虹を待つ彼女

著者 : 逸木裕
  • KADOKAWA (2016年9月30日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041047521

作品紹介

二〇二〇年、人工知能と恋愛ができる人気アプリに携わる有能な研究者の工藤は、優秀さゆえに予想できてしまう自らの限界に虚しさを覚えていた。そんな折、死者を人工知能化するプロジェクトに参加する。試作品のモデルに選ばれたのは、カルト的な人気を持つ美貌のゲームクリエイター、水科晴。彼女は六年前、自作した“ゾンビを撃ち殺す”オンラインゲームとドローンを連携させて渋谷を混乱に陥れ、最後には自らを標的にして自殺を遂げていた。
晴について調べるうち、彼女の人格に共鳴し、次第に惹かれていく工藤。やがて彼女に“雨”と呼ばれる恋人がいたことを突き止めるが、何者からか「調査を止めなければ殺す」という脅迫を受ける。晴の遺した未発表のゲームの中に彼女へと迫るヒントを見つけ、人工知能は完成に近づいていくが――。

虹を待つ彼女の感想・レビュー・書評

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  • 横溝正史ミステリ大賞受賞作っていうのと装丁で選んで読んでみた。
    ゲームやドローンや人工知能などなど、私にはなじみのないワードばかりで、読み進められるか心配だったが、
    自分の作ったゲームを利用して自殺した謎の女性「晴」を追求していく過程にどんどん惹かれていった。
    今という時代を象徴するような、未来を見透かすような不思議な話だった。
    そして恋物語だった。

  • ○極上の恋愛ミステリ、劇場型自殺事件の裏側、雨の正体は果たして
    人工知能研究者の工藤は、劇場型自殺事件を起こした女性・晴に興味を持ち、彼女の人工知能を作りたいと考え調査をはじめるが、何者からかの脅迫を受ける。工藤は、ゲーマーの田崎や晴の同級生である初音・紀子、元恋人の栗田から聞いた証言をもとに調べ続けるが、事態は思わぬ方向へ転がっていく。

    のっけから見せられるゲーム「リビングデッド・渋谷」による劇場型自殺事件は、手口がとても鮮やかだ。光景を想像しても綺麗な瞬間だったろうと思う。そのとき晴に湧き上がった「雨」という言葉には、どんな意味があるのか。工藤は証言から聞いて恋人だということが分かるが、雨の正体が誰なのか、奔走する。
    人工知能やゲームがテーマで、いかにも専門的な用語が出てきそうだったが、解説も自然、用語の使われ方も自然だ。人工知能の現状から将来の行く末を案じているような書かれ方は、それらに関心のない読者にも目を向けさせる。

    探しても探してもたどり着かない結論は、晴が作ったゲームの中にヒントが隠されていた。ゲームは、晴の分身と言っても過言ではない。では、晴はそこにどんな思いを込めたのか。ゲームの結論は衝撃的だ。待ち続けた虹は、いつかかるのだろうか。それはあのゲームの真の意味を解読できたものにしか見ることができない。虹がかかったとき、本当の晴をみることができた。その意味で、とてもよく練られたミステリで、ページを繰る手が止まらない。描写が丁寧で、場面を想像するに難くないので、はじめて読書をする人にもお勧めだ。

  • うん、面白かった。登場人物の誰にも共感できないけどちゃんと面白い。まあ読後暫くしてでも一人の人間がどんな人かなんて数人のその人物感と写真や動画集めて再現できるもんじゃないよなあ、増して当人が無くなってるんじゃAIは何を学習するんだ?って疑問は沸いたけど。

  • 冒頭、優秀なAI研究者が、「SNS の画面を印字して、スキャナで取り込む』ような質の悪い動きをする設定なのが、違和感大。先行きに不安。
    だけど、いくつかの伏線は、ちゃんと回収されて、細かいことを気にしなければ、たのしめます。

  • この作品も「このミス」16位にランクインしていた理由で読んでみた。自分で開発したゲームの中で自殺を遂げたプログラマー・晴。その死の6年後、人工知能の開発に限界を感じていた研究者・工藤は死後、なお根強いファンを持つ晴の人工知能の開発に乗り出し、生前の晴のことを調べ始める…人工知能を取り扱ったミステリーは、最近すごく増えていて、そんなに目新しさもないし、設定に大きな矛盾を感じることもない。ミステリーと言いつつも、根底には恋愛の要素もあり、結構いい作品だと思う。ここ最近の横溝正史ミステリー大賞の中では一番面白かった。でも…主人公・工藤の本当に最後の最後までの自己中さが目に余り、読後の感じは微妙…

  • 優し気でメルヘンチックなタイトルとのあまりの乖離に愕然。
    フリクトという人口知能との対話アプリが現実化した近未来。死者をよみがえらせるという新しい人口知能プロジェクトから掘り出される過去の劇場型自殺とその謎。
    なんだろう、この追いつめられ感と解き放たれ感の混在は。粘着と執着の決着がこんなに開放的で呆然とする。おもしろいおもしろい、おもしろいとしか言いようがない。

  • なんで虹なんだろうって
    ずっとそう思いながら読んでいた。

    雨と晴、ほんとうはハッピーになれたのにね。

    工藤が泣き崩れて、
    きっと世界は変わるね。

    面白かったです。

  • とにかく先が気になって気になって、年末の忙しい時に読み始めてしまったことを後悔した。
    ネタバレしちゃうから詳しい感想は控えようと思うけど、ミステリだけじゃない興味深い人間模様、その対角にあるような人工知能の絡み…。うーん。
    デビュー作なんだね。次の作品も楽しみ。

  •  「晴」がミステリアスで興味を引きました。工藤の偏執感や「雨」の態度はなんとなく微妙でしたが、全体的には引きつける内容でおもしろかったと思います。

  • 人工知能の研究者・工藤は6年前に劇場型自殺をした人気ゲームクリエーター・水科晴を人工知能化することとなり、彼女について調べるうちに惹かれていく。しかし、調査をやめなければ殺すという脅迫メールが届くようになり・・・
    ミステリーだけど恋愛小説でもありそしてラストは主人公の成長が見れる小説だった。最初は工藤が嫌な奴過ぎて読むスピードが・・・(^^;)でも、読了後はすっきりしていて良かった。

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