたらもう少し早く双子といわれたところでピンときたかもしれなかったけどオーディブルだったから普通に説明されるまで分からなかったわら

    魔女の宅急便宅急便とはまた違ってるけどどこかあたたかい文章なんだよね。もっとオーディブルに増えてほしいな。

  • #89奈良県立図書情報館ビブリオバトル「贈りたい本」で紹介された本です。
    2部制で実施の第2部。
    1部は通常回で、2部は奈良県内の書店員によるエキシビションでした。
    2018.4.21
    https://m.facebook.com/events/1211793018923515?view=permalink&id=1413558028747012

  • ブラジルが舞台、ということでなんだかワクワクする。ブラジルの描写が詳しくて、旅行したり取材したりしたのかなぁと思って調べたら、角野栄子さんはブラジルに滞在していたんですね。
    ファンタジーです。想像していた以上のことは起こらないんですが、もし居なくなったはずの人が生きていたら… あの生きていると思われる人が実は死んだ人だったら… といった想像から物語が繰り広げられているのでは、と想像しました。
    あとがきのちょっとした種明かし?も楽しい。

  • とても好きです。
    リオデジャネイロのスラム街に住む不思議な女の子ナーダに出会い、惹かれ、翻弄される話。
    リオのカーニバルに向けて空気がどんどん高まってなにか起きそうでこちらもドキドキします。

  • 期待はずれ。。。

  • ナーダはアリコを愛しつつも嫉妬もあり、ジットをめぐっての複雑な気持ちもあり、あんな行動になってしまったのだろう。

     しかし、私は主人公のアリコがあまり好きになれなかった。顔はかわいいようだが、愛想がなく、引っ込み思案だと言っているものの、結構自分勝手で、周りの人を振り回している。その点、ナーダとどっちもどっちだ。

     アリコはナーダを突っぱねたかと思うと追いかけ、近づいてくると振り払う。ジットに対してもそんな感じ。いい加減にして欲しいと思った。子どもだから仕方ないのかもしれないけれど、あんな態度では親切に近づいてきた人も離れていってしまうだろうに。ジットはアリコのどこが気に入ったのだろう?

  • 魔女の宅急便のようなファンタジーを期待すると、現代の世界に近すぎて少し物足りなくなるような、現代小説に少しだけ不思議な要素が入った物語。
    途中まではぐんぐん読み進み、途中から少し想像できてペースダウン。といっても、育児の合間を縫って二日で読了。しかし双子の子どもを持つ私には胸の痛む。
    ブラジルやポルトガルの空気はこんな感じなのかなと想像しながら読みました。

  • 少女の,自分という存在の認識過程の物語.映像を想像して物語にのめり込むことが多いが,他作品と同様本作も匂いと音を感じさせる筆致のため中々物語に入っていけない.

  • 他の方のレビューを読んでから
    買いましたが
    没入できませんでした。

    ブラジルの風物に
    馴染みがなかったからか
    そもそも気候風土が
    自分に合わなかったからか
    どの登場人物の心情にも
    寄り添えないまま読了。

    カルナバルやイパネマの
    海岸など ブラジルらしさは
    添えられていましたが
    それらが物語とは有機的に
    結びついてはいなかったように
    思います。

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著者プロフィール

1935(昭和10)年、東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、出版社に勤務する。25歳の時からブラジルに2年間滞在し、その体験をもとにしたノンフィクション『ルイジンニョ少年 ブラジルをたずねて』で作家デビュー。著書に『ズボン船長さんの話』『小さなおばけ』シリーズ、『魔女の宅急便』『ぼくびょうきじゃないよ』『おだんごスープ』『ラストラン』など数多くの絵本・児童文学作品がある。産経児童出版文化賞大賞、路傍の石文学賞、旺文社児童文学賞、野間児童文学賞、小学館文学賞、IBBYオナーリスト文学賞など受賞作品多数。

「2017年 『いろはにほほほ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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