口入れ屋おふく 昨日みた夢 (角川文庫)

  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041048948

作品紹介・あらすじ

亭主の勇次が忽然と姿を消し、実家の口入れ屋「きまり屋」に出戻ったおふく。色気より食い気、働きもので気立てのよいおふくは助っ人女中として奉公先に出向き、揃いもそろって偏屈な雇い主たちに憤慨したり同情したり。一筋縄ではいかない人生模様を目の当たりにするうち、自分も前を見て歩いていこうと心を決める――。市井人情小説の名手が渾身の筆で描ききった江戸のお仕事小説。単行本未収録の短篇「秋の朝顔」併録。

感想・レビュー・書評

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  • 面白かったが、いろんな家や商家に入り込むおふくちゃんに、その家の主やお内儀にピシッと意見したりして欲しかったなぁ〜と、少し物足りなさが残る。

    でも宇江佐真理さん、やっぱり良い本をお書きになる。もっともっと読みたかった…

  • 913
    寄贈図書

  • 口入れ屋の娘、おふくは、
    派遣する奉公人がいない場合、
    短期の助っ人として、あちこちに女中奉公に出ていた。

    そんなおふくが、奉公した七軒で遭遇した人々の
    人生模様。

    おふくは出戻り娘。
    五年前、夫が、勤めていた店の金を持って逐電した。

    酒も、博打もしなかった夫が、なぜ。
    理由もわからないままに離縁しなければならなかった
    ことが、今でも心の底にくすぶっている。

    奉公先で様々な出来事を見聞きし、
    巻き込まれていくうち、
    肩の力が抜けていき、明日に目を向けることが
    できるようになる。

    口入れ屋を営んでいる父、友蔵と、双子の弟、芳蔵や、
    従弟の辰蔵など、おふくを囲む人々はあたたかい。

    悩んで、笑って、泣いて。

    読んでいるうちに、おふくが、
    どんどん、好きになっていく。

  • 行方知れずだった夫のことをずっと心に残して暮らす主人公おふくは、それでも明るく健気に家業に精を出す。何が気の毒って、自分だけ夫に関する真相を知らせられていなかったことだ。私なら激怒するな。おふくは様々な商家や武家に手伝いに入って、それぞれの人間模様を目の当たりにする。表題作は人生を考えさせられる深い作品だ。どれも切ない話で、さすが宇江佐作品だと、うなってしまう連作でした。2015年だったのですね。ああ、もっと読みたかったよ宇江佐さん!!

  • 実家の口入れ屋に出戻ったおふく。助っ人女中として出向く奉公先のあらゆる事情を垣間見る。市井人情小説の名手が渾身の筆で描ききった江戸のお仕事小説。
    宇江佐真理版『家政婦は見た!』。ただし上品さは本作が断然上である。現代も江戸の時代も、人間の欲望の先には金と権力。そして最低でも隣のあの人より上でいたいという優越感。人間の心の進化はない。シリーズ化される予定だったとか。作者の急逝が本当に残念です

  • 時代は江戸。出戻りのおふくは口入れ屋の娘。口入れ屋とは、今で言う就職斡旋業のようなもの。奉公人と奉公先を引き合わせるのが仕事。
    ただ、良い女中が見つからないときはおふくが駆り出される。様々な奉公先でおふくが奮闘するお話。物語は単発で読みやすい。おふくは奉公先で様々な癖のある人物と出会う。中にはわかりやすく意地悪なイジメをする雇い主も。
    どの話も面白かったけど、「名医」と「昨日みた夢」「粒々辛苦」が好きかな。
    とにかく主人公のおふくの性格がまっすぐで良い!地味ながらも、人間らしく悩みながら生きる、魅力的な人たちが沢山登場して、時代は全く違うのに共感できる部分がとても多い。おふくが良い子すぎないところも、感情移入しやすくて良いのかも。
    これは良本です。早く続編出してくれないかな。宇江佐さんの他の作品もチェックしてみよう。

  • まず…この作品は文庫で読んで欲しい。単行本未収録作品が掲載されています。

    江戸市井人情物の新展開、なんと江戸時代の「派遣小説」である。エエとこ目をつけるわ宇江佐先生。

    つましくも明るく明日に希望を持つ庶民の暮らしを描く市井人情物。読者層は、現代を一生懸命生きる中でのしんどさつらさを読書で息抜きしようとしている人たちである。であれば、それこそ江戸時代の派遣会社(口入屋)なんてのはうってつけである。
    しかも主人公は、色んなやっかいな事情で1年間の派遣期間を全うできない派遣社員の代打を請け負うという苦労人。前の旦那は店の金を持ち逃げして行方をくらました20代のバツイチ、食べるのが趣味…。読者層の食指をそそるにもほどがある(笑

    続き読みたかったなぁ、毎度毎度作者の逝去を残念に思う。

  • 201611/きっと長く愛されるシリーズになったであろうと思えて残念。

  • 2016.12.14

  • 2016.12.4
    闘病のさなかに書き継がれた渾身作!
    江戸の風情がすぐそこに感じられる。
    冒頭からおふくと父親、その双子のおじの家族が生きづき、毎日を丁寧に生きている。
    一気読みする面白さ。

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著者プロフィール

1949年函館生まれ。95年、「幻の声」で第75回オール讀物新人賞を受賞しデビュー。2000年に『深川恋物語』で第21回吉川英治文学新人賞、翌01年には『余寒の雪』で第7回中山義秀文学賞を受賞。江戸の市井人情を細やかに描いて人気を博す。著書に『十日えびす』 『ほら吹き茂平』『高砂』(すべて祥伝社文庫)他多数。15年11月逝去。

「2023年 『おぅねぇすてぃ <新装版>』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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