- Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041047484
作品紹介・あらすじ
忍者と芭蕉の故郷、三重県伊賀市の高校に通う伊賀ももと上野あおは、地元の謎解きイベントで殺人事件に巻き込まれる。 探偵好きの二人はこれ幸いと、ももの直観力とあおの論理力を生かし事件を推理していくが!?
感想・レビュー・書評
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麻耶入門としては良く出来た作品。ただ麻耶作品にしてはあまりに弱い。
一、二編目はロジカルなミステリで、ある意味作者の特有のやや細か過ぎるほどの論理が楽しめる。犯人当てとして水準は高い。
三編目はこの作者の本領発揮とも言える展開で、探偵と助手の関係や探偵の存在への観念的な問いかけが浮かび上がる。ただ麻耶ファンとしては今作もそれなりに楽しいが、「今更このネタをやられても」というのが本音かもしれない。一貫してやや真面目なミステリだった。
ちなみにあお派です。でもももを手元に置いておきたいというのはちょっと分かる(笑)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ちょっと一つ目の話しでおもしろさが理解できず読了断念。ほかの方のレビューを拝見すると、ミステリーとして楽しめる作品っぽいことが書かれているので、単に自分にはあわなかっただけ、ということだと理解いたします(なので星の評価もなしにしておきます)。
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うーん、大好きな先生だから期待しすぎてしまったのか…もうちょいパンチが欲しかった。でも内容は本格推理推理していた。一問も犯人当ては解けなかった。
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名探偵を目指す二人の女子高生の物語。
ももの兄が刑事で捜査情報ダダ漏れとか全体的にライトで毒も少なめだが、もともとはNHKの謎解き番組の企画らしく納得。
しかし第3話で明らかになるあおのももに対する想いは、さすが麻耶雄嵩である。 -
飛び抜けて二人の個性が際立っているわけでもなく、萌え萌えしているわけでもなく、わりとたんたんと進む。風景や現場の状況がつかみづらく、いまいち入り込めなかった。第二話は空という名前がリーダビリティを下げていると感じた。パッと見、見上げると見える本物の空なのかと勘違いしてしまう。第三話まで読むに至らなかった。
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舞台は伊賀上野。忍者の里です。実は去年の夏、旅行に行きました。タイムリー。
主役は女子高生の伊賀ももと上野あお。三篇が収録されています。
・伊賀の里殺人事件
上野城公園内で行われたミステリーツアーの最中、芭蕉の句に見立てたような殺人事件が起こる。
現場はミステリーツアーで各参加者が回ることになっているポイントの一つ。各参加者は基本的に決められた時間ごとに入れ替わる感じで、一人でポイントを回ることになっている。更に忍者装束や芭蕉の旅の服を着ていたりする。
事件が起こった時、ももはミステリーツアーの参加者の一人と一緒にいた。
また、目撃証言などもあり、容疑者はだんだんと絞られていく。
容疑者たちが装束を着ているので、厳密に顔が見えない。これが、外からの侵入者がいたことをカムフラージュしている。
・夢うつつ殺人事件
ももたちと同じ高校に通い、美術部に所属している女子生徒・初唯は、まどろんでいる最中に殺人の相談のような声を聞いてしまう。誰が言ったかはっきりしないが、ターゲットは愛宕という男子生徒であることは聞き取れた。
その後しばらくして、初唯の鞄に赤い手形を付けられる悪戯(?)が発生。
困った初唯はももたちに相談を持ち掛ける。
悪戯だけで済むかと思ったが、その相談の後、愛宕は本当に殺されてしまう。
果たして犯人は……。
初唯の聞き間違いというか、会話でない話を会話と聞き間違えていたことが一つ。
その話を最初に持ちかけられた友人が、間違った情報をもとに愛宕の殺人をその通りに実行してしまっていたという話。
初唯が聞いた話が「殺人計画ではなかった」事が白眉。
・夏の合宿殺人事件
文芸部とバレー部が一緒のセミナーハウスを使う夏合宿で、殺人事件が発生。
事件当時、一部の出入り口が塞がれていたために、容疑者は事件現場の部屋と同じ階にいた数人に絞られる。遺体からは紙が少し切り取られていたり、靴下がぬげかけていたりと何らかの作為の跡がある。
その作為の跡から、犯人を推理していくあお。
ももも推理に参加するが、彼女の行っていることは突飛容姿もなく、あおはももに「あんたは探偵じゃなくてワトソンだ」と言う。
しかしあおの推理もまた、間違っていた。あおはももの唐突な一言でその間違いに気付き、推理をはじめから組み立てていくことになる。 -
うーん…すごく好きな作家さんなのだけれど。
ひとつには、この人らしさがない。ある意味「らしい」んだけど、「らしくない」。
というのは、本書はNHKの犯人当てドラマという企画先行作品なのだ。だから、冒頭で長々と主役2人のキャラクター(外見含む)を紹介したり、そもそもそのキャラクターがJKコンビなどと一般(?)ウケを狙いまくっていたりといった、およそこの人らしくもないことが起こっている。その一方で、第3話で明らかにされる2人の関係性などは、もう明らかに「麻耶雄嵩」である。
かつて他書のレビューにも書いたが、麻耶雄嵩という人は、そのぶっ飛んだ作風からは意外なほどに(?)、課された決まりはきちんと遵守する人である。今回も「NHKの犯人当てドラマ」というお題にふさわしく、それなりに穏当で、それなりにストレートで、それなりに親しみやすく、それなりにフックがある作品に仕上げている。そしてそれでいて、麻耶雄嵩らしくキッチリと本格していて、ホームズ・ワトスン問題なんて超マニアックなところへも踏み込んだものにもなっている。
問題は、「保守的でまろやか」なNHKと、深夜放送のしかも推理ドラマを見るようなヲタク層向けの「萌え」、そしてハイパー鬼畜でダークな麻耶雄嵩という3要素があまりにもかけ離れすぎているために、麻耶雄嵩という稀代の鬼才の筆をもってしても、それらを完全には馴染ませきれていないということだ(というか、そんな自然の摂理に反したことは、誰にも不可能なのだろう)。結果として、3つのどれを求める層にとっても、微妙に違和感と不満が残るものになっている。
他レビューによると第3話の評価が高いようだが、これはおそらく麻耶雄嵩ファンによるものだろう。本作品の元ドラマやフジの「貴族探偵」、あるいは本書の表紙イラストに惹かれた向きには「????」だろうし、麻耶氏の信者を自認する私に言わせれば、逆の意味で引いた——メルや香月や貴族や鈴木くんに比べると、上野あおとかいうこの小娘、あまりにヌルいのだ。
まあ、それはひとつには、私が女同士より男同士の微妙な関係により萌えるヘテロの女であることにもあるのだろうが…ではヘテロの男がこの2人に萌えるかというと、巨乳でもない理屈っぽくて小生意気なJKなんて、とこれまた「ヌルい」となるだろう。
本書をひとことでまとめると、「誰得」だろうか。前もこんなこと言ったけど、この人はやっぱり断然、好き放題にのびのび書かせてこそ、なのだ。天才は天衣無縫にさせるのが、我々凡人の務めである。
2018/5/11読了 -
かの憧れの名探偵だって、最初から名探偵だったわけじゃない、たぶん。
直感派の伊賀もも(いがもも)と、理論派の上野あお(うえのあお)、女子高生コンビが、将来の名探偵を目指して頑張るお話!
新シリーズの幕開けか。
若々しくさわやかでかわいい。
お互いに対する負けん気と友情も見どころ。
名探偵が事件にかかわるためには、警察関係者と良好な関係を築かなくてはならないが…
つい口が軽くなっちゃう情報源は、都合のいいことに、ももの兄、空である。
空がもうちょっと個性的だったり胡散臭かったりするとなおいいかもしれないが、そこはそれ、JKコンビと主に成長していくのかもしれない。
文章がテンポ良く面白いので、つけ麺をすするように、するすると読めてしまう。
一編目は、出だしにしてはいきなりややこしかった。
私はどちらかといえば、ももタイプなので(ミステリは読むけれど)、人物が多いと覚えられないのである。
問題を出されるとは思わなかった。不覚。
メモを取りながら、時間軸や順番も考え、時刻表を見るようにじっくり読むべきであった。
『伊賀の里殺人事件』
ミステリー研がなかったから文芸部を経て放送部に入った、ももとあお。
部長に「伊賀の里ミステリーツアー」の取材をしてきてほしいと頼まれる。
俳句好きなももの芭蕉愛&地元愛が炸裂!
『夢うつつ殺人事件』
伊賀上野城址に隣接して建てられた、ももたちの伊賀上野高校には“お堀幽霊”という怪談がある。
しかし、げにおそろしきは、生ける人間の心である。
だしにされて幽霊も迷惑していることだろう。
『夏の合宿殺人事件』
あおともも、二人が名探偵を目指すようになった生い立ちと、運命の出会い(!)の中二の春。
お互いに対するシンパシーとライバル心のせめぎあいを経て、無いものを補い合う良きパートナーとなって今に至る。
…いつか相手をワトソンにしてやるぞ、という意気込みを胸の内に秘めて!
次回作にも期待!
著者プロフィール
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