- Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041044865
作品紹介・あらすじ
アフリカでオレンジカビを原因とする新型感染症が発生した。一方、長野県の山間にある小さな町では、不穏な気配が徐々に忍び寄ってきて――。ベストセラー『長い腕』の気鋭が放つ、戦慄の生物ミステリー!
感想・レビュー・書評
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コロナ禍にある今読むと、とてもリアリティのある小説でした。対抗策がない間に広がる疫病の怖さが伝わってきます。
ケニアで発生したオレンジカビ、人間の免疫が一切反応しないその菌は瞬く間に身体全身に拡がり、死へと追いやる、、、。
特定の免疫を持った人が吸い込むと発芽し、その人の呼吸から吐き出された菌は周りの人に瞬く間に感染を広げる。。まさしく、人類を滅ぼす菌。
この本が出版されたのはコロナより全然前だけど、
今読むと、コロナの見方が変わると言うか、、小説の内容に現実味が感じられます。
実際にコロナ禍の今、全く別の類の病気が続けて蔓延したら、、そうでなくても大きな震災が先進国各所で連続したら、、世界が情報を共有してお互いを支え合う余裕が無くなったら、変異したウィルスに対応できなくて、人類が大幅に減るかもしれない。
そうしたら抑えられてた他の病気も流行り出して、数十年をかけて人間が居なくなる地球も考えられる気がします。
文明が疫病を蔓延させるっていうのも納得。今まさに、人の動きが止められなくて、コロナが広がり続けている状態ですから。
今読むのが一番、小説の中に引き込まれるかもしれません。
作者の方が医者なので、研究とか用語とか、わかりやすくも専門的で作った感がなく、緊迫感も伝わってどんどん読み進めたくなります。
画策した向井博士の結末がかなりあっさりだった事が、終焉に向けて少し物足りなかったですが、中盤過ぎたあたりで夫婦の章が向井博士の両親の過去話だと気づいてから、向井博士の行動には納得がいきました。
あと最終的にオレンジカビの蔓延を防いで10億人を救ったのが、片田舎の幼稚園児とおばあちゃまの家族愛から来るものだったのが、如何にも小説でしたが、結構感動的な結末になってるなと思います。学術特化した内容じゃなく、幻想的な部分があったのも面白く読めました。
いずれにしても、読むなら今!な小説です。
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ハザード系ファンタジー?もしそういうジャンルがあるとしたら、『鹿の王』とかと同じカテゴリってことか。それよりは微妙に現実寄り。でもやっぱファンタジー。ちょっとした謎も楽しめました。
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読み応えあり。
作者がお医者さんだからか、コロナの状況だからか
すごくリアルだった。場面がなんで分かれてるのか、いつ合流するのか、考えながら読むことができた -
2019.6.30読了
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2019.6.1-224
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赤い男とオレンジカビとの関係はなんとなくわかってくるのだが、あの人の存在に怯える夫婦とムカイとの関係、オレンジカビとムカイとの関係が中々見えてこない。終盤やっとわかる。
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この作者定番の手法が使われていて…それなのに油断してしまい、途中やっぱり驚かされてしまった。目に見えないものも怖いし、目に見えないものが見えてしまうのも怖い。
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『長い腕』の作中ずーっと漂う不気味さが好きで早く新刊でないかなって思っていた。今回もずーっと漂う不安感に嵌まった。疫神も人を殺したくなる衝動の描写も、おどろおどろしくて魅力的。
実は、世界を救うとかそういうところに感動を感じなかった。それよりも、関一家のそれぞれの想いに胸を打たれた。幼いけいやの、大人を想う気持ちが苦しかったし、愛しかった。
偶然にも、うちに祖父、祖母の遺影がやってきた。勝手に運命的なものを感じてしまった。