反社会品

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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本棚登録 : 140
レビュー : 36
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041045916

作品紹介・あらすじ

法に護られた高齢者と、死にものぐるいで働く若年層に分断された社会。若者は圧倒的な劣勢で。(「占領」)「働かないヤツは人間の屑!」と主張する愛国一心の会が躍進した社会で、病人は。(「人間の屑」)七編。

感想・レビュー・書評

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  • 7編の反社会的(?)な物語。
    特に印象的なのは、「無能児はバラ色の夢を見るか?」(タイトルは間違いなく、フィリップ・K・ディック『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』からとっている)だ。
    出生前診断で異常ありとされた実に9割異常が中絶を選択しているという(出典:毎日新聞 http://mainichi.jp/articles/20160425/k00/00m/040/119000c)。
    それは仕方のない部分もあるだろう。
    やっと授かったから、社会保障もある、そんなことを言っても、育てる親の責任は重い。
    私が死んでしまった後は誰がこの子の面倒を見るの、仕事は続けられるの、育てられるの、どうして私が。
    不安や恐れはあまりに大きな現実としてやってくる。
    私は8ヶ月の時に子供に内部障害が見つかった。
    当然中絶できる期間は過ぎていた。
    ショックではあったが、望んでいた子だったし、きっと、大丈夫、と言い聞かせた。
    でも、もっと前にわかっていたら、違う障害が見つかっていたら、どうしただろう?
    命の選別だ、そう言われたとしても、それをせずにいられるほど、この社会は温かく思いやりがあり、充実しているだろうか?
    なぜ私たちの税金で役立たずを見てやらなきゃいけないんだ、生きる意味なんてあるのか、そんな考えから起きた神奈川の事件を他人事と思えない親は私だけではあるまい。
    ラストには愕然とした。
    医療は100%はなく、命は神の領域だと思わざるをえない。

    「命の重さ」も考えさせられる。
    献血が趣味で、よく行く。
    ドナーにもなりたい、そう思うけれど、家族はいい顔をしない。
    そして私も、今、死んだとしたら、自分の年齢以下の人に使って欲しいと思う。
    それは命に優劣をつけているのだろうか?

    他にも老人福祉、不倫、不妊、......どれも興味深いテーマばかり。
    単なるSF?
    いや、これは自分の中にある、自己中心的な心が体現されたパラレルワールドである。
    それを否定するか、受け入れるか。
    どちらにせよ、それによって、我々は自分の醜い姿を実感させられることだろう。

  • 短編集。
    少子・高齢化などの問題を、医療テーマを切り口に7編。一見理にかなったような話を、ありえない過激さで描く。
    かなりシニカルでブラック。まったく笑えないようなものもあれば、あーなるほどなと感心させられる場面も。
    しかしながら、こんな社会がこないように願う。

  • いろんな話があったけれど、投票は行った方がいいね。

  • 何とも言えない読後感。出生前診断に翻弄された妊婦、断りきれず骨髄バンクに登録したが得られたものは…など。

  • 7話の医療短編集
    高齢問題、出生関連についての話が、織り込まれている。
    『不義の子』など、余りに医療に詳しすぎて、配偶者への疑念を抱かせてしまって、精神的におかしくなっているのだろうと思う。
    『命の重さ』は、上司からの圧力で、骨髄バンクへの登録をせざるを得ない状況に、家族たちの反応が、不安さが、増大しているのと、自分から積極的に登録を希望していないから、、、余計に本人も不安さが、大きく膨らんでしまっている。
    『のぞき穴』、、トイレの覗き穴から見た欲望で、医者になった男が、自分の精子を、不妊症の人の体外受精に、秘かに用いるのであるが、、、、
    だいぶ前に、どこかの御曹司が、アジアで、沢山の女性に自分の子供を作って、自分の家族(?)の一社会を作ろうとした出来事があったが、、、それに近いかもしれない。

    グロテスク、、、と、帯には書いてあったが、、私はこの本を最後まで読んでもスカッとしなかった。

    もう少し、夢のある医療について、描いてほしいと思った。

  • 医療系短編集。ブラックジョークのようなイメージ。
    不妊治療専門クリニックを開業、性質のよくない精子を持つ夫の精液と、自分の精液を入れ替える。自分自身は子どもをもうけていないが、世界中に自分の遺伝子を持つ子どもがたくさんいる…
    この話が一番面白かった。
    久坂部羊の作品は、外れがなく、医療現場をのぞき見るような面白さがある。

  • 反社会品という作品に相応しく、医療、家族の在り方を考える作品ではあったが、非常に読後感が悪い。
    それだけ筆者の問題提起が成功していると言うことなんだろうけど。

  • いつもながら医療の近未来が露悪的に描かれているが、やや行き過ぎで逆に鋭さを感じなかった。

    「人間の屑」
    「無脳児はバラ色の夢をみるか」
    「占領」
    「不義の子」
    「命の重さ」
    「のぞき穴」
    「老人の愉しみ」

  • 2018 7/15

  • 短編7つ。高齢、少子化、障がい、といった問題を医事に関わる話題でシニカルに触れる。2017.9.29

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プロフィール

1955年大阪府生まれ。小説家・医師。大阪大学医学部卒業。大阪大学医学部付属病院にて外科および麻酔科を研修。その後、大阪府立成人病センターで麻酔科、神戸掖済会病院で一般外科、在外公館で医務官として勤務。同人誌「VIKING」での活動を経て、『廃用身』(幻冬舎)で2003年に作家デビュー。近著に『院長選挙』(幻冬舎)、『カネと共に去りぬ』(新潮社)がある。

「2018年 『祝葬』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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