いまさら翼といわれても

著者 :
  • KADOKAWA
3.96
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本棚登録 : 1555
レビュー : 233
  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041047613

作品紹介・あらすじ

累計205万部突破の〈古典部〉シリーズ最新作!
誰もが「大人」になるため、挑まなければいけない謎がある――『満願』『王とサーカス』の著者による、不動のベスト青春ミステリ!

神山市が主催する合唱祭の本番前、ソロパートを任されている千反田えるが行方不明になってしまった。
夏休み前のえるの様子、伊原摩耶花と福部里志の調査と証言、課題曲、ある人物がついた嘘――折木奉太郎が導き出し、ひとりで向かったえるの居場所は。そして、彼女の真意とは?(表題作)

時間は進む、わかっているはずなのに。
奉太郎、える、里志、摩耶花――〈古典部〉4人の過去と未来が明らかになる、瑞々しくもビターな全6篇。

感想・レビュー・書評

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  • 『箱の中の欠落』
    奉太郎は、総務委員副委員長として生徒会長選挙に立ち合った里志から、相談を受ける。
    明日の朝までに、不正票の謎を解きたい。

    『鏡には映らない』
    破れた呪いは術者にかかる。
    魔法使いや陰陽師なら心得ていますよね。

    『連峰は晴れているか』
    「ヘリが好きなんだ」
    授業中、ヘリコプターの飛行音を聞いて窓に駆け寄った教師の心の内とは…

    『わたしたちの伝説の一冊』
    伊原摩耶花が漫研をやめたいきさつ。
    若い時間は短い。
    今、何をやるべきなのか。

    『長い休日』
    これは、表題作への助走である。
    ここまでは、過去の出来事を手繰る話だ。
    いわば、前夜。
    改めての、古典部部員たちの、立ち位置の地固めと、特に奉太郎の今に至るまでの気持ちの変化と、または変化していないもの。
    えるの登場が少ないのも、そのせいなのだろう。

    『いまさら翼といわれても』
    重すぎる転機である。
    ここで終わるなんて、米澤さんひどい。

  • 久しぶりの古典部シリーズ(*^^*)♪相変わらず、ほろ苦く切ない(--、)どの話も良かったけれど、自分がそうだったからなのか、奉太郎のモットーの原点が語られる「長い休日」が一番共感できた(T.T)最後の「いまさら翼といわれても」は「え~!そこで終わり!Σ( ̄□ ̄;)」って感じだった(^^;)

  • 家を継ぐえると共にあるために、奉太郎が自分の意志で省エネ主義を捨てる時が来るのでは?
    そんな未来の話があったら読んでみたいと思っていたので、
    『長い休日』でお姉さんが奉太郎に言った言葉に顔がにやけてしまった。
    とはいえ、表題作『いまさら翼といわれても』で、話は思わぬ方向へ。

    続きは数年後ですか!?
    わたし、気になります!

  • 古典部シリーズ6作目。
    「箱の中の欠落」「鏡には映らない」「連峰は晴れているか」「わたしたちの伝説の一冊」「長い休日」「いまさら翼といわれても」の6編を収録。

    久しぶりの古典シリーズ新作。
    いつものように「日常の謎」を解いていく短編集。
    読者に小さな驚きを投げかけて、登場人物たちの感情を丁寧にすくいとりながらゆっくり物語を収束させていく流れのお話が多かったです。

    今回は古典部メンバー4人のそれぞれの過去や新たな出発を描いていて、「変化」がテーマとなっています。
    奉太郎が省エネ体質になったきっかけ、摩耶花の『まんが道』の模索、里志のデータベース型思考からの脱却、千反田のある変化。
    奉太郎も初期のころに比べると、人を傷付けないために推理し、他人を気遣いながらそれを伝えていることに成長を感じさせます。

    「わたしたちの伝説の一冊」は摩耶花メインのお話ですが、ほろ苦い読後感が多い米澤作品にしては前向きでさわやかな読後感がとてもよかったです。
    より広い世界へ飛び出すことを、苦しみながらも決断した彼女の強い意志は尊い!
    彼女の新たなスタートに、拍手喝采して見送りたいですねー。

    一番印象的なのは表題作の「いまさら翼といわれても」。

    ここではある古典部メンバーの突然の状況の変化について語られています。
    高校生とはいえ、彼らはまだ社会に出ていないただの子どもなのですね。
    彼女は、自由に自分で将来を決められないことでの反感や諦めもあったでしょうが、そんな思いを抱く時期はとうに過ぎ、すでに家を継ぐ清新な決意を固めていたと思います。
    将来を決められていた彼女は選択の自由がなかったけども、同時に迷いもなかったでしょう。
    なのに、突然梯子をはずされた彼女の驚きと喪失感を思うとやるせなくなります。
    途方に暮れてしまいますよね。
    制約がなくなり選択肢が広くなると、却って選べなくなっちゃいそうです。

    青春らしい悩みにどう決着をつけるのか、彼女の決心は次巻まで持ち越し。
    早く次が読みたい。

  • 古典部シリーズを読むたびに思う。高校生の日常に潜むミステリーっぽい感じだけど、絶対にこんな日常はないよな。

  • 「氷菓」の米澤穂信さん、たぶん読むのは2作目。今知ったんだけど、これシリーズモノだった…しかも6作目。折木奉太郎が所属する「古典部」の周りの話。

    ミステリーというほどでもない出来事。最近殺人やら何やらの本を読むのに慣れていたけど、日常ってまあこんなもんだよね。登場人物達の喋り方がちょっとラノベ寄りな気がするけど、読みにくいわけではなく、カジュアルな感じ。

  • 読了、65点。
    ***
    「大人」になるため、挑まなければいけない謎。待望の〈古典部〉最新作!
    累計205万部突破の〈古典部〉シリーズ最新作!
    誰もが「大人」になるため、挑まなければいけない謎がある――『満願』『王とサーカス』の著者による、不動のベスト青春ミステリ!
    神山市が主催する合唱祭の本番前、ソロパートを任されている千反田えるが行方不明になってしまった。
    夏休み前のえるの様子、伊原摩耶花と福部里志の調査と証言、課題曲、ある人物がついた嘘――折木奉太郎が導き出し、ひとりで向かったえるの居場所は。そして、彼女の真意とは?(表題作)
    時間は進む、わかっているはずなのに。
    奉太郎、える、里志、摩耶花――〈古典部〉4人の過去と未来が明らかになる、瑞々しくもビターな全6篇。
    ***

    「鏡には写らない」が奉太郎と摩耶花の関係に関して、
    「長い休日」が奉太郎の信条の生まれるきっかけを、
    「わたしたちの伝説の一冊」が今後の摩耶花の姿勢を決める
    そして表題作の「いまさら翼と言われても」が千反田の将来を伺わせている
    そう言う意味ではシリーズものの中で成すべきことを行っている一冊とは思います。
    (個人的にシリーズもので人間関係も個人の考えも一切変わらない日常だけを描く回というのを余りよしとしませんので。)

    ただミステリとして見た場合に、印象に残る作品が少なかったのも確かでした。
    一篇目の「箱の中の欠落」は開票者が票を水増しさせることが可能だったのではないかや、
    犯人が犯行を行うリスクに関して全てスルーされている点はやや引っかかりました。

  • 久々の古典部。

    少しずつ岐路に立たされている古典部のみんなのお話。

    それがすごく切ない。

    自分の才能に殉じるという言葉が重い。

  • 奉太郎のすてきなところは、やらなくていいことはやらない、だけでなく、やるべきでないことはやらない、ところだと思う。なんだかんだ、正義感が強いのだ。

  •  そろそろ彼らに出会う前の人生より出会った後の人生の方が長くなっただろうか。

     私はいかんせん人に影響されやすいたちで、家族や知人が面白いと言っていたものに後追いで乗っかってしまうことが多かったのだが、この古典部シリーズは珍しく誰の影響も受けず、書店でジャケ買いしたものである。アニメ化よりも前の、まだライトノベルとして出版されていた頃、高野音彦さんの表紙に引かれて手に取ったのは事実であるが、裏表紙の「甘く苦い青春」的な惹句が決め手であったように記憶している。
     実際苦い。主人公折木奉太郎はわずかなヒントを組み上げて鮮やかな推理を導き出す名探偵であるが、なんというか、後味の悪い話が少なくない。誰かの胸の内に仕舞っておけば、誰かが我慢していれば、それはそれで丸く収まるはずだったことを、彼の推理が真実を詳らかにするのだが、その代償がどこかに残る、そういう苦さである。ドラマの「相棒」でたまにそういう回がある。本書にもある。

     本書は短編集形式で、奉太郎たちの過去が多少語られたりもするのだが、未来の話は少ない。表題にもなっている「いまさら翼と言われても」において若干の動きがあるくらいか。となるとこれを受けた長編も準備されているのかもしれない。
     期待は膨らむが、そろそろ「私が(あるいは作者が)生きている間に完結するのか」を心配すべき頃合なのかもしれない。

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著者プロフィール

米澤 穂信(よねざわ ほのぶ)
1978年、岐阜県生まれの小説家、推理作家。金沢大学文学部卒業。
大学在学中から、ネット小説サイト「汎夢殿(はんむでん)」を運営し、作品を発表。大学卒業後に岐阜県高山市で書店員として勤めながら、2001年『氷菓』で第5回角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞を受賞し、デビューに到る。同作は「古典部」シリーズとして大人気に。2011年『折れた竜骨』で第64回日本推理作家協会賞(長編および連作短編集部門)、2014年『満願』で第27回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。『満願』は2018年にドラマ化された。直木賞候補にも度々名が挙がる。
その他代表作として週刊文春ミステリーベスト10・このミステリーがすごい!・ミステリが読みたい!各1位となった『王とサーカス』がある。2018年12月14日、集英社から新刊『本と鍵の季節』を刊行。

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