池上彰の「経済学」講義 ニュース編 覇権をめぐりお金が武器に (2) (角川文庫)
- KADOKAWA (2017年3月25日発売)


- 本 ・本 (416ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041048931
作品紹介・あらすじ
テレビの放送でも話題になった池上彰の愛知学院大学・2014年「経済学」講義を文庫化。その第2巻・ニュース編。世界のニュースを経済の視点から読み解く。
お金を武器に覇権を争ってきた戦後世界。東西冷戦終結後の資本主義の暴走、原油価格の乱高下と地政学、EUの理想と現実、イスラム過激派勢力の台頭などで注目を浴びる宗教と経済の関係、出口戦略が問われるアメリカの金融政策――。
世界を動かすさまざまなニュースを経済学の視点で読み解き、21世紀の世界を考える。
感想・レビュー・書評
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宗教と経済の関係の講義と企業の成長と衰退の講義、中でもスターバックスやマイクロソフトの成長物語が面白かった。金利を取ってはいけないイスラム金融の考え方も興味深い。必ずモノが介在するのでバブルが起こりにくいという利点があるとのこと。経済的に成功しているのはプロテスタントのカルヴァン派が多いのだとか。なるほど、こんな授業を生で受けていたら絶対に面白い。人は非合理的な選択をする生き物なので、AIが発展してもお金の動きを予測したり最適な金融政策を実行するのはかなり難しそう。AKB総選挙のビジネスモデルコラムも懐かしい。
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ページ数は相当多いが講義録なのでサクサク読み進められた。アベノミクスが喝采を浴びていた時期の本だが、やや懐疑的な雰囲気も感じ取れる。所々古い記載もあるのでやはり最新の著作を見るのがいいだろう。
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池上彰が書くと不思議とサクサク読めてしまう。少し情報は古いですがどのトピックも興味深く語られています。
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ニュース編というからマスメディアと民衆、といった内容を想像していたが、中身はお金と戦争、起業(企業)、といった内容でした。
池上さんというと政治や経済の解説、というイメージがあったが、現代の企業の分析についても語られていて、それがまた、面白かった。
独占禁止法にひっかかるかひっかからないか、それが当時のアメリカ政権と関係しているという解説は、企業の成長は本当に運とタイミングだな、と思った。
ビルゲイツは独占禁止法で逮捕されなかったが、下手をすれば、日本のリクルート事件で逮捕された江副浩正のようになっていた可能性もあったのか、そんな想像をした。 -
知っているニュースもあらためて池上さんの解説を読むことで、背景などを知ることができて理解がとても深まります。
もっと若いうちから、このような本を読んでいればと…反省です。 -
歴史編につづき、ニュース編も楽しく読了。
歴史編のときよりも、多少見解または解釈の相違を感じることはあったものの、成程そういった見方もありだな、と納得できるのは、語り口に依るところも大きいのでしょう。歴史編の感想としても書いたことですが、親しみやすく伝わりやすい文章を書くということは、それだけで他者に受け入れられやすい、武器となりますね。
どこまでが事実でどこからが解釈なのか、ちょっと迷うこともあるにはありました。
大学の講義はそもそもがそういった性質のものなので、そこの境界線を引きたいのなら自分自身で掘り下げていくしかないのだけれども。
一点だけどうしてもツッコミ入れたい。
新約聖書を構成しているのは4福音書だけではないよ!
ざっくりと説明しているのだと知っていれば池上さんの説明でだいたい当たっていますが、聖書を開いたことのない学生さんは素直にこのざっくり説明を過不足のない解説だと鵜呑みにしてしまいそうなので。――いや、生涯聖書と無縁であるなら新約の構成なんて知らなくてもそりゃかまわないんでしょうけど…。 -
第二巻ニュース編では、第一巻同様に歴史も多くでてくるし、
池上さんの言葉をお借りすれば
「そのニュースはもはや歴史になりつつあります。
ニュースを知るとは、歴史がまさに形作られる現場に立ち会うことでもあるのです。」
チンプンカンプンだった経済のことがすごくよくわかったし、
石油のこと、リーマンショックのこと
身近なスタバ、ドトール、吉野家、マイクロソフト、アップル、アマゾンのこと、
そしてアイドルの仕事を経済学視点から分析するなど
とても楽しくお勉強できました。
でもきっとしばらくすると忘れるので
また池上さんの書かれた経済の本を読み漁りたいです!
もちろん、経済以外の学問も!! -
もともとヘッジファンドは、大金持ちが資産を「減らさないように」するためにしていたのだが、そうするスキルが資産を「増やす」ことにも使えるようになって、今のようになった。
アメリカは、FRBや大学も独自の警察を持っている。
イスラム金融では利息が禁止されているので、物を買って利益を得た後売った差額で利益を得るようにしている。こうすると、必ず物を挟むので実体経済どおりとなり、バブルになりにくい。 -
前編に引き続いて一気読み。後編も負けず劣らずのわかりやすさと面白さ。
読みながら池上彰の、何を話しても教養がにじみ出るような、文系分野に留まらない幅広い知識に尊敬の念を抱いた。
自ら常に最新の知識を入れて勉強し続けるタイプの人なのだろう。
歴史や経済やニュースだけでなく、基本的な科学知識やApple、Amazonの創業ストーリーなども誤りなく把握している、この万能人感は本当に素敵。
この本で、地政学という学問分野のことを初めて意識させられた。
読みながら「この、バタフライ・エフェクトめいたグローバルな力学に対する感覚が、自分に欠けていたものだ」と気付かされた。
かように、知らない分野に光を当ててくれる本は本当に素晴らしいと思う。
社会人になってからこういったことを学ぶと学生の頃とは理解の度合いが全く違い非常に心地よい。
暗記科目としての教育しか受けて来ず嫌悪していた歴史科目だが、もう一度日本史・世界史ともしっかり学び直してみたいと強く感じるに至った。
AKBの話には笑ってしまった。 -
池上先生による経済関係の解説本。特にニュース面からの解説で、経済の歴史編はこれとは別途の本になっている。2014年の愛知県の方の大学講義15回分のうちの7回分で、さらに2017年初に大幅加筆修正している。講義はテレビ番組としても放送された様だ。テーマを一言で敢えて並べれば、中東、為替、リーマンショック、ユーロ、中央銀行、イスラムとプロテスタント、コーヒーとITといったトピック。文庫本で持ち運びやすかったし、話し言葉もあって読み易かった。が、400ページもありボリューム的には歯ごたえを感じた。この講義を生で受けられた学生さんは羨ましくも、本で再現されたものを読める我々もとても幸いなことと思う。
著者プロフィール
池上彰の作品





