私の家では何も起こらない (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 488
レビュー : 46
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041046401

作品紹介・あらすじ

小さな丘の上に建つ二階建ての古い家。幽霊屋敷に魅了された人々の記憶が奏でる不穏な物語の数々。キッチンで殺しあった姉妹、少女の傍らで自殺した殺人鬼の美少年…。そして驚愕のラスト!

感想・レビュー・書評

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  • 昔から小説でも映画でもよくある、幽霊屋敷の物語。
    「この家には、私(家族)以外の何かがいる」
    丘の上に建つ、こぢんまりとした美しい洋館。その設定だけでもう、正統派の幽霊屋敷物語だ。

    丘の上の洋館に住む、1人の女性作家。かつて叔母が住んでいたというその家を、彼女は買い取ったのだという。
    周辺では昔からその家は“幽霊が出る家”だと有名で、そういったマニアの人間もしばしば訪れる。
    しかし作家の女性は「私の家に幽霊はいない。私の家では何も起こらない」と語る。
    その言葉は本当なのか。過去を辿ることで、真実が明かされていく。

    10の章に分かれた小説で、この家が幽霊屋敷と呼ばれるようになった理由(事件)が、ひとつずつ描かれている。
    時系列はばらばらなので、こことここが繋がっている、というのを読み解くのも面白い。
    括りとしてはホラー小説なのかもしれないけれど(「幽」というホラー誌に連載されていたとのこと)過度に怖がらせようとか、もったいぶって真相を明かすのを先延ばしにしようという感じはなくて、淡々と綺麗な描写で物語は進む。
    恐らく残酷と言われるシーンもあるのだけど、淡々としているせいか、まるで童話を読んでいるような感覚があった。

    大工の親子が家を直しに訪れる章があるのだけど、その章はとくに、コミカルな感じさえ受けた。どことなく温かく、怖いんだけど怖くない。ディズニーランドのホーンテッドマンションみたいな感じ。
    幽霊は怖い。だけど、生きている人間はもっと怖い。そう思える描写も。
    かつてその家に縁があった幽霊たちは、ただシンプルにその家を愛していたから離れがたいだけなのかも。

    最終章は単行本化するにあたって書き足したらしいのだけど、個人的にはなくても良かったかな、と。その方が、童話的な雰囲気の余韻が残ったように思う。

    恩田陸さんは幽霊屋敷の作品が昔からとても好きで、いつか自分も、と思っていたそう。
    ぞっとする恐ろしい幽霊屋敷の作品は数多あるけれど、こういう怖さもあるけれどどことなく温かくて可愛らしい部分もある作品は、あまり覚えがないかも、と思った。

  • ダ・ヴィンチ文庫版が個人的に見づらかったのでこちらで買い直し。

    *単行本からの転載*

    ある丘の上の家が舞台の連作短編集。分類としてはホラーか。
    恩田さん独特の文章で、とても凄惨な出来事なのにそうとは感じさせない不思議な余韻。
    各話は少しずつ繋がっているのですが、年代も登場人物もはっきりしないまま曖昧で、それがまた魅力。

  • さらりと読めるけれど静かな恐怖がじわじわとしみこんでくるような短編集。ダイレクトな恐怖ではなく、なんとなく不安になる。夜、自分の家なのに、廊下の暗がりや扉の向こうにふと理由も分からない恐怖を感じたことを思い出させるような。
    各短編はリンクしているけれど、一度読んだだけでは時事系列を理解することは難しい。でもこの分量なら再読も苦ではない。
    曰くつきのお屋敷の描写は、けれどどこかとても美しく魅力的。でも、過去に起こったことを知った上で住めといわれたらやっぱり住めないかなあ…

  • これは私の大好物なタイプの恩田陸作品で非常に楽しめた。恩田さんの書く不穏が好きで。
    巻末にも書いてらしたけど、シャーリィ・ジャクスンやデュ・モーリアの影響を色濃く感じさせながらも、恩田さん独特の味付けになっていて、頁をサクサクサクサク捲ることが出来た。
    家というものが持つ不気味さを存分に感じさせてくれる一品。

    また名久井さんによる装丁が凄く素敵。
    持ってるだけでも嬉しい文庫本かも。

  • ダ・ヴィンチ文庫版を持ってるので、増補でもない限り買わないかも。
    でも表紙は気になる。どんなデザインになるのかな~。

  • ひとつの物語として読もうとしており、時系列や登場人物がいまいちしっくりこないなあ、と感じていましたが、「いくつもの短編が連なって幽霊屋敷の年代記になる」という設定だったようです。
    それを巻末にある作者と名久井直子氏の対談で知り、しっくりきました。

    舞台となる「丘の上の旧館」は数多くの事件(死)がまとわりつく「幽霊屋敷」として近隣の人々から恐れられていますが、そこに新たに住むことにした女性作家が語り手です。
    事件によって犠牲となった多くの「霊」がその館には住み着いているのですが、あらたな住人として引っ越してきた女性作家は「1人」ではなく、さまざまな時期に複数人の作家が住もうとしてこの家を購入した、という舞台設定のようでした。

    本文中にある「幽霊屋敷とは何か。生の痕跡が残っている場所である。あるいは、「夢の中の日常」と「現実」とのかんけいのように、複数の時間のずれのため、図らずも出現してしまった生の残滓なのではないか。ならば、生の記憶のあるところには必ず幽霊は存在するのではないだろうか。」という”語り手”の述懐も、日常生活に「霊」をはじめとする死者の記憶や想念の痕跡を感じるという、そこはかとない恐怖を与えてくれます。

    ホラー作品が好き、という方は十分に楽しめると思いますが、何らかの「解決」や「結末」がある物語を求める人には少しものたりないかもしれません。

  • 幽霊屋敷と呼ばれる館では、過去悲惨な事件が相次いで起こっていた。そんな館に一人の作家が住んでいる。

    丘の上に建つ小さな洋館が舞台。章ごとに視点がかわり、その主人公が誰なのか徐々に分かっていく。その時のぞくぞく感がホラー小説として面白い。

    これは現在の話なのか、幽霊たちの記憶なのか。穏やかな暮らしの中で語られる恐怖がぞわりとする( ´;゚;∀;゚;)

  • 吹きさらしの丘に建つ、日当たりの良い家
    ここは幽霊屋敷とかつてから呼ばれ
    入居した人々による殺人や自殺、
    入居していないものの死んでいった人々が漂っている

    この家で何があったのか、読んでいくとだんだんわかっていく
    気味の悪い物語ながら修繕にきた大工の親子と幽霊たちの話は
    コミカルでおもしろかった

  • 幽霊屋敷を舞台にした短編集。
    さて、生きて語っていた人物はいたのかな?
    幽霊が代わる代わる語っていただけなのでしょうか?

  • 恩田陸を久しぶりに購入。
    本屋の夏の文庫フェアで特集されていたのが目についてしまったのだ。

    恩田陸って色んなジャンルに挑戦しているイメージがある。
    幅広いがゆえにいまいち自分にははまらないことも多いのだけれど、本作は海外の古典ホラー映画のような雰囲気でよかった。

    食糧庫の瓶の話と家の周りを這うものの話が面白かった。

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著者プロフィール

恩田 陸(おんだ りく)
1964年、青森市生まれ。幼少期は名古屋、長野、富山、仙台などを転々とする。高校時代は茨城県水戸市に在住。水戸第一高校を卒業し、早稲田大学進学・卒業。
1991年、第3回日本ファンタジーノベル大賞最終候補作となった「六番目の小夜子」でデビュー。2004年刊行『夜のピクニック』で第26回吉川英治文学新人賞及び第2回本屋大賞、2007年『中庭の出来事』で第20回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。
2017年『蜜蜂と遠雷』で第156回直木三十五賞と第14回本屋大賞を受賞した。同作品による直木賞・本屋大賞のW受賞、そして同作家2度目の本屋大賞受賞は史上初。大変大きな話題となり、代表作の一つに挙げられるようになった。

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