いまさら翼といわれても

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 1676
レビュー : 245
  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041047613

作品紹介・あらすじ

累計205万部突破の〈古典部〉シリーズ最新作!
誰もが「大人」になるため、挑まなければいけない謎がある――『満願』『王とサーカス』の著者による、不動のベスト青春ミステリ!

神山市が主催する合唱祭の本番前、ソロパートを任されている千反田えるが行方不明になってしまった。
夏休み前のえるの様子、伊原摩耶花と福部里志の調査と証言、課題曲、ある人物がついた嘘――折木奉太郎が導き出し、ひとりで向かったえるの居場所は。そして、彼女の真意とは?(表題作)

時間は進む、わかっているはずなのに。
奉太郎、える、里志、摩耶花――〈古典部〉4人の過去と未来が明らかになる、瑞々しくもビターな全6篇。

感想・レビュー・書評

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  • 『箱の中の欠落』
    奉太郎は、総務委員副委員長として生徒会長選挙に立ち合った里志から、相談を受ける。
    明日の朝までに、不正票の謎を解きたい。

    『鏡には映らない』
    破れた呪いは術者にかかる。
    魔法使いや陰陽師なら心得ていますよね。

    『連峰は晴れているか』
    「ヘリが好きなんだ」
    授業中、ヘリコプターの飛行音を聞いて窓に駆け寄った教師の心の内とは…

    『わたしたちの伝説の一冊』
    伊原摩耶花が漫研をやめたいきさつ。
    若い時間は短い。
    今、何をやるべきなのか。

    『長い休日』
    これは、表題作への助走である。
    ここまでは、過去の出来事を手繰る話だ。
    いわば、前夜。
    改めての、古典部部員たちの、立ち位置の地固めと、特に奉太郎の今に至るまでの気持ちの変化と、または変化していないもの。
    えるの登場が少ないのも、そのせいなのだろう。

    『いまさら翼といわれても』
    重すぎる転機である。
    ここで終わるなんて、米澤さんひどい。

  • めちゃくちゃ久しぶりの古典部シリーズ最新作。

    舞台は高校で、主人公も高校生だけど
    安定の世知辛さだったり切なさだったり、、、
    推理小説といっていいのかわからないけど、相変わらず
    爽快感とは皆無で。

    やらなくても良いことはやらない、ホータローに
    なったきっかけが明かされる、長い休日が1番好きかな。



    表題作は1番最後、そして1番心配になる
    終わり方だったけど、
    なんだかんだ優しくて千反田さんのことはほっとけない
    ホータローがいるから、きっとうまくまとめてくれると
    信じています。

  • 久しぶりの古典部シリーズ(*^^*)♪相変わらず、ほろ苦く切ない(--、)どの話も良かったけれど、自分がそうだったからなのか、奉太郎のモットーの原点が語られる「長い休日」が一番共感できた(T.T)最後の「いまさら翼といわれても」は「え~!そこで終わり!Σ( ̄□ ̄;)」って感じだった(^^;)

  • 昔を振り返りつつも「この先」を考える古典部の面々が、どことなく痛々しい。
    彼らはいわゆる「一般人」で何も背負うものなんかないはずなのに(えるはちょっと例外)、高校生が見る「将来のビジョン」ってこんなに重かっただろうか、と自分の学生時代を振り返った(けど、やっぱり私はお気楽に過ごしてたと思う)。

    いつになく感情をあらわにするホータローが可愛くもあり、マンガに対しての気後れを克服した摩耶花を応援したくもあり、突然見通しのいい開けた場所に放り出されたえるの戸惑いやらやり場のない怒りやらを悲しく思ったり。
    底抜けの明るさではない、彼らの真摯な青春に幸あれっていつもながらに思う。

  • 家を継ぐえると共にあるために、奉太郎が自分の意志で省エネ主義を捨てる時が来るのでは?
    そんな未来の話があったら読んでみたいと思っていたので、
    『長い休日』でお姉さんが奉太郎に言った言葉に顔がにやけてしまった。
    とはいえ、表題作『いまさら翼といわれても』で、話は思わぬ方向へ。

    続きは数年後ですか!?
    わたし、気になります!

  • 古典部シリーズ6作目。
    「箱の中の欠落」「鏡には映らない」「連峰は晴れているか」「わたしたちの伝説の一冊」「長い休日」「いまさら翼といわれても」の6編を収録。

    久しぶりの古典シリーズ新作。
    いつものように「日常の謎」を解いていく短編集。
    読者に小さな驚きを投げかけて、登場人物たちの感情を丁寧にすくいとりながらゆっくり物語を収束させていく流れのお話が多かったです。

    今回は古典部メンバー4人のそれぞれの過去や新たな出発を描いていて、「変化」がテーマとなっています。
    奉太郎が省エネ体質になったきっかけ、摩耶花の『まんが道』の模索、里志のデータベース型思考からの脱却、千反田のある変化。
    奉太郎も初期のころに比べると、人を傷付けないために推理し、他人を気遣いながらそれを伝えていることに成長を感じさせます。

    「わたしたちの伝説の一冊」は摩耶花メインのお話ですが、ほろ苦い読後感が多い米澤作品にしては前向きでさわやかな読後感がとてもよかったです。
    より広い世界へ飛び出すことを、苦しみながらも決断した彼女の強い意志は尊い!
    彼女の新たなスタートに、拍手喝采して見送りたいですねー。

    一番印象的なのは表題作の「いまさら翼といわれても」。

    ここではある古典部メンバーの突然の状況の変化について語られています。
    高校生とはいえ、彼らはまだ社会に出ていないただの子どもなのですね。
    彼女は、自由に自分で将来を決められないことでの反感や諦めもあったでしょうが、そんな思いを抱く時期はとうに過ぎ、すでに家を継ぐ清新な決意を固めていたと思います。
    将来を決められていた彼女は選択の自由がなかったけども、同時に迷いもなかったでしょう。
    なのに、突然梯子をはずされた彼女の驚きと喪失感を思うとやるせなくなります。
    途方に暮れてしまいますよね。
    制約がなくなり選択肢が広くなると、却って選べなくなっちゃいそうです。

    青春らしい悩みにどう決着をつけるのか、彼女の決心は次巻まで持ち越し。
    早く次が読みたい。

  • 全編面白かった。
    伊原の話は清々しい終わり方で好きでした。

    何の気もなしに静かに人のことを守っている奉太郎、すごくかっこいいな!

    えるのこととなるともう熱がこもりまくりでそこもまたよき。

    今後が気になりますね。

  • 「鏡には映らない」が一番良かった。
    「長い休日」も好きかな。
    表題の「いまさら翼といわれても」
    なんつー終わり方ですか?

  • 目次
    ・箱の中の欠落
    ・鏡には映らない
    ・連峰は晴れているか
    ・わたしたちの伝説の一冊
    ・長い休日
    ・いまさら翼といわれても

    高校2年生。
    将来を考え始め、過去を忘れるには早すぎる年ごろ。

    奉太郎は優しい。
    山で遭難した知人を心配しながらも教室の子どもたちを気遣う先生の心を、無神経に傷つけないようそっと気遣うことができるくらいに。(連峰は晴れているか)
    その優しさがさりげなすぎて、時に誤解を生むことがあるくらいに。(鏡には映らない)

    奉太郎が「やらなくてもいいことなら、やらない。やらなければいけないことなら手短に」ことをモットーにすることになったきっかけが明かされる。(長い休日)
    人が良くて、頼まれたことは嫌な顔をしないで引き受ける少年だった奉太郎は、自分のその性格を、要領のいい人たちにバカにされ、付け込まれていたことを知る。
    同級生に。先生に。
    バカにされてもいい、付け込まれたくはない、と奉太郎少年は強く思ったのだ。

    同じくビターでも、自分のマンガの才能を伸ばすために漫研をやめることにした摩耶花の話はちょっとうらやましい。
    自分の才能を信じ、努力できる喜び。
    分裂しようとする漫研を何とか円満にまとめようとしたけれど、それは摩耶花だけが努力するものではない。
    のびのびと好きなマンガを描くことに専念できるのなら、それは何より。

    そして千反田えるも転機を迎える。
    彼女がバスに乗るのか乗らないのか、作品はそこまで書いてはいないけど、これはシリーズものなのだからリドルストーリーではなく、いつかどこかで結論が出るだろう。
    できるなら、きっちり前を見て歩き出してほしいと思う。

    しみじみ、青春から遠ざかってしまったことを感じるなあ。

  • 古典部シリーズを読むたびに思う。高校生の日常に潜むミステリーっぽい感じだけど、絶対にこんな日常はないよな。

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著者プロフィール

米澤 穂信(よねざわ ほのぶ)
1978年、岐阜県生まれの小説家、推理作家。金沢大学文学部卒業。
大学在学中から、ネット小説サイト「汎夢殿(はんむでん)」を運営し、作品を発表。大学卒業後に岐阜県高山市で書店員として勤めながら、2001年『氷菓』で第5回角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞を受賞し、デビューに到る。同作は「古典部」シリーズとして大人気に。2011年『折れた竜骨』で第64回日本推理作家協会賞(長編および連作短編集部門)、2014年『満願』で第27回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。『満願』は2018年にドラマ化された。直木賞候補にも度々名が挙がる。
その他代表作として週刊文春ミステリーベスト10・このミステリーがすごい!・ミステリが読みたい!各1位となった『王とサーカス』がある。2018年12月14日、集英社から新刊『本と鍵の季節』を刊行。

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