機動戦士ガンダムUC バンデシネ (16) (角川コミックス・エース)

  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (178ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041048757

作品紹介・あらすじ

ついに最終座標へと辿り着いたバナージ達は、ラプラスの箱の正体を知る…。バナージの強い意志を知ったビストは、彼に「箱」を託そうとする。だが、彼らをフル・フロンタルの駆るネオ・ジオングが強襲し――!?

感想・レビュー・書評

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  • サイアム・ビストが語る宇宙世紀の始まりと、そこに秘められたささやかな善意。
    これから果てしない世界へ送り出される宇宙棄民への贖罪の一文。最初は何の意味もなかったそれがジオン勃興とニュータイプ神話に拠って意味が様変わりし、憲章に関わる人々を呪い縛り、それが知られた時に何が起きるか判らないという恐怖を刻み込んだ
    それこそが『ラプラスの箱』の正体だったわけだ

    いわば『箱』は可能性そのものだね。憲章の一文も未来の可能性に言及しただけ、その憲章を今持ち出しても連邦が認める可能性は少ない。だが旗印にしたい者達が新たな闘争の御旗として掲げてしまう可能性がある
    ユニコーンガンダムを巡る一連の旅もいわば可能性を探す為のもの。宇宙世紀に纏わる様々を知る事で可能性に至る歴史を知る為のもの

    そして可能性の象徴であるニュータイプと思われるバナージの返答が良いね
    ニュータイプだからではなく、『箱』を託された者だからではなく、ビスト家の末裔だからではなく。一人の人間として人の持つ可能性を信じると言った
    その考え方だって未来に責任を放り投げてしまうものかもしれない。それでも『箱』に飼いならされる現状を確定してしまうよりずっと良いのかもしれない
    バナージの選択はあらゆる可能性を潰さないもの

    対してフル・フロンタルは可能性を持たない人間か
    作り物の器として人の想いを注ぎ込まれた人間。けれど模倣先が数年前に死んだシャア・アズナブルであるならば、フル・フロンタルに未来への発展はない。だからフル・フロンタルが『箱』を使って望むものは現状維持の先にある未来となる
    『箱』を開いて変化する未来へ進もうとするバナージにとって最大最後の敵となるに相応しい相手


    フル・フロンタルが用いるネオ・ジオングは色々な意味で恐ろしい機体だね
    その圧倒的質量を持つ見た目だけでなく、他の機体を意のままに操り同士討ちを生じさせる。それはフル・フロンタルがバナージ等を相手にやろうとしている未来を奪う行為そのもの

    バナージとリディ、ユニコーンとバンシィ。並び立たないと思われた2つが立ち向かうはネオ・ジオング
    『箱』を巡る物語は遂に終局へ至る、それを飾るに相応しいカットでしたよ

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著者プロフィール

1968年東京都墨田区生まれ。98年『Twelve Y.O.』で第44回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。99年刊行の2作目『亡国のイージス』で第2回大藪春彦賞、第18回日本冒険小説協会大賞、第53回日本推理作家協会賞長編部門を受賞。2003年『終戦のローレライ』で第24回吉川英治文学新人賞、第21回日本冒険小説協会大賞を受賞。05年には原作を手がけた映画『ローレライ(原作:終戦のローレライ)』『戦国自衛隊1549(原案:半村良氏)』 『亡国のイージス』が相次いで公開され話題になる。他著に『川の深さは』『小説・震災後』『Op.ローズダスト』『機動戦士ガンダムUC』などがある。

「2015年 『人類資金(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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