燕雀の夢

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 56
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041047712

作品紹介・あらすじ

群雄割拠の時代に、一際異彩を放つ父親たち。戦国の英傑たちの父は、何を夢みたのか──。
上杉家と国人衆の狭間で、長尾家の生きる道を模索する上杉謙信の父・長尾為景「下剋の鬼」。隠居後も息子の戦いに我を重ねる武田信玄の父・武田信虎「虎は死すとも」。父子相剋の歴史を断ち切るため、我が子に己の戦いを見せる伊達政宗の父・伊達輝宗「決別の川」。愛する者を守るために、苦渋の決断を重ねる徳川家康の父・松平広忠「楽土の曙光」。“うつけ殿”と揶揄される息子に対し、ただ一人恐れを抱く織田信長の父・織田信秀「黎明の覇王」。貧しき暮しを抜け出すため、戦での手柄を夢見る豊臣秀吉の父・木下弥右衛門「燕雀の夢」の六篇を収録した著者渾身の歴史小説。

感想・レビュー・書評

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  • 各戦国武将の父の話。
    上杉謙信・武田信玄・伊達政宗・徳川家康・織田信長・豊臣秀吉の親。
    名が通っている武将が皆、幼少期の呼ばれ方だったりするので
    慣れてないと、ん??となるかもしれないけど
    あぁそうか、もしかしたらこういう流れで成長したのかもな~と思いを馳せる。
    全て父親の目線で語られているのですごく新鮮
    遡って時代の流れを追うこともできるので良かった。
    織田信長の父目線が特に印象深い。
    戦国の世の父とはっていう感じだった(最後の秀吉の父の扱われたかがまた何とも…)

    本のタイトルにもなっている「燕雀安んぞ鴻鵠の志を知らんや」
    非常に古い諺で、小さな鳥には大きな鳥の志は理解できないという
    聞こえようによってはなんだか嫌味にも聞こえる。
    でも実はそんなマイナスな意味でもなく
    大きくはばたけであったり、志を広く持てという良い意味での捉え方だったり。
    常人には分からない喜怒哀楽があってこその大きな鳥という意味なのかもしれないな、と。

  • 短編集。長尾為景、武田信虎、伊達輝宗、松平広忠、織田信秀、木下弥右衛門。
    全てが、有名な武将の父の話。
    伊達輝宗の最後、松平広忠の生涯など、壮絶なものがある。

  • ほぼ同時代に生きた有名どころの武将たちの、父親の物語。

    偉大な父を持った息子が父を超えらず悩む話はよくあるけれど、偉大な息子を持った父もなかなか複雑ではあるのだなと、武田信虎や織田信秀の話を読みながら思いました。

    個人的にはやはり、信秀の話が好きです。息子の真の力をただ一人見出して恐れる、という設定が。

  • 戦国時代の武将たちがいかに生きたかを,戦闘を舞台として描いた短編が6つ.どれも楽しめたが,若い時代の織田信長が出てくる「黎明の覇王」が良かった.うつけと呼ばれて家臣たちや母の久子からも疎んじられた信長を,父の信秀がその隠れた才能を見出す.伊達政宗の幼少期が出てくる「訣別の川」でも感じたが,将来それなりの武将になる人は若い時から秀でたものを持っているようだ.

  • 英雄の父たち。信玄の父はコミカルで強かで魅力ある。謙信の父は猪突猛進でいかにも親子である。信長の父は息子を広い世界へ羽ばたかせそうとする理解者。家康の父も祖父も若くして暗殺されて、だから家康は猜疑心が強く慎重になったのかも。秀吉の父は…うん、成り上がってしまって過去を美々しくしたいのは人の常である。天野さん、生き生きと描いています。

  • 上杉謙信の父、武田信玄の父、伊達政宗の父、徳川家康の父、織田信長の父、豊臣秀吉の父。本人そのものが評価されるのではなく、〈偉大な息子の父親〉として見られてしまう。そんな人たちを描いた短編集。
    先の見えない乱世で、必死で考え、家を守ろうとする。決して父親たちも無能なわけではないのに、優れた息子と比べられると、華々しさからやや離れてしまう。そんな人間くさい生き方が、逆に魅力的だった。

  • 短編集6編
    戦国時代の英傑の父親の生涯.子供への愛情のあり方,関わり方がそれぞれ興味深い.愛情深い松平広忠があっけなく死んでしまうのに悔しい思いがした.伊達輝宗はある意味見事だし,織田信秀も信長の父親らしい.それぞれの章が少しずつ重なり合って,エピソードに別の視点から光が当てられているのも魅力だ.

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著者プロフィール

天野純希
1979年生まれ、愛知県名古屋市出身。愛知大学文学部史学科卒業後、2007年に「桃山ビート・トライブ」で第20回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2013年『破天の剣』で第19回中山義秀文学賞を受賞。近著に『雑賀のいくさ姫』『有楽斎の戦』『信長嫌い』『燕雀の夢』など。

「2023年 『猛き朝日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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