ペギーの居酒屋 (角川文庫)

  • KADOKAWA
3.58
  • (6)
  • (9)
  • (14)
  • (1)
  • (1)
本棚登録 : 152
感想 : 11
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041044773

作品紹介・あらすじ

広告代理店の仕事に嫌気が差し、下町の居酒屋に飛び込んだペギー。持ち前の明るさを発揮し、寂れた店を徐々に盛り立てていく。そんな折、ペギーにTVの出演依頼が舞い込んできて……親子の絆を爽やかに描く

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 喜多嶋隆さん初読み。素敵な装丁のイメージ通り、優しい話で温かい気持ちになった。

    千駄木は団子坂にある居酒屋が舞台。主人公はハワイ出身の女性ペギー。ハワイの大学を卒業後、表参道の外資系広告代理店の就職が決まり、来日し代々木公園近くに住む。仕事では上司から不本意なデータ改竄などを指示され、結局上手くいかなくなり2年で退職。退職を決めた日、ふと通勤に使っていた千代田線の逆方向で気になっていた根津、千駄木方面に行き、一軒の大衆居酒屋に出会う。居酒屋の店主、その常連のご近所さんのつながりで住む場所も無事見つかり、居酒屋での仕事を通じて地域に馴染んでいく。ハワイの母子家庭での料理の経験が大いに役立ち、テレビへの出演なども通じて居酒屋は繁盛。ハワイに住む日本人の母と鎌倉の祖父母との関係修復などにも取り組む。

    近所の人たちが常連のアットホームな居酒屋、地元の人々、下町情緒とお屋敷街のいずれの側面も持つ千駄木をはじめ、ぺギーがここにたどり着く前の表参道の広告代理店、出演したテレビ番組、近所の魚屋の青年が過去に勤めていた総合商社といった都会的な世界、生まれ育ったハワイ、祖父母のいる湘南とさまざまな世界を味わえる。ペギーが店で作る酒のつまみの描写も最高に美味しそう。この小説の雰囲気にとても癒された。

  • 作者の喜多島隆さんがあとがきでも自ら書いているように、
    「誠実に頑張った人間が必ず幸せになれるという僕の作風が、ぶれることはない。」

    まさに、これだ。

  • 自分の生きがいを見つけられるか…見つけた生きがいを誇りに思えるか…
    そんなことを考えつつ、美味しそうな居酒屋料理に居酒屋大好きな私としては飲みに行きたくてウズウズの一冊でした

  • とても楽しく読了しました。「キャット・シッターの君に。」で出会った喜多嶋隆さんの「ペギーの居酒屋」(2016.11)良かったです。とてもいい居酒屋でした(^-^)おすすめです!

  • 居心地のよい居酒屋行きたくなります。

  • この著者のいつもの展開だが、いつもの葉山、鎌倉あたりがメインの舞台ではなく、千駄木の居酒屋が舞台。居酒屋がいかにあるべきかなど、いつもとちょっとちがう要素がある、さーっと読める。

  • 私は喜多嶋隆の悪者を勇気やアイディアで爽快に叩きのめす姿が好きだ。
    今回はちょっとそれがクドく思えた反面、
    居酒屋という場所、ペギィと女性編集者のサシ飲み、大家さんのアドバイスと、心の中にぽつんぽつんと言葉が染み入り、読後優しい心になれた作品。

  • ベテランの作家さんのようですが、初めて読みました。
    わりとよくあるエピソードで構成されているし、お料理もそんなに出てこないし、いろいろ都合よすぎる気もしますが、軽く読めて面白かったです。
    スッキリした文章は、雑味のなさから来ているのかもしれませんね。

  • ハーフのペギーは、2年間勤めていた広告代理店を退職することを決意。
    なんとなく気になった千駄木の駅で降りたペギーは一軒の居酒屋に足を踏み入れる。
    それが縁で、その居酒屋「休」で働くことになるが……。

    2016年12月1日読了。
    読んでいてふと思ったのは、これまで喜多嶋さんが描いてきたヒロイン像はペギーではなく、ペギーの母親の香澄だな、と。
    これまでのヒロインたちが親になり、その後が描かれているように感じられて、なんだか不思議な気持ちになりました。
    ペギーは今までのヒロインの凜とした部分は受け継ぎつつ、少し女性らしさが増して柔らかくなったというイメージ。
    喜多嶋節を残しつつ、新鮮な感じで良かったです。

  • ある事情で広告代理店をやめ居酒屋を手伝いはじめたペギー

    店を切り盛りするうちにTV出演の企画が持ちあがり
    老舗の料亭が開いた居酒屋と酒肴で対決することになる

    代理店時代の恋人と仕入れ先の魚屋の二代目
    ハワイで暮らす母と腰越に住む祖父母の関係がからみ
    ペギーの人生がうごいてゆく

    喜多嶋隆が居酒屋小説?
    なにこのストレートなタイトルにレトロなカバー!

    心配することなかれ
    千駄木の人情にハワイのテイストと湘南の風がブレンドされた佳品

    読後のカタルシスはいつもと同じかそれ以上

全11件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

東京・本郷生まれ。明治大学卒。学生時代からロックバンドでドラムスを担当。卒業後、広告業界に入りCMディレクターとして海外ロケに飛び回る。そんな中、ふとしたきっかけで応募した小説現代新人賞(講談社)を受賞。作家としてスタートを切る。「ポニー・テールは、ふり向かない」などの作品は次々と映像化され、リズム感と叙情性を両立させた作品世界は、読者からの熱い支持を得ている。その後、葉山の海辺に移り住む。潮風が吹き抜けるハワイや湘南を舞台に、人生で大切にしなければならないプライドや愛を爽やかに描き続けている。KADOKAWA、光文社、中央公論新社などからの著書多数。

「2024年 『夏物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

喜多嶋隆の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×