パンドラ 猟奇犯罪検死官・石上妙子 (角川ホラー文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041047651

作品紹介・あらすじ

連続ドラマ化された「ON 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子」シリーズの
人気登場人物“死神女史”こと石上妙子の、若かりし頃の事件を描いたスピンオフ作品が登場!

「猟奇犯罪捜査班」の“死神女史”として、藤堂比奈子らを助ける検死官・石上妙子。
彼女がまだ大学院生だったとき、その事件は起きた。
法医学部の教授のもとで、妙子が検死を担当した少女。彼女は自殺と思われたが、「遺書」の一部が不思議なところから発見された。妙子は違和感を持つなか、十代の少女の連続失踪事件が発生していることを、新聞と週刊誌の記事で知る。
刑事一年目の厚田巌夫と話すうち、別の女性の変死体のことが分かり、「自殺」に疑念を持つ妙子。
そして大学では、英国から招聘された法医昆虫学者である、サー・ジョージが研究を開始、妙子がサポートをすることになった。彼の研究が犯罪を解き明かす鍵になるのではと考えた妙子だったが……。

感想・レビュー・書評

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  • 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子のスピンオフもの。死神と呼ばれる解剖を行う法医学の教授の石上妙子の若いころの話。そのころから結構個性を発揮しているのだが、まだまだ後年のずぶとさはなく、いろいろなことを考え、悩み、試行錯誤している。昆虫学法医学者のジョージとのかかわりが詳しく書かれているが、結末は悲しい。連続婦女殺人犯とのかかわりもやはり悲しい。この人にこの歴史ありという感じだ。昆虫が人間を食い尽くしていく描写は凄まじいが、それがないと腐敗菌が蔓延して人類は滅んでしまうだろう。自然界の不思議さは言いようがない。

  • スピンオフ。石上妙子さんの。
    まだ、死神女史って言われる前の若い頃の話しやな。
    とは言え、結構、凄い猟奇殺人怒ってる…あの法医昆虫学者も…キモいわ!
    髪の毛フサフサそうな厚田刑事も!厚田刑事…今も昔も話し口調が全く同じやん。もう少し若めの口調にして欲しい!
    この猟奇犯罪が、契機となって、死神女史の伝説が始まってそう。
    色々、ツライ事があって今の図太い精神に成長して、事件の真相へ導く!

    「声なき遺体の声を聞き、生ある者にそれを伝えよ」

  • 藤堂比奈子シリーズスピンオフ作品。死神女史こと石上妙子の若い頃のエピソード。ガンさんにまだ毛があった頃のお話(笑)迷ったり悩んだりしながらも自分の生き方を模索している若き日の女史が初々しい。
    昆虫法医学者のジョージとの関係、ガンさんとの出会い…などなど、本編でずっと気になっていた部分がかなり補完できました。
    ガンさんいい男じゃないか~~死神女史がいつもチョコをかじってる理由がわかり、胸熱。この元夫婦がさらに好きになりました。二人が結婚して、離婚するまでのエピソードはガンさんのスピンオフに描かれるの??比奈子と野比先生より正直この二人が気になるし幸せになってほしい…!

  • 死神女史が主役だが、Backの続きかと思ったら違った。精神・神経研究センターの変態法医昆虫学者のジョージや新米刑事の時のガンさんが絡むが、読み始めてすぐに、既知の内容だと蛇足にならないかと心配になった。

    サー・ジョージの変態法医昆虫学者になった生い立ち、プロセスが明らかになった。権威を重んじる家系であることと結びついているとは想像もつかなかった。若き日のガンさんの描写も理解を深めるに十分役に立つ。Backとは過去に遡るということかと思った。

    そして、連続した変死体を学生である死神女史が検死する。死神女史の誕生のプロセスも明らかになる。
    死神女史にとって、フリーライターの千賀崎は協力者なのか?それとも・・・
    謎の解明が進んでいく。千賀崎はなぜ死神女史に電話をしてくるのか?美しいパリの情景を思い浮かべながら読み進めた。
    死神女史が白衣を着ている理由も理解できた。
    しかし、犯人の動機が最後までわからなかった。
    男性にとっての母との関係は、心まで歪めるほどの力を持っているのだろうか?こればかりは納得がいかずに読み終えた。

  • シリーズ番外編。
    ガンさんや、死神女史の若い頃の話なので
    興味深く読みました。
    変態法医昆虫学者との繋がりとか、ちょっとだけあった
    死神女史の過去の描写も気になっていたんだけど
    それも回収してくれていたので、大満足の1冊です。
    隙間を埋めるだけでない物語のおかげで
    本編の面白さが増しましたよぉ~

  • 藤堂比奈子シリーズ、スピンオフ一作目!

    既刊順で読むのがオススメとのありがたいレビューを見かけて「BACK」の次に読みました!

    猟奇犯罪捜査班のフロントマン、法医学者の死神女史こと石上妙子の学生時代のお話で
    妙子が事件捜査と深く関わる初めての物語。

    まず、主人公が違うだけで物語の展開や切り口がこんなにも変わるのかという驚きがありました。
    主人公が作家に憑依してるんか?というくらい、主観的な心情描写が、比奈子シリーズと全然違う。
    また内藤了さんの本の魅力を見せつけられちまいました!

    比奈子は人との関わり合いや縁から事件を解決に導く、真っ直ぐで暖かい性格の持ち主ですが、若き日の妙子はその真逆。
    生きた人よりも無口な遺体と向き合う方が性に合う質だった。
    厚田との出会いで、遺体が生きた一人の人間であった事を意識するにつれ、犯罪への怒り、個人への哀悼、法医学者を目指す意義を固めていきます。

    一方で、法医昆虫学者のジョージとのロマンス的な出会いも描かれています。
    女であること、男社会で働くことへの葛藤。
    妙子の人間臭さが感じ取れて、比奈子シリーズ後半戦がより楽しみになりつつ、この一冊だけでもかなり面白い作品でした。

    本編の方は比奈子ちょっと良い人すぎないか?って思うことが多々あって、それを読み続けてきたから余計に、妙子の卑屈っぽさが良いスパイスになりました!

  • スピンオフ一作目。
    石上女史の若い頃のお話。厚田刑事も出てるし、ジョージとの馴れ初めもなるほど、この頃からジョージはもうおかしくなっていたのか。

  • 本物の猟奇犯罪ホイホイは、石上女史なのでは?
    と思う立て続けの事件…
    女史とジョージの関係性
    女史とガンさんの関係性
    ここがなければ、この後の全てがなかったんだなと思うと物語の始まりと言える。

  • 石上妙子のまだ先生になる前のお話。厚田刑事とサ-・ジョージとの出会い、本編では過去の話となっていたことなのでなるほど~っと思いながら読んだ。

  • 石上女史、ガンさん、サー・ジョージの出会いの話。
    石上女史がチョコを偏愛してる理由が本当にウルッとくるし、普段読んでる藤堂比奈子シリーズの2人とは違う初々しさがすごく良かった。

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著者プロフィール

2月20日生まれ。長野市出身、在住。長野県立長野西高等学校卒。デザイン事務所経営。2014年、日本ホラー小説大賞読者賞受賞作『ON 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子』でデビュー。ほかの著書に『ON』につづくシリーズの『CUT』『AID』『LEAK』『ZERO』『ONE』『BACK』『MIX』『COPY』『BURN上・下』、スピンオフ『パンドラ』『サークル』『OFF』、「東京駅おもてうら交番・堀北恵平」シリーズ『MASK』『COVER』『PUZZLE』『TURN』など著作多数。

「2023年 『LIVE 警察庁特捜地域潜入班・鳴瀬清花』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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