屋根をかける人

著者 :
  • KADOKAWA
3.75
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本棚登録 : 207
レビュー : 21
  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041047507

作品紹介・あらすじ

明治末期にキリスト教布教のために来日したアメリカ人建築家、メレル・ヴォーリズ。彼は日本人として生きることを選び、 終戦後、昭和天皇を守るために戦った――。彼を突き動かした「日本」への思いとは。

感想・レビュー・書評

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  • 1905年、アメリカYMCAよりキリスト教伝道者として派遣された24歳のメレルは、近江八幡の商業学校の英語教師となった。同じ学校の日本人英語教師でクリスチャンである文次郎とともに、彼の下宿でバイブルクラスを設け盛況となるが、2年後耶蘇嫌いの校長に突然解職されてしまう。仕事も住まいもなくし貯金もない彼は、留学を取りやめ彼について行くという悦蔵とともに、宗教家として寄付を募る他に、建築家として収入を得る道を模索し始める。

    伝道者でありながら建築家・実業家でもあり、戦後は「天皇を守ったアメリカ人」とも称されたウィリアム・メレル・ヴォーリズの半生を扱ったフィクション。
    関心を持ったことに積極的で「何とかなります」が口癖のメレルと、彼を支える真面目な悦蔵とのコンビが快い。

    「フィクション」としてはあるが、彼の生涯をかなり綿密に「紹介」してあり、そのためか特に中盤以降物語としての面白みには欠ける。
    しかしながら、私自身建築の勉強をしたにも関わらず、彼のことを知らなかった(覚えていなかった?)ので、好奇心は満たされた。

    文体は簡潔だが、句読点が多い傾向にあり、読書のリズムを取りにくく感じる。

    内容は平易だが、宗教とそうでないものとの境界線やビジネスの現場を扱っているので、中学生以下にはわかりにくいでしょう。

    • 地球っこさん
      図書館あきよしうたさん、はじめまして。
      たくさんの「いいね」ありがとうございます。
      ちょっとびっくりしました 笑

      わたしはヴォーリ...
      図書館あきよしうたさん、はじめまして。
      たくさんの「いいね」ありがとうございます。
      ちょっとびっくりしました 笑

      わたしはヴォーリズ建築が大好きです。
      いろんな建築物がありますが、住宅を見学したときに、家の中に光と風がたくさん入ってきて、とても気持ちよかったことがとても印象に残ってます☆
      2020/05/12
    • 図書館あきよしうたさん
      地球っこさん、コメントありがとうございます。

      スマホでスキマ時間に読んで、後でPCで「いいね」をつけているので、連続「いいね」で通知が...
      地球っこさん、コメントありがとうございます。

      スマホでスキマ時間に読んで、後でPCで「いいね」をつけているので、連続「いいね」で通知が山盛り来て、びっくりさせてしまったようですね。すみません(汗)。

      ヴォーリズ建築の実物を見られたとのこと、素晴らしいです。
      私も建物類は大好きですが、ヴォーリズ建築にはまだ出会ったことがないんですよ。
      2020/05/18
  • 単身来日した建築家ヴォーリズの物語。
    何事にも情熱を傾け無駄のない合理的な洋風建築を次々に建てる。
    日本人以上に日本人の彼は、戦後の天皇制維持に訴え、やがてさる御方との対面を果たす。
    日本とアメリカを結び、双方に大きな屋根をかける!
    戦後の天皇制にこんなにも大きく関わっておられたなんて‼
    あの朝ドラで有名になった広岡浅子氏との出逢い。
    その繋がりで結婚した満喜子夫人も素敵!
    満喜子夫人の物語も読んでみたい!
    勿論ヴォーリズの現存する建築物も見てみたい!

  • 門井慶喜『屋根をかける人』角川書店。ウィリアム・メレル・ヴォーリズという、アメリカから日本に移住し、後に帰化した実在の人物の波乱に満ちた生涯を描いた傑作。最初から最後まで非常に面白い作品だった。

    冒頭に描かれる近江八幡での英語教師時代のメレルは夏目漱石の『坊っちゃん』を彷彿とさせ、伝道師としてのメレルは宮澤賢治の如く、建築家・実業家としてのメレルは百田尚樹の『海賊とよばれた男』の国岡鐡造を彷彿とさせる。つまり、メレルはそれだけ魅力ある人物として描かれているのだ。

    日本人よりも日本人らしく、最後まで己の信念を貫き通したメレル。今日の日本があるのも、日本と日本人のために尽くしたメレルのお陰だろう。終盤の昭和天皇にメレルが謁見する場面には震えた。そして、長く深い余韻を残すラスト…

    蛇足になるが…

    驚いたのは自分の住む福島市にメレルの足跡が残っていたことだ。メレルが初めて設計を手掛けた福島教会の日本で最初の礼拝堂である。残念ながら2011年の震災で被災し、現在は新しい会堂に変わっているようだ。たまたま手にした本作だが、不思議な縁を感じた。

  • 激動の時代の日本にあって、今もなおあちこしにその足跡を残す一人のアメリカ人。
    伝道師として、建築家として、商人として、そして現代日本の一つの基礎を作った人として、その偉業の大きさに比してあまりにも知られなさすぎるような。
    大同生命や、びっくらぽんやら、メンソレータムやら、マッカーサーやら、とにかくあちこちに彼の人生のかけらが残っている。
    アメリカ人として戦中の日本で生きることの困難さは想像に難くない。信仰を捨て、国を捨て、名前を捨て、それでも受け入れられない理不尽ささえも飲み込んで生き抜いた彼がかけた屋根は今も日本とアメリカの両国をつなぐ。橋ではなく屋根。屋根は冷たい雨も、刺すような日差しも、さえぎってくれるのだ。

  • ヴォーリズは建築家として知っていたが、アメリカから日本の近江八幡にやってきて、WWIIのときも日本にとどまって生き抜いたことは知らなかった。元華族の妻とともに気高く生き抜いた姿に、自分の信念を持ちつつ懸命に生きる素晴らしさを感じた。冒頭はヴォーリズが日本に来て、近江八幡の学校で英語教師をし、そこから建築家になる流れが丁寧に描かれているが、後半になるとスピードアップしてあまり丁寧に描かれていない。あまり記録がないためもあるのだろうか。戦争中に軽井沢に住んだ時の話は特にさらっとしている。妻が疎開してきた子供たちのための学校を立ち上げていたようだが、妻の話ももう少し盛り込まれると物語にもっと膨らみがでるように思った。

  • ヴォーリズといえば、残念なことに取り壊されてしまったけど大丸の心斎橋店や明治学院のチャペルを設計した人、近江兄弟社の創始者というくらいは知っていたけど、まさか建築学については素人同然だったなんて知らなかった。キリスト教の伝道者として来日し、神に仕え、日本とアメリカの架け橋ならぬ建築家らしく屋根をかけるという、理想家な面だけではなく、『何とかなります』が口癖で商売上手な合理的な人としてチャーミングな面が描かれていて面白かった。戦時中の話は胸が痛くなりました。ただ、来日から天に召されるまでを365頁で描いているので、駆け足になっている感は否めませんでした。

  • 私にとっては、全く知識のなかったヴォーリズ。その波乱万丈の思わず先を読みたくなる生涯。よくぞ書いてくれました。楽しく読めて、有意義なひと時をくれた作者に感謝。

  • 数々のキリスト教関連の施設をデザインした外国人建築家。ヴォーリズについてはその程度の知識しかなかったが、この本には明治から大正、昭和にかけての激動の時代を過ごした「外国人」としての彼の波乱万丈の生涯が綴られている。時代にしても、登場人物にしても、いかにもNHKの朝ドラに御誂え向きだと思った。

  • 門井さんの歴史にうずもれた人を探してくる能力の高さにはうならされるね。

  • 深い本だった。オススメ。

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著者プロフィール

1971年群馬県生まれ。同志社大学文学部卒業。2003年「キッドナッパーズ」でオール讀物推理小説新人賞を受賞しデビュー。16年『マジカル・ヒストリー・ツアー ミステリと美術で読む近代』で日本推理作家協会賞(評論その他の部門)、同年、咲くやこの花賞(文芸その他部門)を受賞。18年『銀河鉄道の父』で直木賞受賞。他の作品に『東京帝大叡古教授』『家康、江戸を建てる』『屋根をかける人』『自由は死せず』『東京、はじまる』などがある。

「2020年 『銀閣の人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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