終末なにしてますか? もう一度だけ、会えますか?#04 (4) (角川スニーカー文庫)
- KADOKAWA (2017年4月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (292ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041046579
作品紹介・あらすじ
「フェオドール。わたし、やっと決めたよ。──きみの、邪魔をしてやる」
妖精兵ティアットと堕鬼種(インプ)の対峙は、ラキシュの振るう《聖剣(カリヨン)》セニオリスの一撃で決された。
手負いの堕鬼種が目指すのは――かつての戦場、コリナディルーチェ市。
バロニ=マキシ一位憲兵武官の計らいで彼の地へ向かったティアットは、朱髪の先輩妖精兵らと邂逅を果たす。
一方その頃、妖精倉庫の管理人喰人鬼(トロール)もまた、旧き知人を訪ねてその地を訪れていた……。
アニメで話題騒然!! 涙と希望を受け継いだ、次代妖精による第2部! カバーイラストはナイグラート!
感想・レビュー・書評
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相手を救おうとする考え方故に別れて行動することになったフェオドールとティアット。だからこの巻で二人が会話するシーンなんてごく僅かしか無い。それでも互いの理念を理解し合い、尊重した上で邪魔をしようとする関係性はやはり強烈
また、ラストの会話シーンだけでもフェオドールとティアットの間を遮るものなど無いと感じてしまいそうになる
まあ、それにしたって何してんの?と言いたくなる行動をフェオドールはやらかしてるけど。あの場面ですぐに反発されないということはそれだけの感情がそこにあるということなんだけど、人の嘘を見抜くのが得意な筈のフェオドールがその嘘を見抜けないのはちょっと面白可笑しい
この巻ではどちらかというと黄金妖精であるティアットよりもただの堕鬼種でしか無いはずのフェオドールの方がどんどん危うい事態に陥っていく
今のフェオドールは周囲を騙して自分を騙してそして歪な作戦を掲げながら、その裏に隠された信念を成し遂げようとしている。その中での最大の犠牲者であり同時に協力者となっているのが人格が崩壊したラキシュ
今のラキシュを支えているものはフェオドールによって植え付けられた「友人としての情」であり、それをラキシュが示せば示すほどフェオドールに罪の意識を自覚させる。けど、同時にその「友人としての情」が今のラキシュを健全に保つ方法でも有って。
フェオドールにとっては何とも辛い展開だけど、当のラキシュがその呪術に因る錯覚を自覚した上でそれでも尚、フェオドールに付いていくつもりで居ることは少し意外だったな
植え付けられた偽物の感情であっても、全ての記憶を無くした今のラキシュにとっては拠り所となる感情なのか。……ラキシュのそんな感覚がちっともフェオドールに届いて無さそうなのは寂しいところだけど
ただ、それにしたってフェオドールとラキシュの関係性はいい感じだね。フェオドールとティアットも終わりかけた世界のヒーローとヒロインとして良い関係性であるけれど、フェオドールとラキシュは目的と行動を同じくするツーカーの仲であるように見える
そして、この巻でフェオドールは黄金妖精全体のために行動しているけど、目下の目標としてまずはラキシュを救うつもりで居る。あの滅多に本心を語ろうとしない、けど、ダダ漏れ気味なフェオドールがマゴメダリに向かってラキシュを助けるためにあそこまで本心を明らかにするとは思わなかったな
あれ、本人は詐術を織り交ぜたとかいつもの調子で思ってそうだけど、端から見る分には全力全開の本音の言葉だよね
それ以上に本心を明かした相手が同じ堕鬼種である姉であったのは印象的な展開
どうやったって嘘と嘘でしか会話できないような姉弟であり、あの姉を出し抜くためには姉以上の嘘を吐かなければならない。でも、フェオドールはあの場面で嘘を吐かなかった
姉が珍しくフェオドールの命を案じるかのような助言をした行為に応じるかのように、またフェオドールも嘘偽りのない本音と理想を語る。その理想はあまりにも無茶苦茶で支離滅裂で、でも大切な誰かを助けたいという想いに溢れていて。まあ、要するに彼を主人公たらしめる充分過ぎる行動理由だった
黄金妖精を兵器として扱う者であるなら護翼軍、貴翼帝国、そして助ける対象の黄金妖精だろうと全て自分の敵だと宣言したフェオドール。
彼がここからどれほどの大業をなせるのか、ちょっと期待したくなってきた
フェオドールに混じり合ったヴィレムや獣の思念。これがフェオドールにどのような影響を齎すことになるのかな?何やら思念の方は矢鱈と物騒なことを言っているけれど -
コリナディルーチェ市の名物料理、ラップドラム(包み羊)。ちゃんとした店で買えば絶品のはずだけど。
フェオドール、店選びに失敗してるw