ライオン・ブルー (1)

  • KADOKAWA
3.23
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041047743

作品紹介・あらすじ

関西某県の田舎町・獅子追の交番に異動した澤登耀司、30歳。過疎化が進む人口わずか4万人の町から、耀司の同期で交番勤務していた長原信介が姿を消した。県警本部が捜査に乗り出すも、長原の行方は見つからなかった。突然の失踪。長原は事件に巻き込まれたのか。耀司は先輩警官・晃光に振り回されながら長原失踪の真相を探っていく。やがて、町のゴミ屋敷の住人だった毛利宅が放火され、家主・淳一郎の遺体が見つかった。耀司は、長原が失踪直前に毛利淳一郎に会いに行っていたことを掴むが……。

感想・レビュー・書評

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  • こめかみに拳銃をあてる警察官の後ろ姿。
    不穏な空気プンプンの表紙カバー絵です。

    関西の田舎町、獅子追町。過疎化の進む生まれ故郷の交番に志願して異動してきた澤登耀司。名目は倒れた父親の看病だが、本当の目的は…。

    クリスマスイブ、獅子追署の交番勤務をしていた長原信介は拳銃を持ったまま姿を消した。生きているのか死んでいるのか、耀司はこの未だ行方のわからない同期の長原を探すため獅子追町にもどってきた。

    耀司が着任してすぐ 、町のゴミ屋敷が全焼する火事があり 屋内からは家主の毛利が遺体となりみつかる。その数週間後、警ら中 怪しい人物を見かけた耀司は発砲音を聞き 駆け付けたた先で ヤクザの金居の銃殺死体を発見する。

    更には 町の権力者やヤクザ絡みの獅子追町の合併、再開発問題にまでも巻き込まれる耀司。

    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

    もう出てくる誰もがあやしい。誰が味方で誰が裏切り者かなのか…。町の閉塞感、しがらみ、差別、町のルール。町民との距離が近すぎる交番巡査。長原のことには口を閉ざす獅子追署の同僚たちまで何かを隠しているのは明らかで、誰を信じていいのかわからなくなる。

    途中わたしの「人の名前が覚えられない」という得意技も発動し脳みそがぐるんぐるん。だっていっぱい登場人物出てくるんだもん、というアホな感想は置いといて。

    脳みそ疲れながらも最後まで読まずにいられなくなるのは『道徳の時間』と同じ感覚。物語が進めば進むほどに明らかになる登場人物たちの闇、闇、闇。闇しかない。面白いー。特に同僚の晃光大吾。こいつは始まりのシーンから危険な香りのする男です。晃光ははたして悪人なのか善人なのか。最後まで目が離せません。それは主人公の耀司も同様。高校時代に経験した苦い思い出から逃げるように故郷を去った耀司の闇とは…。【正義感あふれる警察官】と少しづつかけ離れ 陰鬱な雰囲気がまとわりついていきます。なんなの、どうしたの、なにがあったん??

    からの!今まで見えてた世界がスコンと反転する衝撃の事実!!あぁ、実はうすうす勘づいてた笑。でもいいの、衝撃は衝撃だから!

    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
    「ここがろくでもない田舎やと、みんなよくわかっとる。田舎が悪いんとちゃう。出来上がった田舎のシステムがくそなんや。誰もそこから自由になれへん」

    「警察は交番が一番や。誰かを守るのに、一番近くにいてやれる」

    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
    読了後の感想は
    【勧善懲悪なんてクソくらえ】と言われた気分です。

    巨大な『悪』を倒すための『悪』。『悪』も時として誰かの『正義』になるのか。 犯人の犯行動機や 晃光と耀司の行く末とか、モヤモヤです。(あ、『道徳の時間』と同じような感想)。しかし!文庫本でスピンオフが読めるらしい!読みたい!

    次は『スワン』٩(ˊᗜˋ*)وワクワクー


    どうでもいいメモ✎﹏
    作中 みんなが「晃光 晃光」って呼ぶから、町のドンが「大吾!」って叫んだ時に 誰のこと??って思ってしまった。晃光って名字、名前っぽくない??

    • ゆーき本さん
      あと、セリフの読みづらさ 多少あったよ笑
      池井戸潤に報告しとくか笑!
      あと、セリフの読みづらさ 多少あったよ笑
      池井戸潤に報告しとくか笑!
      2023/11/03
    • yukimisakeさん
      こっちもブックオフにスワンしかなかったんですよね。うわ楽しみだな!『ロスト』も凄く登場人物多くて、ずっと挑戦状を叩きつけてんのかなって思って...
      こっちもブックオフにスワンしかなかったんですよね。うわ楽しみだな!『ロスト』も凄く登場人物多くて、ずっと挑戦状を叩きつけてんのかなって思ってたのに笑
      セリフの読みづらさも言われてましたね!池井戸さん直通電話が欲しい笑。
      2023/11/03
    • ゆーき本さん
      お!じゃあ『ロスト』読む時はメモとりながら読むわ!てヒマメロさんの助言どこいった。
      今 図書館予約してた本がドバドバきたから しばらく呉さん...
      お!じゃあ『ロスト』読む時はメモとりながら読むわ!てヒマメロさんの助言どこいった。
      今 図書館予約してた本がドバドバきたから しばらく呉さんはおやすみだー。ユッキーのレビュー楽しみにしてる!
      2023/11/03
  • 同期の警察官、長原の失踪事件の真相を探るために、澤登耀司は生まれ故郷の交番に異動してくる。真相を暴こうとすると、第二、第三の事件が起こる。小さな田舎町特有の癒着や利権争いも絡む中、澤登のとった行動は。。。
    甲子園での過去の傷から逃げることができないでいた澤登が、長原と出会うことによって真情の変化があり・・・という流れで、もっと一般的な意味での正義感の話かと思ったが。後味としては余り良い感じはしなかった。

  • 交番モノと聞いてノンビリした話かと思ったらとんでもなくドロドロした話。
    田舎の嫌らしさ全開で、そこに生きる人たちのドロドロした腹の中が次第に明らかになっていく。
    読後感は最悪なのに、何故か先が気になって仕方ない。
    世の中綺麗事だけでは進まないとは言うものの、ここまで泥臭くならないと果たせないモノがあるというのも何だかなぁ。
    腹黒い人が真っ黒というわけではなく、青い人が清潔とも限らない。

  • 耀司くん から 君、最後にまあ耀司くんと呼称が変わる。
    疑心が現れているとき、それが印象的でした。

    晃光氏の過去や背負っているものはなんだったんだろう。未知でした。

  • モヤモヤしつつ読了。毛利と金居殺しの犯人を追うと同時に長原失踪の謎を解くのが醍醐味。田舎特有の閉鎖的事勿れ主義を逆手に取った犯罪である。独裁権力者を潰さない限り、腐った町は続くのだ。

  • 3.5かなあ。意外とあんまりいいレビューが無いのでびっくりした。勧善懲悪でスッキリって感じじゃないのがダメなのかなあ。田舎の駐在の閉鎖性の話って他にもいくつか読んだ気がするので、そんな目新しいテーマではないんだろうけど、そして動機に対して犯罪デカすぎてリアリティ無い気がするけど、嫌いではない。

  • 後半の衝撃の展開・結末にグイグイ引き込まれた。
    晃光巡査が良いキャラしてるので、晃光巡査を主人公にすえ、この街を舞台にした続編が読みたい。

  • 交番勤務の警察官が主人公。お世話になった先輩が失踪。事件の真相を知りたくて生まれ育った土地に戻ってくる。
    田舎だから特有のルールがあることに納得がいくが警察官とは思えない行動が続く。それに理由があることが読み進めていくとわかる。が、理解はしたくない。狭い世界でどう生きていくのか?いろいろ考えさせられる。

  •  表と裏が、これほど入れ替わっていくと、リアリティが薄れていく。けれど、張り巡らされていた伏線は、手堅く回収されていく。だから、とても満足する。

  • 交番内、村の人々、同級生それぞれ別の出来事が絡みあって、一つの同期の謎の失踪事件に少しずつ繋がっていくのが面白い。
    田舎特有のしがらみズブズブの人間関係が不気味さを出していて良い。

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著者プロフィール

1981年青森県生まれ。大阪芸術大学映像学科卒業。現在、大阪府大阪市在住。2015年、『道徳の時間』で、第61回江戸川乱歩賞を受賞し、デビュー。18年『白い衝動』で第20回大藪春彦賞受賞、同年『ライオン・ブルー』で第31回山本周五郎賞候補、19年『雛口依子の最低な落下とやけくそキャノンボール』で第72回日本推理作家協会賞(長編および連作短編集部門)候補、20年『スワン』で第41回吉川英治文学新人賞受賞、同作は第73回日本推理作家協会賞(長編および連作短編集部門)も受賞し、第162回直木賞候補ともなった。21年『おれたちの歌をうたえ』で第165回直木賞候補。他に『ロスト』『蜃気楼の犬』『マトリョーシカ・ブラッド』などがある。

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