いまさら翼といわれても

著者 :
  • KADOKAWA
3.93
  • (181)
  • (253)
  • (167)
  • (20)
  • (7)
本棚登録 : 1835
レビュー : 258
  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041047613

作品紹介・あらすじ

累計205万部突破の〈古典部〉シリーズ最新作!
誰もが「大人」になるため、挑まなければいけない謎がある――『満願』『王とサーカス』の著者による、不動のベスト青春ミステリ!

神山市が主催する合唱祭の本番前、ソロパートを任されている千反田えるが行方不明になってしまった。
夏休み前のえるの様子、伊原摩耶花と福部里志の調査と証言、課題曲、ある人物がついた嘘――折木奉太郎が導き出し、ひとりで向かったえるの居場所は。そして、彼女の真意とは?(表題作)

時間は進む、わかっているはずなのに。
奉太郎、える、里志、摩耶花――〈古典部〉4人の過去と未来が明らかになる、瑞々しくもビターな全6篇。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 『箱の中の欠落』
    奉太郎は、総務委員副委員長として生徒会長選挙に立ち合った里志から、相談を受ける。
    明日の朝までに、不正票の謎を解きたい。

    『鏡には映らない』
    破れた呪いは術者にかかる。
    魔法使いや陰陽師なら心得ていますよね。

    『連峰は晴れているか』
    「ヘリが好きなんだ」
    授業中、ヘリコプターの飛行音を聞いて窓に駆け寄った教師の心の内とは…

    『わたしたちの伝説の一冊』
    伊原摩耶花が漫研をやめたいきさつ。
    若い時間は短い。
    今、何をやるべきなのか。

    『長い休日』
    これは、表題作への助走である。
    ここまでは、過去の出来事を手繰る話だ。
    いわば、前夜。
    改めての、古典部部員たちの、立ち位置の地固めと、特に奉太郎の今に至るまでの気持ちの変化と、または変化していないもの。
    えるの登場が少ないのも、そのせいなのだろう。

    『いまさら翼といわれても』
    重すぎる転機である。
    ここで終わるなんて、米澤さんひどい。

  • 古典部シリーズの最新作。究極的なまでにホワイダニットな短篇集。甘えや感傷になりすぎないように、義理と馴れ合いを丁寧に選り分けながら綴った全六編の短篇は、いずれも胸を打つ珠玉の短篇ばかりである。特に今作は全体を通して人が人に関わる理由に執拗にこだわっており、それが顕著に伝わるのは、回りくどい建前を避け、事件に関わる動機は本音で語ることを求めながらも、犯人が事件を起こした動機は最後まで不明なままの「箱の中の欠落」だろう。犯人側の心情が描かれておらずばっさりと断ち切られていることによって、二人の友情が対比的に浮かび上がる上手い構図になっている。またホータローがそれなりに料理ができるというのも、ファンには嬉しいポイントだろう。

    「鏡には映らない」はシリーズのファンなら誰しもが一度は疑問に思ったことの一つである、摩耶花とホータローの微妙な関係に迫った一本である。ホータローの彼女(!)発覚というのもファン的には驚天動地のサプライズだが、過去話自体は仄かで薄暗く、読み終えた後に再度読むと初読の時との感想の違いに驚いてしまう。鏡は実像を映すが、人の見たいものが真実であり、それは決して鏡には映らない。また久しぶりとなる摩耶花の一人称は読みやすく、男二人の秘密を暴くという構図もまた素晴らしい。

    「連邦は腫れているか」はアニメで先取りしてはいたものの、あらためて読むとささやかな話ながらも内容は味わい深い。短いながらもヘリと先生の横顔の印象が強烈に焼き付いてしまう。

    「わたしたちの伝説の一冊」個人的にベストなのはこれだった。部活動の不和という学校生活の身近なネタを不穏さを交えつつ上手く描き出しており、摩耶花の抱える焦燥感が嫌というほど伝わってくる。義理堅さが人との関わりが足枷になることを痛烈に指摘しており、特に才能に仕えるくだりは読んでいて震えが走ってしまった。そこは居場所ではなかったことが端的に明らかになるフィニッシング・ストロークも鮮烈である。やめるきっかけをさがしていたことに気付くのは読み終わった後だった。余談だが、ホータローの読書感想文は傑作である。読書感想文は体験記に過ぎないと思っていたが考えを改めようと思った。また「走れメロス」がミステリだとも思わなかった。

    「長い休日」は全体のまとまりや短篇の出来としてはこれが一番であるように思う。ホータローの過去は俗に言うお世話係であるのだが、描かれているのは善意の搾取や、良かれと思ってしたことが蔑ろにされるという、気のいい人間が背負う普遍の苦しみである。非常に共感できる内容で、また全ての話の原点であるとも言える。これを読んだ後だと「愚者のエンドロール」での奉太郎の心情は察するに余りあるし、また単なる怠け者でないということがよく伝わるだろう。長い休日、と例えた姉の言葉には優しさがこもっていて涙が出てくるし、また休日を終わらせる人間がくる、という予感めいた先に希望を持つ言葉を言ってくれる人が側にいたことが、奉太郎が歪まなかった理由の一つであるのだろう。面倒なことを率先してやろうとする福部里志や、人を陥れる考えとは無縁の場所にいる千反田える、また義理堅く関わりを大事にする摩耶花のグループの中に落ち着いたというのはある意味では当然の帰結であるとも言えるし、非常に納得のいくものだった。とても人間味のある短篇である。

    最後の表題作「いまさら翼といわれても」は、タイトルの意味や内容はある程度予想できたものの、将来家を継ぐ予定の箱入りのお嬢様、から想像できる話とはまるで違っていたのが印象深い。普通は自由を求める話にするのだが、あえて自由を与えられてしまったことで、アイデンティティがゆらぎ、何者でもなくなってしまったというのはとてもきついものがある。蔵の中から聞こえる歌声は籠の鳥のようでいて、またリドル・ストーリーとして終わっているのも余韻があっていいと思う。

    六年ぶりに読む本作だが、変わらぬ魅力を感じるどころか、より深化した、満足感のある一冊でした。完結まで一生追いかけていこうと思います。

  • めちゃくちゃ久しぶりの古典部シリーズ最新作。

    舞台は高校で、主人公も高校生だけど
    安定の世知辛さだったり切なさだったり、、、
    推理小説といっていいのかわからないけど、相変わらず
    爽快感とは皆無で。

    やらなくても良いことはやらない、ホータローに
    なったきっかけが明かされる、長い休日が1番好きかな。



    表題作は1番最後、そして1番心配になる
    終わり方だったけど、
    なんだかんだ優しくて千反田さんのことはほっとけない
    ホータローがいるから、きっとうまくまとめてくれると
    信じています。

  • 久しぶりの古典部シリーズ(*^^*)♪相変わらず、ほろ苦く切ない(--、)どの話も良かったけれど、自分がそうだったからなのか、奉太郎のモットーの原点が語られる「長い休日」が一番共感できた(T.T)最後の「いまさら翼といわれても」は「え~!そこで終わり!Σ( ̄□ ̄;)」って感じだった(^^;)

  • 昔を振り返りつつも「この先」を考える古典部の面々が、どことなく痛々しい。
    彼らはいわゆる「一般人」で何も背負うものなんかないはずなのに(えるはちょっと例外)、高校生が見る「将来のビジョン」ってこんなに重かっただろうか、と自分の学生時代を振り返った(けど、やっぱり私はお気楽に過ごしてたと思う)。

    いつになく感情をあらわにするホータローが可愛くもあり、マンガに対しての気後れを克服した摩耶花を応援したくもあり、突然見通しのいい開けた場所に放り出されたえるの戸惑いやらやり場のない怒りやらを悲しく思ったり。
    底抜けの明るさではない、彼らの真摯な青春に幸あれっていつもながらに思う。

  • 古典部シリーズを読むたびに思う。高校生の日常に潜むミステリーっぽい感じだけど、絶対にこんな日常はないよな。

  • 家を継ぐえると共にあるために、奉太郎が自分の意志で省エネ主義を捨てる時が来るのでは?
    そんな未来の話があったら読んでみたいと思っていたので、
    『長い休日』でお姉さんが奉太郎に言った言葉に顔がにやけてしまった。
    とはいえ、表題作『いまさら翼といわれても』で、話は思わぬ方向へ。

    続きは数年後ですか!?
    わたし、気になります!

  • 古典部シリーズ6作目。
    「箱の中の欠落」「鏡には映らない」「連峰は晴れているか」「わたしたちの伝説の一冊」「長い休日」「いまさら翼といわれても」の6編を収録。

    久しぶりの古典シリーズ新作。
    いつものように「日常の謎」を解いていく短編集。
    読者に小さな驚きを投げかけて、登場人物たちの感情を丁寧にすくいとりながらゆっくり物語を収束させていく流れのお話が多かったです。

    今回は古典部メンバー4人のそれぞれの過去や新たな出発を描いていて、「変化」がテーマとなっています。
    奉太郎が省エネ体質になったきっかけ、摩耶花の『まんが道』の模索、里志のデータベース型思考からの脱却、千反田のある変化。
    奉太郎も初期のころに比べると、人を傷付けないために推理し、他人を気遣いながらそれを伝えていることに成長を感じさせます。

    「わたしたちの伝説の一冊」は摩耶花メインのお話ですが、ほろ苦い読後感が多い米澤作品にしては前向きでさわやかな読後感がとてもよかったです。
    より広い世界へ飛び出すことを、苦しみながらも決断した彼女の強い意志は尊い!
    彼女の新たなスタートに、拍手喝采して見送りたいですねー。

    一番印象的なのは表題作の「いまさら翼といわれても」。

    ここではある古典部メンバーの突然の状況の変化について語られています。
    高校生とはいえ、彼らはまだ社会に出ていないただの子どもなのですね。
    彼女は、自由に自分で将来を決められないことでの反感や諦めもあったでしょうが、そんな思いを抱く時期はとうに過ぎ、すでに家を継ぐ清新な決意を固めていたと思います。
    将来を決められていた彼女は選択の自由がなかったけども、同時に迷いもなかったでしょう。
    なのに、突然梯子をはずされた彼女の驚きと喪失感を思うとやるせなくなります。
    途方に暮れてしまいますよね。
    制約がなくなり選択肢が広くなると、却って選べなくなっちゃいそうです。

    青春らしい悩みにどう決着をつけるのか、彼女の決心は次巻まで持ち越し。
    早く次が読みたい。

  • 20190323 中央図書館
    「古典部」の面々も、高校卒業が射程に入ってきた(特に女子)ようだ。自分が本当にやりたい道へと足を踏み入れる勇気も良し、「イエ」の価値について思い惑うもあり。ホータローだって成長してきているではないか。

  • うち3作は野性時代に掲載された時に読んだことがありました。摩耶花の漫研退部に至る話と、表題作が興味深かった。特に表題作はここで終わりなの? という感じで、ものすごくこの先が気になります。私、気になります!!

  • 全編面白かった。
    伊原の話は清々しい終わり方で好きでした。

    何の気もなしに静かに人のことを守っている奉太郎、すごくかっこいいな!

    えるのこととなるともう熱がこもりまくりでそこもまたよき。

    今後が気になりますね。

  • 「鏡には映らない」が一番良かった。
    「長い休日」も好きかな。
    表題の「いまさら翼といわれても」
    なんつー終わり方ですか?

  • 目次
    ・箱の中の欠落
    ・鏡には映らない
    ・連峰は晴れているか
    ・わたしたちの伝説の一冊
    ・長い休日
    ・いまさら翼といわれても

    高校2年生。
    将来を考え始め、過去を忘れるには早すぎる年ごろ。

    奉太郎は優しい。
    山で遭難した知人を心配しながらも教室の子どもたちを気遣う先生の心を、無神経に傷つけないようそっと気遣うことができるくらいに。(連峰は晴れているか)
    その優しさがさりげなすぎて、時に誤解を生むことがあるくらいに。(鏡には映らない)

    奉太郎が「やらなくてもいいことなら、やらない。やらなければいけないことなら手短に」ことをモットーにすることになったきっかけが明かされる。(長い休日)
    人が良くて、頼まれたことは嫌な顔をしないで引き受ける少年だった奉太郎は、自分のその性格を、要領のいい人たちにバカにされ、付け込まれていたことを知る。
    同級生に。先生に。
    バカにされてもいい、付け込まれたくはない、と奉太郎少年は強く思ったのだ。

    同じくビターでも、自分のマンガの才能を伸ばすために漫研をやめることにした摩耶花の話はちょっとうらやましい。
    自分の才能を信じ、努力できる喜び。
    分裂しようとする漫研を何とか円満にまとめようとしたけれど、それは摩耶花だけが努力するものではない。
    のびのびと好きなマンガを描くことに専念できるのなら、それは何より。

    そして千反田えるも転機を迎える。
    彼女がバスに乗るのか乗らないのか、作品はそこまで書いてはいないけど、これはシリーズものなのだからリドルストーリーではなく、いつかどこかで結論が出るだろう。
    できるなら、きっちり前を見て歩き出してほしいと思う。

    しみじみ、青春から遠ざかってしまったことを感じるなあ。

  • 「氷菓」の米澤穂信さん、たぶん読むのは2作目。今知ったんだけど、これシリーズモノだった…しかも6作目。折木奉太郎が所属する「古典部」の周りの話。

    ミステリーというほどでもない出来事。最近殺人やら何やらの本を読むのに慣れていたけど、日常ってまあこんなもんだよね。登場人物達の喋り方がちょっとラノベ寄りな気がするけど、読みにくいわけではなく、カジュアルな感じ。

  • 読了、65点。
    ***
    「大人」になるため、挑まなければいけない謎。待望の〈古典部〉最新作!
    累計205万部突破の〈古典部〉シリーズ最新作!
    誰もが「大人」になるため、挑まなければいけない謎がある――『満願』『王とサーカス』の著者による、不動のベスト青春ミステリ!
    神山市が主催する合唱祭の本番前、ソロパートを任されている千反田えるが行方不明になってしまった。
    夏休み前のえるの様子、伊原摩耶花と福部里志の調査と証言、課題曲、ある人物がついた嘘――折木奉太郎が導き出し、ひとりで向かったえるの居場所は。そして、彼女の真意とは?(表題作)
    時間は進む、わかっているはずなのに。
    奉太郎、える、里志、摩耶花――〈古典部〉4人の過去と未来が明らかになる、瑞々しくもビターな全6篇。
    ***

    「鏡には写らない」が奉太郎と摩耶花の関係に関して、
    「長い休日」が奉太郎の信条の生まれるきっかけを、
    「わたしたちの伝説の一冊」が今後の摩耶花の姿勢を決める
    そして表題作の「いまさら翼と言われても」が千反田の将来を伺わせている
    そう言う意味ではシリーズものの中で成すべきことを行っている一冊とは思います。
    (個人的にシリーズもので人間関係も個人の考えも一切変わらない日常だけを描く回というのを余りよしとしませんので。)

    ただミステリとして見た場合に、印象に残る作品が少なかったのも確かでした。
    一篇目の「箱の中の欠落」は開票者が票を水増しさせることが可能だったのではないかや、
    犯人が犯行を行うリスクに関して全てスルーされている点はやや引っかかりました。

  • 久々の古典部。

    少しずつ岐路に立たされている古典部のみんなのお話。

    それがすごく切ない。

    自分の才能に殉じるという言葉が重い。

  •  そろそろ彼らに出会う前の人生より出会った後の人生の方が長くなっただろうか。

     私はいかんせん人に影響されやすいたちで、家族や知人が面白いと言っていたものに後追いで乗っかってしまうことが多かったのだが、この古典部シリーズは珍しく誰の影響も受けず、書店でジャケ買いしたものである。アニメ化よりも前の、まだライトノベルとして出版されていた頃、高野音彦さんの表紙に引かれて手に取ったのは事実であるが、裏表紙の「甘く苦い青春」的な惹句が決め手であったように記憶している。
     実際苦い。主人公折木奉太郎はわずかなヒントを組み上げて鮮やかな推理を導き出す名探偵であるが、なんというか、後味の悪い話が少なくない。誰かの胸の内に仕舞っておけば、誰かが我慢していれば、それはそれで丸く収まるはずだったことを、彼の推理が真実を詳らかにするのだが、その代償がどこかに残る、そういう苦さである。ドラマの「相棒」でたまにそういう回がある。本書にもある。

     本書は短編集形式で、奉太郎たちの過去が多少語られたりもするのだが、未来の話は少ない。表題にもなっている「いまさら翼と言われても」において若干の動きがあるくらいか。となるとこれを受けた長編も準備されているのかもしれない。
     期待は膨らむが、そろそろ「私が(あるいは作者が)生きている間に完結するのか」を心配すべき頃合なのかもしれない。

  • 古典部シリーズ。初めてこのシリーズで単行本買った。なのにここまで読むの置いておいたのは何故、、、
    短編集。古典部の部員それぞれが語り部なりお話の、謎の核になっている。

    『箱の中の欠落』
    焼きそばを食べようと箸をとったところで鳴った電話は福部里志からの夜の散歩の誘いだった。それを受けて合流した彼の口から語られたのは、生徒会長選挙の投票に不正に票を水増しがあったことが判明した事件だった。果たしていったいどうやって票は水増しされたのですか。
    『鏡には映らない』
    摩耶花は画材の調達の際に中学の同級生に遭遇する。その彼女から奉太郎への悪意を聞いて、摩耶花自身がそういえば古典部へ入部した当初はそんな目を奉太郎へ向けていたことを思い出す。その原因であるのは中学の卒業制作で卒業生全員で作った鏡の額制作のときの事件だ。その額は卒業生の中でとくに美術が得意だった来栖という女生徒が考えたブドウのツタが絡まりそのツタに小鳥などが配されている、なかなかに複雑なものだった。それを各クラスの班ごとに何枚かのレリーフを彫っていったのをつなぎ合わせてつくったものだった。問題は、奉太郎の班がつくった部分が一本の線になっていたことだった。それをみた来栖が泣き出してしまったことで奉太郎は学年全体から悪意の眼を向けられることになった。しかし、摩耶花は今になって奉太郎のその行動の裏には何かがあったのではないかと考え始める。いったい奉太郎の彫った一本の線が隠したものとは。
    『連邦は晴れているか』
    古典部部室でヘリコプターの音を聞いて奉太郎は中学のころの英語の先生が飛行機が好きだったことを思い出し、それを同中だった里志と摩耶花に話を振るが二人は不思議そうな顔をする。思い出を掘り起こしていく中でひっかかるものを感じる。いつもと違い奉太郎自ら謎を解こうと図書館へと向かうのを、えるが追いかける。奉太郎が解いた謎の正体と、それを調べずにはいられなかった奉太郎の思考のかたち。
    (何故かこの内容知ってるな、と思ったらアニメでやっていたのだとか)
    『私たちの伝説の一冊』
    摩耶花の所属している漫研は今分裂の危機に陥っていた。その原因の大きなきっかけを作った摩耶花はなんとか描く派と読む派の仲直りを願っていたが、そんな彼女の心を無視して争いの中心へと巻き込まれていく。そんななか摩耶花の漫画制作ノートが盗まれてしまう。果たしてその目的とは。
    『長い休日』
    朝起きると、すこぶる調子がよかった奉太郎はなんとかこのエネルギーを消費しようと散歩に出かけるが、途中で出会った一文字の家の神社の掃除の手伝いをするというえるの手伝いをすることに。そこで語られた奉太郎の省エネの信条ができる原因の事件。
    『いまさら翼といわれても』
    地域の合唱祭でソロを歌うことになっていたえるが来ていないことを知らされた奉太郎は摩耶花と合流して彼女の行方を考える。えるはどこへ行き、そして何故そんな行動をとったのか。

    表題作のもそうだけれど、古典部の面々がそれぞれ未来の生き方を模索し始めている様子が、あの頃を思い出し少し息苦しいような気持ちも持ちながらあっという間に読み終わる。
    読み始めるまで勝手に『いまさら翼といわれても』ということばに込められた謎をおう長編かと思っていた。最後のえるの表情はなんの描写もないけれど、なぜかとても生々しく見えた気がした。彼女の抱えた空白というか空虚が、次の物語で何かにつながるといいと思う。

  • 6話それぞれ面白かった。古典部シリーズは未読だけど改めて興味を引かれたのでそのうちに是非読んでみたい。独白スタイルが調子よくて四人の関連性が初めて読む者にも理解できる気がするね。
    独特の語り口が私には気持ち良かった。

  • ものすごく久しぶりの古典部シリーズ。「いまさら続きといわれても」ってファンに言わせたいがためにつけたようなタイトルがよいなぁ。(笑
    主人公ホータローを筆頭にえる、まやか、さとしのキャラクターの造型を深めるサイドストーリーを集めた連作短編集となっている。ファンなら楽しめるが、これから読んだ人は「なにこの内輪ネタ」みたいに思ってしまうだろうなぁ。

    本シリーズや季節限定スイーツのシリーズはもうちょっと感覚縮めて書いてほしいってのがファンとしても正直なところ。もう前の話忘れてしまってるよ。正直(笑

    これら以外の作品も抱えておられる米澤さんなので、贅沢は言えないけど、せめて2年に1冊、できれば年1冊シリーズを刊行してくれたらなぁ。

全258件中 1 - 20件を表示

著者プロフィール

米澤 穂信(よねざわ ほのぶ)
1978年、岐阜県生まれの小説家、推理作家。金沢大学文学部卒業。
大学在学中から、ネット小説サイト「汎夢殿(はんむでん)」を運営し、作品を発表。大学卒業後に岐阜県高山市で書店員として勤めながら、2001年『氷菓』で第5回角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞を受賞し、デビューに到る。同作は「古典部」シリーズとして大人気に。2011年『折れた竜骨』で第64回日本推理作家協会賞(長編および連作短編集部門)、2014年『満願』で第27回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。『満願』は2018年にドラマ化された。直木賞候補にも度々名が挙がる。
その他代表作として週刊文春ミステリーベスト10・このミステリーがすごい!・ミステリが読みたい!各1位となった『王とサーカス』がある。2018年12月14日、集英社から新刊『本と鍵の季節』を刊行。

いまさら翼といわれてものその他の作品

米澤穂信の作品

いまさら翼といわれてもを本棚に登録しているひと

ツイートする