虚実妖怪百物語 破 (怪BOOKS)

  • KADOKAWA (2016年10月29日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (488ページ) / ISBN・EAN: 9784041047781

作品紹介・あらすじ

錯綜する虚構(フィクション)と現実(リアル)。
妖怪が各地に出現し、荒んだ空気が蔓延する日本で“妖怪狩り”が始まり――。

榎木津平太郎、駆ける!


富士の樹海。魔人・加藤保憲の前に、ある政治家が跪いていた。太古の魔物が憑依したその政治家に、加藤は言い放った。この国を滅ぼす、と――。妖怪が出現し騒動が頻発すると、政府は妖怪を諸悪の根源と決めつけ、駆逐に乗り出す。世相は殺伐とし、民衆は暴力的となり、相互監視が始まる。妖怪専門誌『怪』関係者は、この異常事態の原因究明のため、村上健司らが入手した呼ぶ子を出現させる謎の石の研究を続けるが……。

感想・レビュー・書評

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  • 暗躍する加藤保憲、荒俣先生操る學天則ロボ、妖怪百鬼夜行のみならずクトゥルフまで顕現し、実名作家達もどんどん登場し内輪ネタで盛り上がる、もちろん京極夏彦は推理(ツッコミ?)を行い、世界は混迷を極める…
    広がりきった風呂敷は最終巻「急」へ…

  • 〝破〟の名の通り、大いに盛り上がってまいりました!
    それぞれの場所で並行に発生していた事象が、徐々にクロスオーバーしてくる面白さ、ベタですが気持ちいいよね。

    実在する固有名詞がガンガン登場し続ける本作品なわけですが、ここに来てこの世界観がすごく生かされているんではないかと思います。このぶっ飛んだ事象の数々、創作キャラクターだと、いよいよ地球によく似たある星で…感が強くなってしまうのではと思うのですが。
    いかんせん実在の地名、社名、人物名、作家、編集、有名著名有識者!とてんこ盛りなので、色々な騒ぎの「こんなことが起こるなんて!?」という衝撃が、等身大で伝わって来るわけです。

    ところで、ソーシャルメディア時代の民意の暴走、みたいなものがこの作品の重要な軸を担ってると思うわけですが。
    この作品は極論で、こうはならない理由はいくらでもあると思うけれど、しかしこの状況、初出当時より単行本、出版当時より現在と、どんどんリアリティは増していることがすごいなと思います。
    他人を裁きたい欲求、正論を振りかざしたい欲求が、強まって暴走して行く世の中を的確に予見している作品でもあるなと。何年か後にまた読み返してみたくなるわけです。

  • 杉並のとあるマンションで呼子の研究とかしてたら、どういうわけか妖怪製造所として標的にされて、、、さてさて無事に脱出&妖怪遺産?を守れるのか!?とかいうことになってきました。
    妖怪馬鹿な妖怪推進委員の人たちもピンチ‼
    そしてまさかの学天則ジャイアント登場、クトゥルーまで広がってくるし、なかなか小ネタもきいてて面白かったです
    妖怪は人の余裕から生まれる、納得です。
    こんな殺伐とした世界になったら本当に終わりだろうな
    「火星に住むつもりかい?」を思い出した。
    さて、最後はどうなっていくのか。打倒、加藤保憲

  • 日本がとんでもないことになってしまっています……嫌だなあこんな世の中。いいじゃん妖怪くらいいくら湧いたって! 可愛いもんじゃん妖怪なんて。……でも邪神に乗っかられるのはたしかに困る(笑)。
    馬鹿馬鹿しいお話のようにも思えるけれど。事件やなんやが起これば何かに原因を求めて排除しようとする、ってのは現実にもあって、面白くない傾向ですねえ。いつの世の中でもあることかも。なので、こういう風潮になるのは決して絵空事ではないぞ、と思えば恐ろしい話です。妖怪だの幽霊だのの方がよほど平和なのは確かだなあ。
    にしても実在のようなあの人やあの人のキャラが凄すぎて。なんかね、フィクションだと思っていてもそういう印象で見てしまいそうです。

  • 突如面白くなってきました。バカでアホらしいが、アイロニカルで深いです。含むところ非常に多い。特にクトゥルーが出て来てしまった頃から興奮度が上がりました。
    「懐くものなのか太古の邪神。」
    懐かれてみたいです。そして西村真琴博士が出て来た時点で、どんなにレオが話そうが話しがズレようがぶれなく面白さが加速。最後は大先生登場でフハッ!!急でどない始末するのか非常に楽しみです。
    名台詞もたくさんでてきまして、印象に残ったのは荒俣が言う
    「そうだよ。バカなんだよ。情動にどっぷり浸かっている者には己の愚かさなど判りはしないだろう。一方で、理が勝ち過ぎている者にとっては、情動に寄ったものはすべてバカにしか見えない。妖怪は狭間に涌いて。思い切りバカな面体を晒すことで、人間にわきまえるということを示してくれる。そういうものだヨ。こいつらは」(P294)

  • 妖怪とはなんなのか、の概念みたいなのが書かれててなるほどなーーと読みながら納得しました。
    妖怪は見えるものじゃなくて現象だし、ただ水木先生みたいな人が絵として実体化というか現象をキャラクターにしたことで生まれたんだなあと思いました。人によって同じ妖怪が違って見えるのが面白いし、実際は何もないっていうのがとても京極さんぽくて楽しかった…あとやんわり震災とか政治のことを言ってるようでいいぞもっとやれと思いました

  • 実体のない妖怪が視えるようになったのは、視る者の改ざんされた脳内画像であり、デジタル記録データも同様だと判明するが、怪異・不思議に対する人々の疑心暗鬼・不寛容さは、妖怪バカの粛清を正当化し、公もそれを黙認する事態に。
    日本妖怪推進委員会や荒俣宏も襲撃を受けるが。。
    荒俣先生が国産ロボット第1号の學天則の付喪神に乗り、妖怪資料の付喪神と行進するのは何ともカッコいい。
    不思議なことはない、分からないことがあるだけという京極先生のブレなさも素晴らしい。
    客観的根拠のない不安・心配や、多様性を認めない不寛容な価値観に基づくヒステリー的な異質への攻撃など、ベースにある世相は現実のもののように思え、そうした風潮への痛烈な批判のように感じられる。
    妖怪者や資料は無事でいられるのか、完結の「急」の巻につづく。
    16-226

  • 深刻だけど緊迫感ないなあと思ってたらさすがに終盤はハラハラしてきた。

    コロナ禍も少し彷彿とさせる作中世相だけどコロナ前の作品なんだよなあ。(自粛自粛は大震災だけど)

  • 「序」を読んだので、続いてこちら。
    おおー、なんか面白くなってきたー!そして不穏だー!!

  • 前作「序」に引き続き、水木しげるのビルに閉じ込められた荒俣宏一行が、巨大な學天則(帝都物語でトンネル爆破するロボット)を操作して自衛隊を蹴散らしてゆくという破茶滅茶な内容が続く。

    京極さんは妖怪だけではなく怪獣やロボットやアニメや漫画も大好きなのね。

    オタクパワー炸裂の第二巻。
    相手は極めつけの非科学だからと妖怪に科学的根拠を求めない点や、
    世間が根拠もなく妖怪を追放し始めたことについて「非合法ではなく不道徳なのだ」というところ、冷静な京極っぽくていい。

    小説内の日本もこっそり法改正して有事じゃないけど平時じゃない状況になってたりするところが、昨今の世相を風刺しているようでなかなか痛快。エンタメはこうじゃなきゃ!と思わせる作品。

    新耳袋の木原さんが槍で都知事に戦いを挑んだところで吹き出す。

    内輪ネタが多いとのレビューを見かけるけれど、それも含めて私は面白いと思う。

  • 続き物だった!!
    調べもせずに読んで気付いて、序破急の破。

    知ってる作家さんがいーっぱい。知らないだけでこれも作家さん?と思いながら。

    「今この国は無法ですよ。有事じゃないけど平時ではない。警察同様、今まで介入できなかったことにも介入して来ますって。つうか、こっそり法改正してる可能性もあるし」
    これ今じゃね?とか。

  • 大先生ー!!!

  • 荒唐無稽だけど、面白い。

  • 面白かった。

  • 妖怪及び妖怪関係者を没滅( ̄□ ̄;)!!という物凄いことが起こっているのに、大爆笑ヾ(≧∀≦*)ノ〃これは妖怪馬鹿の私だから読んでいても面白いけれど、妖怪に興味無しの人には?(・_・;?という感じになっちゃうんだろうなぁ(^^;)

  • 妖怪ヲタのための妖怪ヲタによる妖怪ヲタのみが楽しめる妖怪ヲタ話の第2巻。

    「序・破・急」でワンセットだろうから、これが真ん中の巻で、妖怪ヲタ度が高いほどネタを拾えて楽しめます。

    世の中に不思議なことがけしてないように、京極さんの作品をこの本で初めて読むようなことがけしてないように、くれぐれもご注意ください。

    さりげなく、今の中庸を好まない極端な時代を妖怪ヲタがバッサリ…ってな本なのだと思います。

    荒俣宏さんの『帝都物語』を読破したり、水木しげるさんの妖怪事典とかを読み漁っといて良かった~♪

    この巻の醍醐味の1つは、荒俣宏さんが學天則で出撃するシーンだと思いますが、これって『帝都物語』を知らないと…だと思うんだよね。

  • 妖怪百鬼夜行やら学天則ジャイアントやらクトゥルーやらが入り乱れて滅茶苦茶である。なんというか混ぜると危険。しかし、ここまで滅茶苦茶だと逆にマッチしているというか。遂に水木大先生も乗り出してきたが、妖怪推進委員会は黒幕を倒すことができるのか。乞うご期待。
    自分を小説の中に出す作家はたまにいるが、本作はまさに本人として描いている。ものすごく卑下するのも、持ち上げるのもどうかと思うが、なんとなく読んでいてむず痒いというか。

  • 「序」を読んでもう1年以上経ってしまっている!というわけでそちらを読んでから一気に「急」へと急ぐ。

  • まさかのクトゥルー。ああーもしこの作品内に自分がいたら信者として合流したい。いや別に信者じゃないけど。そもそも詳しくないけども。

  • 3.5

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著者プロフィール

京極 夏彦(きょうごく・なつひこ):一九六三年北海道生まれ。九四年『姑獲鳥の夏』でデビュー。同作を含む〈百鬼夜行〉シリーズで人気を博す。九六年『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞(長編部門)を受賞。その後も泉鏡花文学賞、山本周五郎賞、直木三十五賞、柴田錬三郎賞、吉川英治文学賞を受賞。〈巷説百物語〉シリーズ、〈豆腐小僧〉シリーズなど著書多数。

「2025年 『東海道綺譚 時代小説傑作選』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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