喪失 (角川文庫)

  • KADOKAWA (2017年11月25日発売)
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本 ・本 (384ページ) / ISBN・EAN: 9784041044445

作品紹介・あらすじ

京都市内のビルで女性の不審死体が見つかる。京都府警・捜査一課の大橋砂生は、被害者が夫のブレスレットを握りしめていたことから夫を疑う。妻はDV被害を訴え、夫と離婚調停中だったが・・・・・・。

感想・レビュー・書評

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  • 知らずに読み始めたけど、どうやら「見えない鎖」の続編
    らしい。文庫化した時にタイトルが変更になっており、モヤモヤしたまま、最後まで読んでしまった。
    前作の内容は全く覚えてなく、いきなり主人公の大橋砂生の流産シーンから始まり、意味不明だったけど、話が進むに連れ、事件の真相、冒頭の流産シーンがタイトルに繋がっていくことが分かり、納得。
    不動産会社の社長の妻が自宅の階段から転落死し、その真相に迫ると言う派手さのない事件の中にいろんなメッセージが詰まっていて、奥深さを感じていただけに、ラストの落とし所が残念。
    最後の最後に「見えない鎖」の内容を思い出した…
    文庫買ってしまったよ〜

  • 鏑木蓮『喪失』角川文庫。

    文庫書き下ろし作品。鏑木蓮の作品では重い系の警察ミステリー。もう少し予想外の大きな展開を期待したのだが、小さくまとまり過ぎた感のある作品だった。

    有力不動産会社社長の妻がビルの非常階段で遺体となって発見される。妻の遺体の手には夫のブレスレットが…未婚で妊娠、流産を経験し、復帰したばかりの美貌の準キャリア刑事・大橋砂生が事件に挑む。

    大橋砂生の激動の人生は本編とは関わらず、勿体無いというか、無駄なように感じた。か弱い女性刑事の成長を描きたかったのか、アマゾネスのような強い女性刑事の活躍を描きたかったのか…

  • 6月-3。3.0点。
    京都出身のキャリア女子刑事。
    離婚係争中の妻が、心の病を抱え、自宅で転落死。
    不動産会社社長の夫が、第一容疑者。
    夫犯人説に違和感を感じる主人公。

    うーん、何故か読むのに時間がかかった。
    展開がゆっくりだからかな。
    ご都合主義的な真相、真犯人。次作に期待かな。

  • 鏑木連氏の刑事ものは久々な気がします。率直な感想としては……悪くはなかったのですが、過去の刑事ものに比べるとやや物足りなさを感じてしまいました。

    主人公は流産を経験した女刑事という設定ですが、この設定が本作の展開に効果的に作用しているという印象が薄かったのがその要因でしょうか。母親を失った瑠美と、お互い喪失したものを補い合う関係を強めるための要素だったのかもですが、流産という設定がなくても成り立ったのではないかと思ってしまったので……

    過去作と比較するなら、被害者やその他登場人物にさほど感情移入できなかったことが、物足りなさの要因に挙げられるかもしれません。「白砂」「時限」などは被害者に強く同情したのですが、本作の真鍋父娘には同情できる部分もありますが自分勝手さの方を強く感じました。

    とはいえ、大橋刑事の出来る女感溢れる振る舞いや無駄に声の大きい望月くん、そして娘との関係や会社の状況に悩む真鍋社長など、キャラクターは生き生きとしていて「物語を紡ぐためのただの駒」という感がないのは流石に思います。次回の刑事ものに期待したいです。

  • 大橋砂生刑事は流産で途切れそうな捜査への参入を直訴し、真鍋文香の死去に絡む事件を担当する.文香は夫 征夫との離婚を考えており和光忠之弁護士と相談していた.征夫は愛人の坂下奈々宅から帰宅し、その直後に事件が発生したが、和光もその場に来ていた.娘 留美の行動にも不審な点があり砂生は迷う.征夫の供述が不審な点もあり逮捕して取り調べるが、嫌疑なしで不起訴となるものの、文香の遺体に不審な点を見つけ、再捜査を開始した砂生.彼女の執念が実った感じの結末だが、多くの人からの情報を的確に結びつけていく過程が楽しめた.

  • もやっとしながら進み、そのまま終わってしまった。帯の「愛情とは信じるものではなく疑わないことた。」って、どれを指してのことだろう。夫婦の絆もなかったし感涙するシーンもなかったのに。

  • 面白かったです。

  • 結構面白かったです。
    でも、最後の謎解き以外はイマイチ。

  • 鏑木蓮の長篇ミステリ作品『喪失』を読みました。
    『見えない轍 心療内科医・本宮慶太郎の事件カルテ』に続き、鏑木蓮の作品です。

    -----story-------------
    キャリア女性刑事が挑む、感涙ミステリ!
    京都市内のビルの非常階段で、有力不動産会社社長、真鍋征矢の妻、文香の遺体が見つかる。
    文香の手には夫・征矢の金属製のブレスレットが握られていた。
    妻は夫からの暴力被害を訴え離婚調停中だった。
    事件後、文香の担当弁護士の和光は、彼女は嘘をついていた、DVはなかったとして、征矢の無実を証明したいと名乗り出る。
    果たして嘘をついているのは誰か。
    京都府警の準キャリア刑事、大橋砂生が不可解事件に執念で挑むが……。
    -----------------------

    2017年(平成29年)に書き下ろしで刊行された作品です。

    京都市内のビルで女性の不審死体が見つかる……京都府警・捜査一課の大橋砂生は、被害者の真鍋文香が夫・征矢のブレスレットを握りしめていたことから夫を疑う、、、

    文香はDV被害を訴え、征矢と離婚調停中だったが……。

    ミステリ、警察小説としても充分愉しめるのですが、単なる推理小説に留まらず人間の心理を深く探る視点が秀逸で、社会問題を織り交ぜて描かれていることも特徴で社会派ミステリ、ヒューマンドラマとしての要素も織り込まれた読み応えのある作品でした……妻に認められたいと思いつつ安らぎを愛人に求める夫、夫から愛されたいと願いつつ夫から得られない愛を娘に求める母、不安定な母を愛する一方で子どもとしての自由を生きられない娘、社会的地位や体裁を守るために生きる弁護士、、、

    夫婦、親子、友人、愛人の間で揺れ動く思い、その裏に隠された関係者の心理が物語を思いがけない方向へと導く展開が印象的でしたね……そして、自殺なのか? 事故なのか? 殺人事件なのか? 殺人事件であれば、その動機や手段は? 面白かったです!

    京都府警・捜査一課課長補佐の大橋砂生と下鴨署刑事課の望月駿のコンビもイイ感じだったし、事件を通して関係者たちが新しい一歩を踏み出すという希望の持てる結末や心地よい読後感が良かったですね……大橋砂生が登場する作品は他にもあるようなので、ぜひ読んでみたいです。

  • お金に困っていた弁護士が犯人なんて…サスペンスドラマの様な結末

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著者プロフィール

鏑木 蓮(かぶらき・れん)
1961年京都府生まれ。広告代理店などを経て、92年にコピーライターとして独立する。2004年に短編ミステリー「黒い鶴」で第1回立教・池袋ふくろう文芸賞を、06年に『東京ダモイ』で第52回江戸川乱歩賞を受賞。『時限』『炎罪』と続く「片岡真子」シリーズや『思い出探偵』『ねじれた過去』『沈黙の詩』と続く「京都思い出探偵ファイル」シリーズ、『ながれたりげにながれたり』『山ねこ裁判』と続く「イーハトーブ探偵 賢治の推理手帳」シリーズ、『見えない轍』『見えない階』と続く「診療内科医・本宮慶太郎の事件カルテ」シリーズの他、『白砂』『残心』『疑薬』『水葬』など著書多数。

「2022年 『見習医ワトソンの追究』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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