- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041044650
作品紹介・あらすじ
優しい母として逝った依頼主、白無垢姿の花嫁、昵懇の間柄だったひと、心に怪物を抱えた女――四人の女性の存在とその顛末を中心に、多彩な顔を持つ「怪異」を収録した、拝み屋を生業にする著者による実話集!
感想・レビュー・書評
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なんでこんなにこのシリーズおもしろいんだ!
郷内さんの書き方うますぎだよ…߹ㅁ߹)♡
よしよし…だんだん分かってきたぞ〜。
シリーズの傾向が。
前半、自身の体験を交えながら、依頼主や知り合いから聞いた怪異現象が沢山書かれている。
後半になってくると、まるで小説の伏線回収のように一部が収束してくる。
実話怪談なのによ?(°д° )
小説の中のような出来事が郷内さんの周りで実際に起きているんです…(-_-;)怖い…。
『花嫁の家』を読んだ時もそうだったのですが、初めて訪れた依頼人も、実は郷内さんに寄せられて来ている事が後から判明したり…。
(本人も気付かない所で、郷内さんの関わる事象に引っ張られてきている。)
『拝み屋』という職業柄、関わってしまうと厄介な事が多いようなので仕方ないのかも…とは思いますが、なんせ幼少期から不思議な体験ばかりしている方なので、もうこれは運命…宿命…?のようなものなのかも……(^▽^;)
文字に起こして始末してしまえば成仏に繋がると言う。
芸術はずっと残るので、広く知られ忘れられない事が本人達(様々な事象)の希望なのかな。(-ω-;)
私は未確認生物(宇宙人とも言う)以外は基本的に否定派です。(๑¯∇¯๑)
なのに怪談は好きだし、怖い…。
信じていない筈なのに、風呂でシャンプーしている時や、夜中にふと目覚めてしまった時がめちゃめちゃ怖い……(-_-;)
「しまった!」って、いつも後悔するくらい。笑
そんな怖さを、本シリーズは毎回体験させてくれます……したいんかい(༎ຶ⌑༎ຶ)
特に印象深かった話を何個かチョイスします。
【禁忌を書く 前・後】
基本的にこのシリーズは『花嫁の家』の執筆中に纏わる怪異現象が本筋です。
禁忌を書いている期間、家に現れた白無垢の女。
急に聞こえる笑い声。
紛失する原稿——。
郷内さん、よくご無事で……(T-T)
【嗤う女 起・承・転・発】
こちらも同じ期間中の出来事。
郷内さんのファンだという女から深夜に電話がかかってくる。
『朝子』と名乗るその女との電話の直後、どこからか女の笑い声が聞こえる。
郷内さん、深夜に電話取って話聞いてあげるなんて、優しすぎん?笑
それにしてもこの嗤う女シリーズは、後半とても耳が痛いところがあり、私生活を見直せねばと感じました。(^▽^;)
【ほのかさん 続・完】
このシリーズは泣けます。
「泣きなさい」から始まるシリーズです。
ほのかさんのお母さんが長い入院生活の上、他界。
その後、郷内さんの元に訪れ、家族と関わっていく。
ほのかさんは結婚し、2人の子供達と幸せに暮らしていたのだが、ほのかさんが癌と診断される。
強くて優しくて、素晴らしい母親。
郷内さんの気持ちも辛い……泣きました(´;︵;`)
【来るべき災禍】
次作に続くお話。
『怪談始末』に出てくる、郷内さんにとても関わりが深い「少女」が出てきます。
すぐに続編を入手したくなるお話です(^▽^;)
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人生は物語ではない。常に現在進行形で事象と結果が糸のごとく紡ぎあげられ、 死ぬまで編み続けられていく、果ての見えない一本のか細き線に過ぎないのである。
延々と紡がれていく糸の動きを途中で止めることなどできないし、仕上がりの麗しい部分だけを切り取って、不要な部分を捨て去ることも不可能である。(本文より)
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次は『拝み屋怪談 来るべき災禍』
もうすでに手元にございます——( ≖ᴗ≖)ニヤッ
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相も変わらず面白い
今回は口の悪い話が少なかったのは少し残念だけど、泣ける話が多かった。
多くを占める「ほのかさん」では先日亡くなった母を思い出し何度も泣いた。
怖いのはほどほどに、泣ける話が多かったのはある意味良かった。
こういう怪異もあるんだなって
ラストはまさかのサプライズ。
早く次巻を読みたい -
この人の本は二作目なのだが、本当に拝み屋をやってるのでしょうか?はたまた、この作品はフィクションなのかノンフィクションなのか判然としません。
作者にまつわる四人の女性のエピソードを中心に、箸休め的な小ネタを交えてこの構成。最後は次作への含みを待たせてのエンディング。良く出ているのですが、やはり、作り物っぽいお話だと思いました。
よくよく読むと大した中身の話ではないのだが、怪談という衣装を纏ってるので読み通せたのかとも思う。
また、これだけ本作の中で重要な役割を果たしている「花嫁の家」が手に入らないのはなんとかならないのでしょうか。 -
怪談集でありながら、計算されつくした構成で、個々の怪談話が繋がってくるのはミステリ的な快感があります。今回は四人の女性たちにまつわる話を軸にしており、切ない優しい話も散りばめられています。全体的に怖さは少し抑えめな印象でした。
内容と直接は関係ないですが、これ奥さんは大変だなあ。 -
2014年の郷内さんの身に起きた怪異を綴った「禁忌を書く」。
最後の一話で書いてもいますが、四人の女性にまつわる怪異を中心として構成されています。
ほのかさんと朝子の結末が、心に残るかなぁ、やはり。どちらも、新しい出発という意味では。そこまでの経緯が全く違うけれども。
ほのかさんの強さは、憧れ。
朝子の弱さは、反面教師として。
朝子のように逃げ出してしまう自分がいること知っているので、どこかで掛け違えていた自分かもしれない、と思って読んでいました。恐ろしい。
女性を中心につづった「禁忌を書く」。その最後に現れる怪異は、桐島加奈江。
郷内心瞳にとって彼女の存在は、切り離せないものなのでしょう。 -
私は本職の拝み屋さんという人がいる事を知りませんでした!
いるのか~。
まあ、舞台が東北ということで、ちょっと納得してしまいました。恐山のある東北、そして沖縄ならばそういう伝統が残っているでしょうから。
さて、拝み屋さんである作者が実際に見聞きした事をもとに書かれている本作、半ばノンフィクションといっていいのではないかと思います。
それだけに、これは怖い。単なる実話怪談よりもっと真に迫る恐ろしさが感じられます。
やはり実体験を、体験した人がそのままつづるというのは迫力が違いますね。
また、実際に職業にされている人なだけに、安易な浄霊、除霊がないことも、興味深いです。
これも、実際に職業としている人が実体験として描かれているからこその説得力だと思います。 -
「拝み屋」を生業とする筆者の怪談という切り口が新しく、説得力もあるので怖くて面白いものは大変面白いです。ただ、ちょっとおセンチな話もあったりでそれが個人的にちょっといらなかったかなあという印象です。しかしそういう職業の方のドキュメンタリーとしてはちょっとエンタメ性もあり良作かと思います。
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木原浩勝さんの怪談シリーズよりも読んでいて薄ら寒くなる話が多い気がしました。個人的には「式神ホテル」が印象に残っています。
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ここで出されている名前が実名ではないのだと思うけれど、実名で出されると、何故だか微妙に怖くなくなる気がする
作り物だと分かっていても、Nさん、という風に書かれたほうが、あぁ個人情報は伏せたいんだな、と現実にあったことのように思わせる感じ
話は拝み屋ならではという気がする。少し、毛色が違ったような -
著者は拝み屋を営んでいる。それゆえに厄介な依頼をされたり不思議なことを見聞きしたりすることもある。
公にすることを許されず、様々な妨害を受けつつも意地になって書き続けた「花嫁」の話。そしてその渦中に起きた、ある女性たちとの邂逅――。
怪異と関われば怪異を招く。その大半は不幸だが、中には幸もある。関係者から頂いた話を交え、著者だからこそ書くことができる拝み屋怪談集。
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木原浩勝氏の怪談がライト級なら、郷内心瞳氏の怪談はヘビー級だ。収録されている話のひとつひとつが読者の心に与える衝撃は大きい。かといって怖いだけではなく、序盤の不穏な空気、中盤で煽られる不安、終盤の荒れに荒れる展開で煽られる恐怖、そして台風一過後の青空と、その先にある再び来る嵐を思わせる最後。その構成は物語的で、それゆえに空言っぽく感じる読者もいるかもしれないが、読ませるものになっている。
前回と比べる流石に多少スケールダウンした感もあるが、まだ終わっていない物語もあるので、著者が何事も無く生きながらえて、次の怪談集を騙ってくれることを祈るばかりである。