死と呪いの島で、僕らは (角川ホラー文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 290
感想 : 25
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041047354

作品紹介・あらすじ

――それでも、彼は彼女に、恋をする。
ボーイミーツガールから始まる最恐の青春ホラー!

東京都の果ての美しい島。
美しい少女、椰々子は、死者の預言を聞く力を持ち、不吉だと疎まれている。
同級生で名家の息子の杜弥は、そんな彼女に片想い。
しかし椰々子が「災いがくる」という預言を聞いた日から、島に異変が。
浜辺に沈没船が漂着し、海で死んだ男が甦り、巨大な人喰い鮫が現れる。
やがて島に迫る、殺戮の気配……。
呪われているのは、島か、少女か。

怖さも面白さも圧倒的!! 
第21回日本ホラー小説大賞《大賞》受賞作!

感想・レビュー・書評

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  • ミステリ要素もあり、ホラーでもあり、青春小説でもあった。
    テンポもよく、広げた話を最後にまとめていた。
    面白かった。


    東京都の果ての美しい島。高校生の椰々子は、"呪われた美少女"として島民に疎まれている。そんな彼女に、島の有力者の息子・杜弥は、密かに片想い中。しかし彼女が禍々しい予言を聞いて以来、島に怪異が続発し…。
    ※本書は二〇一四年十月に小社より刊行された単行本『死呪の島』を加筆・修正の上、改題し文庫化したものが底本です。

  • ひどい内容。
    とてもホラー大賞の作品とは思えない。
    前半はましだが、読むにつれ内容がぐちゃぐちゃ。
    いくらホラーとはいえひどい。

  • すごく面白そうな気配があったけれど、期待はずれだった。
    設定とかが面白いはずなのに、十分に活かしきれてないまま、物足りなさを残したままにおはなしが終わってしまった感じ。
    ホラーらしく多少寒気のするところもあるにはあったけれど、全体的にインパクトは小さかった。
    170508

  • 短い民話や引用と、それにまつわる怪奇が起こり、島に災いがやってくる…

  • 半分くらい読み終わった段階で、先が予測できずにこれからどうなっていくのかと期待していました
    ちょっと予想を裏切られるエンディングにどう感じるかは人それぞれでしょう…

  • これも、個人的・ホラー特集の一環。色々読んだけど、押しなべて並だった中、本作は気に入った方。オカルト寄りだけど、ミステリ作品としてもかなり楽しめる仕様になっているのがポイント高し。

  • 色んなもの詰め込み過ぎ!!
    よくこれだけ詰め込んだもんだ\(◎o◎)/
    最初は閉鎖的な島のホラー話かと思ったけど
    それがやがてブードゥー教まで絡んできて
    Σ(・ω・ノ)ノ! って感じになったのに
    人間以外の念まで絡み、 なぜか最後恋バナ風味(笑)
    あまりにも広大な話になったため
    最後怖いと思うより広げた風呂敷どう畳むんだろう?って
    そっちの方が気になってしまった小説。
    普通自分の大事な子供を〇〇に使うか?って思うけど、
    なんて言うか凄いな…凄い展開、
    トンデモ展開、
    なんでもあり!!
    怖いと言うより凄い!!(笑)

  • 展開が壮大過ぎてびっくりした。
    最初の設定は凄くいいので、異国の宗教の話とかまで手を伸ばさない方がまとまりがあったと思う。

  •  2014年に日本ホラー小説大賞を取った作品で、この文庫の帯には「青春ホラーの傑作!」と書かれており、裏表紙には「怖さも面白さも圧倒的!!」という文言も踊るので、これは面白いのかもしれない、と手に取った。
     文庫の表紙にはいかにもアニメタッチなイラストが書かれているし、高校生を主人公とした青春ホラーなら、きっと若い作家が書いたものだろう、と予想したのだが、調べて見ると著者は現在40歳だった。言われてみれば、最近のエンタメ小説にしてはやや改行が少なく、難読漢字も多くて、ときどき古い言葉が使われる辺り、長年の読書家である書き手をイメージさせる面があった。
     もっとも私には怖くなかった。怖いというにはずいぶんとポップである。そうした特徴が、これは若い書き手だろうと私が勘違いした原因のひとつだった。
     女主人公も高校生なのだが、いきなり日本の巫女の服装で登場する。巫女の装束といえば、いまやサブカル界において「萌え」制服のひとつであって、そこには現実界のなまなましさより記号論的かつ漫画的なイメージが刻印されていると思えた。
     この冒頭シーンが象徴的に示すように、物語はおよそ非現実的で、漫画っぽい。人物は薄っぺらで心理描写はステレオタイプ。おまけに文体も常套語法に満ちている。
     私が敬愛するスティーヴン・キングの作品のような、ねばつくモノローグによって確立される主体の確かな輪郭など、ここにはみじんも無かった。
     だから、スプラッタなシーンが出てきても、全然恐ろしさは感じられない。人物の腕がもぎ取られるような場面でも、映像は浮かんでも痛みや心的衝撃は出てこない。
     このへんは、現在の日本カルチャーにおける心的ヴァーチャル性・虚構性の波に一致している。ビデオゲームに端的にあらわれたように、ある時代以降、日本のほとんどの世代は、「痛みなき虚構の生」にまどろんできた。戦うポケモンの痛みは画面上あらかじめ消去され、ポケモントレーナーは完璧に安全な場所でコマンドを選ぶだけだ。ポケモンのHPがゼロになったときだけ、操作者はちょっとあせるくらいだ。
     痛み無き世界といえば、こないだ見たアニメ映画「この世界の片隅で」も印象的だったのは、主人公の片腕が爆風で焼失したのに、痛みも慟哭もえがかれず、平然とした日常に回収され、ただ人物の片腕の不在だけが淡々と刻印されている。これはなんだか「気持ち悪い世界」だと私は思った。
     この「気持ちの悪さ」は本書の世界にもあって、いろんな酷薄な事件がつぎつぎと起こり、友人も死んだりするのに、視点となっている主人公の男子高校生は、型どおりの反応はするものの、それらはすべてウソっぽく、本当には主体を揺さぶられるようなことが無いように見えるのだ。
     この小説世界には全然現実性がない。漫画的だというのは、オタク世界のさまざまな表象がすべて「記号を指し示す記号の群れ」でしかなく、二次創作のように、シミュラークラに基づいたシミュラークラであるために、どこまで辿ってもナマの現実世界にはたどり着けないような構造になっているからだ。
     これが現在の(比較的若い世代の)日本文化の核心である。たとえばコスプレなるものが、その大半がアニメのキャラのような仮構を指し示す記号であり、自己の身体をそのように記号化し虚構化させてしまう例にも、この構造がはっきりと見られる。
     本書の人物が高校生だったり巫女だったり漁師だったり警官だったりしても、すべては虚構のコスプレであって、たとえば「リアルな高校生活」のような生々しさは完全に欠落している。
     もっともこのような「虚構を参照する虚構」という意匠を、私は批判しているのではない。社会学的な興味をもって分析している。
     本書は、すべてが薄っぺらいペーパーマリオのような世界ではあるが、最後に明かされる謎の解明の部分は、ミステリ小説として面白いと感じた。
     民俗学的な背景と、日本が古来オカルト的なものとして歪曲化して受容した仏教、神道、ヴードゥー呪術の知識などがごちゃ混ぜになった悪趣味なカーニバルが最後に明確化され、そのへんは、今の日本文化がマニエリスムの段階にあることを再確認させてくれた。

  •  伊豆諸島に浮かぶ架空の島、須栄島を舞台とした伝記ホラーもの。
     補陀落渡海や、島に伝わる昔話を章扉にもってきて、途中までは章ごとの完結型の話が続く。
     そして、終章に向けて島に隠されてきた呪いと、地球の反対側での呪いが融合して、島に災いが降り注ぐ、という話になる。
     閉鎖的な田舎はいやですわね。

     伊豆諸島の果てに浮かぶ須栄島、かつての饐島には海流に乗って様々なものが漂着する。例えば、水死体。
     その流れ着く断崖の浜、寄せ室には島から村八分にされている身寄りのない少女、椰々子がいた。
     海神が水死体の口を借りて彼女に語り掛ける。
    「災いが来る」と。

     町の名士の次男、白波杜弥は父と兄が島のことを全て決めるのが気に食わない。
     椰々子を村八分にしているのも自分の家族なのだ。
     自分への隠し事が多すぎる。

     そんな日常に事件が起きた。
     海で行方不明になった漁師と思われる死体が上がったが、数日後にひょっこり帰ってきた。
     しかし、その死体のDNA検査の結果から、行方不明だった漁師本人だと断定される。
     その漁師の顔を持つ”それ”は、いったい何ものなのか。

     浜に漂着した難破船、海に消えた新婚の妻、島に降り注ぐ災いが続く。

  • 呪いが存在するという離島が舞台のホラー小説。

    初めは面白そうな雰囲気がムンムンしていたのだけれど、色々と詰めすぎて纏まりがない印象。
    ホラーと言われれば、まぁそんな気はしなくはないのだけれど、全く怖くない。
    ファンタジーに近い様な。
    最後の僧侶が出てくるシーンなどは壮大すぎて今一ついていけず。
    ホラーと謳わなければ、また違う楽しみ方が出来たかも知れない。

  • 舞台は伊豆諸島の東端の須栄島。何故か島民から村八分の扱いを受けている椰々子という女子高生孤独。そんな彼女のことが気になっている同級生の杜弥。この二人が物語の主人公。
    昔話で語られていた〈顔取り〉〈大師火〉〈鋤持の神〉〈補陀落渡海〉などという怪異が次々と起こるこの島っていったい・・・?
    そして、島に「災い」をもたらしている元凶は誰なのか?もしくは何なのか?その謎が解き明かされる過程にはらはらするあたりは、綾辻行人さんの『Another』のような雰囲気を感じました。
    陰惨なシーンもありますが、結末は青春ホラーという趣です。

  • てんこ盛りホラー/ミステリー

    椰々子が聞く神からの予言だけが物語とどう絡んでいたのかだけ謎。
    聞けるだけ?

  • 島特有の因習や伝承に絡めたホラーかと思っていたら、途中からどんどんスケールが大きくなり、国や時間を越えた壮大な物語に。

    呪いに怨念、ブードゥー教、カニバリズム、そして死者の復活、と正直詰め込みすぎの感はあるかな。
    呪いとか怨念とかも大好物なんだけど…。現実離れした状況でどんどん人が死ぬ割りに、あまり恐くないのが残念。

    でも、青春ホラーというだけあって、椰々子と杜弥のラストが爽やかで、救いがあっていい。

  • 島にありがちな呪いや昔ながらの言い伝え的なホラーだと思ったらなんとも壮大なお話だった。

    でも、無理やりなこじつけもあったりで内容の割には薄いかなぁ

  • 2017.7.1 読了

  • 「呪われているのは、島か、少女か。――それでも、彼は彼女に、恋をする」というキャッチコピーは胸キュンキュンしそう。ホラーは苦手だけれど、「青春ホラー」の触れ込みに惹かれました。

    東京都の果てに浮かぶ美しい島。美少女・椰々子は赤ん坊の頃にこの島に漂着したところを救われた。が、素性がわからず、死者の預言を聞く力を持つ彼女は不吉だと疎まれ、村八分にされている。彼女の同級生で町長の息子・杜弥は、立場上、彼女の面倒をみている父や兄からも彼女に関わらないようにと言われているが、それでも彼女のことが好き。ある日、椰々子が「災いがくる」という預言を聞いて以来、島に次々と異変が起きて……。

    島の美しい情景は目に浮かぶようだし、杜弥はじゅうぶん「青春」しています。そんななかで、顔を乗っ取られる住民が現れたり、連続して惨殺事件が起こったりして興味はそそられます。しかしどうにも話が散漫。あっちこっちへ飛んだうえ、終盤にそれまでまったく出てこなかった町人が登場したりして、しかもこれがわざわざ説明を要する人とも思えず。島に災いをもたらすきっかけとなった人物というのか犯人はわりと早くに想像がつくのもつまらない。ちっとも怖くないし。だけど、これを映像化したら、そこそこおどろおどろしい作品になるのではという気がします。

    青春ホラーですから、最後はもちろん青春。爽やかだから良しとしましょうかね。

  • ミステリーは大好きだけど、怖がりなのでホラーは苦手。
    それでも一気読みするくらい面白かった。
    もちろんグロテスクな部分はあるけれど、主人公とヒロインが真っ直ぐで中和される。
    ゾクゾクしてハラハラして、でも読後感の良いエンターテイメント。
    半端な季節に読んでしまったけれど夏に読みたかった。

  • ディズニー的な王道系の物語展開で当たり障りなく面白いとは思いますが、ちょっと呪術やらうんたらで情報過多な気がします、、そして致命的なのがまぁ〜怖くない、、角川ホラーさ〜んT^T

  • 離島を舞台にした、かなり盛りだくさんな青春ホラー。章ごとに都市伝説的内容だったり島の伝承的な内容だったりとテーマが異なる事件を扱っているが、それらが島の大きな異変の正体へとつながっていく展開にわくわくした。予想外にスケールが大きくなり派手な展開となるが、風呂敷をしっかりと畳んだ手腕は見事。
    初めの方、特に顔取りとヨットの話は好みで怖さもあったのですが、後半にいくにつれてなんでもありにしてしまい緊迫感はあるものの怖くはなかったのが少し残念。
    空回りしつつもがんばってる主人公には好感がもてた。ざっと読み返してみると、友人はかなり重要なポジションだと思うのに若干影が薄く、理不尽かつ不憫。

  • 人物設定がAnotherのような青春モダンホラー。文体は荒削りな感じも、それがむしろ新鮮。突飛な展開で楽しませてくれる。これからが楽しみな作家。

  • エンタテインメントとして面白いんだが、
    ちょっと「あれもこれも詰め込みすぎ感」あり。
    作者のサービス精神はもの凄いが、
    もう少し交通整理できてるとさらに良いか。

    出だしは横溝正史風「田舎の因習話」かと思うと、
    青春小説風だったり、ホラーだったり、
    もちろんミステリ要素もあったり。

    「で、結局どんな話?」と聞かれた時に、
    「こうだ」と答えられる「どんとした印象」がない。
    これが若干読後感の「弱み」ではないかと。
    ミスリードも、私には先が読めたし。

    が、読んでる間は、けっこうなドキドキワクワク感(^ ^
    繰り返すが、読んで面白い本ではあるので、
    批評家の目を捨てて読めば純粋に楽しめます(^ ^

  • 日本の離島のオカルト話が、東洋の法力vs西洋の呪い対決にまで広がって一気読み。
    楽しめたけど、あんな大惨事に度々見舞われるのに「こういう島だから仕方ない」で済ます島の人たちに唖然。嘘でしょ!?自分だったら即引っ越しますけどw
    親を慕う子ども双方の気持ちがせつなかったなぁ。
    途中途中に挟まれたクライマックスのヒントの断片を辿りながら、もう一度読み返したい。

  • 最初は何も考えずに文庫本の表紙が良かったので買ったのだが・・・まさかホラーとは思わなかった。ただし、普通のホラーとは違う、清々しいホラーというかミステリーというか、・・・かと言ってかなりグロイ所もあり、ラストではまさにゾンビが海から島に這い出てきたりで、何でも有りという感じでした。

    内容的には6つの章に分れており、それぞれの章に伝記的ミステリー、民俗学的ミステリー、呪いのミステリー等々とかなりグロテスクな描写が多々あるが、前述したように清々しさを感じるのは、この小説の主人公「杜弥」と「椰々子」の恋心が描かれていたからだろうと思う。

    ある人に言わせればちょっと詰め込みすぎと言われているが・・・私はそう思わない、一種のエンターテートと考えればそれはそれで面白かったと思う。ただ、最後の一波乱はもう少し丁寧に描いて欲しかった。

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著者プロフィール

ゆきとみ ちあき愛知県出身。日本大学生物資源科学部卒業。2014年、『死呪の島』(受賞時タイトルは「死咒の島」)で第21回日本ホラー小説大賞“大賞”を受賞。同作は『死と呪いの島で、僕らは』と改題ののち文庫化。みずみずしい青春ホラーとして話題となった。他著作として『黄泉がえりの町で、君と』(角川ホラー文庫)がある。

「2022年 『ALIVE 10人の漂流者』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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