- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041046432
作品紹介・あらすじ
江戸は両国。暮れても提灯の明かりが灯る川沿いの茶屋は、夜も大賑わい。通りの向こうの見世物小屋では、人形遣いの芸人、月草の名が最近売れてきている。なんでも、木偶の姫様人形、お華を相方に、一人二役の話芸を繰り広げるのだという。それも、話芸が目当てというより、お華に会いに来るお客が多いというのだ。何故なら。“まことの華姫”は真実を語る――
姉を殺したのは、実の父かもしれないと疑う、小屋一帯の地回り山越の娘・お夏。
六年前の大火事で幼な子を失い、諦めきれずに子ども捜しを続ける夫婦。
二年前に出奔したまま行方知れずの親友かつ義兄を探しにはるばる西国からやってきた若旦那。
そして明らかになる語り部・月草の意外な過去……
心のなかに、やむにやまれぬ思いを抱えた人々は、今日も真実を求めてお華の語りに耳を澄ます。
しかし、それは必ずしも耳に心地よいものばかりとは限らなくて……
快刀乱麻のたくみな謎解きで、江戸市井の人々の喜怒哀楽を描き出す、新たな畠中ワールド!
感想・レビュー・書評
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両国橋の両岸にある火除地の見世物小屋に、お華という木偶人形を相棒に、口を動かさずに喋るという話芸を披露する、月草という芸人がいる。
月草の相棒の人形の目には、まことを告げたという、井戸から拾いあげた、水の玉が入っていて、
その玉が、お華に真実を語らせているのではないかと噂が囁かれ“まことの華姫”という二つ名がついていた。
畠中恵氏の作品なので、楽しみにしていたけど・・星一つ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
畠中恵の江戸時代物。
シリーズにもできそうですが、今の所これ一作ですね。
江戸時代の両国界隈。
夜になっても見世物小屋でにぎわっています。
あたりを取り仕切る地廻りの山越親分の娘・お夏は、姉の死に父親が関わっているのではという疑いを抱いていました。
姫様人形を遣う腹話術で人気が出てきた月草という芸人。
この人形の華姫が真実を語るという噂が立ち、お夏は出かけていきます。
月草もなかなか美形だけれど存在感が薄く、華姫のほうがずっと生き生きしているよう。
客席と掛け合い、人気を博していて、追っかけまでいる?
子供が行方不明になったままの夫婦が改めて子供を探したら、7人も名乗り出てきた。果たして、どの子が本物か。
華姫が盗まれてしまい、誰が何のために?
月草が探した結果は‥
西国での放火事件が江戸にまで影響し、今になって‥?
華姫がいきいきしていて魅力的。
もしかしたら‥生きているんじゃないか?とか。
最初は表紙イラストのイメージで読みましたが、最近、文楽を見る機会があり、文楽のお人形だともう本当にちょっとした仕草が色っぽくて目が釘付けなんですよ!すっかり、そのイメージになりました。
ヒロインは13歳の女の子なので、他のシリーズと違った展開ができそうですよねえ。
続編が出たらいいなー! -
畠中さんの時代物は、時代劇か?ファンタジーか?推理か?
悩むところですが、良作を紡いでいることは変わり無し。
今回も、ほんわかした雰囲気ながら、
きっちり推理。江戸の情景もしっかり。
“まこと”=真実を知ることの重みを紡いでいます。
華姫の声音は月草・・・とわかっていても、
人形の彼女が話しているような錯覚?
もしや、本当に“まこと”がわかるのか?
・・・なんとも不思議。
ほぼ月草の過去の話が短編全体に散りばめられています。
はて、2作目は出るのかな?
お夏ちゃんと月草の今後も知りたいところ。
そして・・・おじじ殿って・・・何者?
知識・落ち着き・人あしらい
・・・なんか注目してしまった♪ -
辛い過去から逃れようと両国に流れ着いた人形遣い月草と、姫様人形お華のコンビの元に舞い込む市井の事件。
直接かかわらずに「真実」を見通してしまうお華の目。私も見て見たい。木偶人形がいきいきと語る様を、そしてその目を通して見てもらいたい、心に秘めた謎のまことを(いや、ないけどね) -
こちらはまた畠中さんの新シリーズと言うことで良いのでしょうか。それとも1冊で完結?
しゃばけとまでは行かずとも、うずら大名よりは続けやすそうな設定だな、と思いました。
ヒロインが13歳と若いので、これから年を重ねていく分も続けられるのでは……。縁談話とかも。
畠中節はそのまま、最近の作品の中では楽しめた気がします。何となく、人形師の芸人、月草は高橋一生さんで脳内再生されてました。彼の繰る姫様人形、お華が魅力的。
何度も何度も、お華は木偶人形、月草が操っていて、声色を使って語っているのも月草なのだ、と但し書きされるのですが、されればされる程、お華って実は生きているんじゃないかしら? と思わせるんですよね。まるでフラグ。その不思議さの匙加減が丁度良いのです。
短編5篇からなる一冊。
切なく仄暗い過去を持つ人形師と、姉を亡くしたばかりの地回りの親分の娘とが謎解き、事件を解決していく、悲しい、恐ろしい真実を見抜いて知っていく物語。
だけれど語り口、全編通した雰囲気はほのぼの和やか、愉快。優しいのです。
そう言えば、人形師の月草、宮部みゆきさんの作品に登場する若先生、青野利一郎と雰囲気が似ている……。こう言うキャラクターが好きなのかもしれません。
以下引用
“月草の背から、馴染みの声が聞こえてきて、お夏はにこりと笑った。”
背中から、と言ってるわけです。
背に背負ったお華が話していると。やはりお華が直接話しているとしか思えない描写です。
まあ、いっこく堂さんも缶の中に閉じ込められた風に聞こえる腹話術なんかされますから、不可能では無いのかも。
それと、『昔から来た死』では、現代よく目にする、他人のイラストや歌声を自作と言って憚らないツイッタラーなんぞが脳裏に浮かびました。それで評価されて嬉しいのだろうか、と見かける度に首を捻ってます。 -
人形探偵、”まことの華姫”が謎を解くミステリ、、って江戸ものではないですが現代もので腹話術の人形が名探偵というのはすでにあるのでそんなに目新しくはないですが、文楽人形というのが美しくて良いビジュアルだと思います。人情話もからめて畠中作品らしい軽く読みやすく、リラックスにいい。
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江戸時代の町人って、元気があるよなあ。
大変なこともいっぱいあったんだろうが、
毎日生きることに全力だね。
月草と華姫のやりとり、
私も間近で見てみたいものです。
別にまことを伝えてくれなくてもいいから。
知ることはとても大事だけれど、
知ると後に引けなくなることも多いからね。 -
お江戸のいっこく堂こと「月草」と、彼の人形「華姫」の話。
人形の可愛らしさは比べられませんけどね!姫様人形の華姫美しいですわ。
真実を語ると噂をされる華姫は、そんな理由で騒ぎに巻き込まれてしまう。
もちろん月草がいなければ動くことも喋ることもできないわけですが、それでも話の真をみつけていく。
舞台上でお客いじりで座を沸かすとか、凄いなあ。それでいて1人だとなんかダメなのは喋りでしょうなぁ。綺麗な牡丹(華姫は薔薇というより牡丹)がこまっしゃくれて口が悪い、これはウケますよね。 -
内容紹介
人形遣い月草と姫様人形お華の迷コンビが江戸の事件を快刀乱麻!
江戸は両国。暮れても提灯の明かりが灯る川沿いの茶屋は、夜も大賑わい。通りの向こうの見世物小屋では、人形遣いの芸人、月草の名が最近売れてきている。なんでも、木偶の姫様人形、お華を相方に、一人二役の話芸を繰り広げるのだという。それも、話芸が目当てというより、お華に会いに来るお客が多いというのだ。何故なら。“まことの華姫”は真実を語る――
姉を殺したのは、実の父かもしれないと疑う、小屋一帯の地回り山越の娘・お夏。
六年前の大火事で幼な子を失い、諦めきれずに子ども捜しを続ける夫婦。
二年前に出奔したまま行方知れずの親友かつ義兄を探しにはるばる西国からやってきた若旦那。
そして明らかになる語り部・月草の意外な過去……
心のなかに、やむにやまれぬ思いを抱えた人々は、今日も真実を求めてお華の語りに耳を澄ます。
しかし、それは必ずしも耳に心地よいものばかりとは限らなくて……
快刀乱麻のたくみな謎解きで、江戸市井の人々の喜怒哀楽を描き出す、新たな畠中ワールド!
内容(「BOOK」データベースより)
真実を引き受ける覚悟はあるか―姉を殺したのは実の父かもしれないと疑う、地回りの親分山越の娘、お夏。ある事件で身を損ね、人形師から芸人に転じた過去をもつ月草。やむにやまれぬ想いを抱え、客は今日もまことを求めてお華に会いにやって来る。でも真実は、知ってしまえば後戻りできない恐さもはらんでいて…たくみな謎解きと軽妙な掛け合いで江戸市井の悲喜こもごもを描き出す著者の新境地!