ホーンテッド・キャンパス きみと惑いと菜の花と (角川ホラー文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041044469

作品紹介・あらすじ

雪越大学 オカルト研究会に所属する、超草食系大学生の森司。
しかし、奇跡は起きた。
なんと、こよみちゃんと、菜の花の有名な福島潟で初デートすることになったのだ! 
その日に向け、森司は着る服(と自らの体型)に頭を悩ませる。
オカルト研究会のメンバーも、二人のデートに興味津々だ。

けれど依頼人は容赦なくやってくる。
連続殺人事件現場の横に立つ豪華な洋館に現れた、女の足だけの霊。
森司がかつて経験した、先輩の同時二重体(バイロケーション)の謎。
そしてデート当日にまで、恐怖は忍び寄ってきて!?
甘甘なのに身の毛もよだつ、青春オカルトミステリ第10弾!

感想・レビュー・書評

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  • 読書録「ホーンテッド・キャンパスきみと惑
    いと菜の花と」

    著者 櫛木理宇
    出版 角川ホラー文庫

    p119より引用
    “ 初対面の際には「インドをはじめとする
    各国で、宗教的修練としておこなわれている
    火渡りについて」を、にこにこ笑いを浮かべ
    たまま、ノンストップで四十五分間語られた。
    さらに先日は、「呪いとまじないの違いにつ
    いて」をえんえん講釈された。どちらも森司
    がトイレ休憩を訴えるまで、資料を一冊たり
    とも見ずにの大演説であった。”

    目次より抜粋引用
    “目かくし鬼
     よけいもの、ひとつ
     いちめんの菜の花”

     見たくないのに幽霊が見えてしまう大学生
    を主人公とした、短編連作青春オカルトミス
    テリ。シリーズ第十弾。
     二人目を身ごもっている姉の家事を手伝い
    に来ている女子大生・三崎架子、義兄とのこ
    とを話しかけたことへの姉の返事の中に、何
    か憂いを感じたが…。

     上記の引用は、主人公・八神森司が入部し
    てすぐの頃に部長に感じた怖さについて書か
    れた一節。
    好きこそものの上手なれなんでしょうけれど、
    ここまで出来るのは天才のそれではないでしょ
    うか。
     二話目は主人公・森司の能力がオカルト研
    究会の皆に知れ渡るエピソードとなっており、
    より登場人物像に奥行きを出すものとなって
    います。部長の従妹で部員の泉水の身体の描
    写もありますが、巻頭のイラストは少し差が
    大きいのではないでしょうか。もう少ししっ
    かりと筋肉を描いてほしいところです。
     主人公と想い人・こよみのデートシーンに
    は、身悶えしそうになります。こういうのを、
    砂糖吐きそうな気分というのでしょうか。

    ーーーーー

  • 10冊目にしていよいよ初デート。なんだかこれだけシリーズ追ってると、保護者気分で見守りたくなってしまいますね(笑)。実に微笑ましいのだけれど……うん、私もすっごく思いましたよ。「いまさら気づくのそこなん?」って! これで次作からは「いいかげんにせい!」って突っ込まなくても大丈夫かしら。
    とまあその部分はさておき。今回も怖かった。二話三話の人間心理面の物語も怖くてぞくぞくさせられはしたのですが。夜に読んでて一番「うぎゃあ!」と思って読むのをストップしてしまったのが「目かくし鬼」の幽霊登場シーン。爽やかで明るい光景の中にあれは……想像すると恐ろしすぎました。なので昼間になってから読んだけど、あのシーンはやはり怖かった! 物語そのものは怖いというより悲しいものであったのだけれど。あの光景のインパクトが抜群でした。

  • 背ラベル:913.6-ク-10

  • シリーズ第10弾。
    3話からなる短編集。

  • 失敗したら、恥ずかしい、なんて、言ってられないな。やるときゃ、やらなきゃ。

  • 初デートだ
    そこにも憑き物が
    そんな時は母親だ
    こよみを連れて帰れば誤解もする
    でも、案外こよみは嬉しそう
    (主人公は鈍感力を発揮中)

  • ホラーサイドは重たく嫌なお話が多いけど、日常サイドがとてもいい。

  • 依頼者の、移り住んだ姉の新居についての謎
    校内で再会した先輩、デートの前の事件。


    初っ端から、自分の身体にがっかりしている主人公。
    これはこれで面白いですし、あちらもあちらで
    いそいそしているのが微笑ましいw
    しかし新入部員にさえばれている気持ちが
    本人だけには伝わってないのが、笑えますが。

    依頼者の夫の両親は何故離婚したか、という謎も
    ついでに解決した1話。
    昔は技術があれだったから、と納得できる内容ですが
    やられた方としては、驚き以外何物でも。
    それは確実に奥さんの浮気を決定していたわけで。

    再会した先輩について、一体どういう事? と
    首をひねってしまう証言ばかり。
    主人公が正式な部員となるきっかけ、の事件ですが
    こういう決めつけされると困るよな~と。
    しかも生涯(?)において、やってくれてますし。
    自分正しい! と思う自信だけは、賞賛したいです。
    ただ、子供が鬱屈してこの状態になるまで
    まったく気づいてないのには、鼻で笑いますが。
    そんなもののために、手を汚すのは
    確かに無駄です。

    そして…ようやく、前巻からのお約束であるデート。
    の前に、妙なチェーンメイル事件の依頼。
    指定された場所は、一体何があった所なのか。
    という謎を解き明かしている最中で
    お約束のデートの日。
    部員全員にお許しをいただいて出かけたわけですが
    そこでも問題勃発。
    おかげで明らかになる、主人公の性格形成と
    事件の糸口。
    話の本筋としては、後者を喜ぶべき??w

    まぁ、デートが無事に終わって何より、です。

  • 2019年49冊目。ついに森司とこよみが初デート。このままラブコメ展開爆発か!と思いきや、こよみの過去にちなんだ話も出てきたりしてオカルトの要素も健在。しかし、エピローグの話は「あーうらやまし過ぎるぞコンチクショウ。」といいたくなりますな。まあ、まだこの2人が付き合うことになるには時間がかかりそうではありますが。感想はこんなところです。

  • 「目かくし鬼」
    隠されていた真実。
    彼女がどんな思いで家出をしたのか、その気持ちは本人にしか分からないだろうが相当苦しい思いをしてどうにか逃げ出したのだろう。
    愛してくれると思っていた人物にも最終的には裏切られ、大切にしていた自分の子と離れ離れにされた悲しみははかりしれなかったろうな。

    「よけいもの、ひとつ」
    同時刻に二つの場所で。
    彼の父親は典型的な健康児以外を異端扱いする者なのだろうが、これだけ沢山の症状を見ても心が揺らがない辺り救いようがないな。
    身内に身体の不調が認められず、それが甘えだと厳しく言われ無理をさせられるほど苦しい事はないだろうな。

    「いちめんの菜の花」
    二人のデートの行方。
    宗教というのは本当に信仰心もあり広めたいという思いからの物もあれば、ただただ信者になった者を思いのままに操りたいが為に作りあげられた物もあるもんな。
    おかしいと悟らせる理性を失わせ今の状況が素晴らしいと思い込ませるのは一言で言えば洗脳だが、そんな目にあった者からしたら洒落にならないぐらい怖い事だと後で気付くのだろうな。

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著者プロフィール

1972年新潟県生まれ。2012年『ホーンテッド・キャンパス』で第19回日本ホラー小説大賞・読者賞を受賞。同年、「赤と白」で第25回小説すばる新人賞を受賞し、二冠を達成。著作には「ホーンテッド・キャンパス」シリーズ、『侵蝕 壊される家族の記録』、『瑕死物件 209号室のアオイ』(角川ホラー文庫)、『虎を追う』(光文社文庫)、『死刑にいたる病』(ハヤカワ文庫JA)、『鵜頭川村事件』(文春文庫)、『虜囚の犬』(KADOKAWA)、『灰いろの鴉 捜査一課強行犯係・鳥越恭一郎』(ハルキ文庫)など多数。

「2023年 『ホーンテッド・キャンパス 黒い影が揺れる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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