dele ディーリー

著者 :
  • KADOKAWA
3.60
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本棚登録 : 570
感想 : 91
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041049037

作品紹介・あらすじ

【あなたの死後、不要となるデータを削除いたします。】

罪の証。不貞の写真。隠し続けた真実。
『dele.LIFE』で働く圭司と祐太郎の仕事は、秘密のデータを消すだけ――のはずだった。

あなたの記憶に刻まれる、〈生〉と〈死〉、〈記憶〉と〈記録〉をめぐる連作ミステリ!



『dele.LIFE(ディーリー・ドット・ライフ)』。
真柴祐太郎がその殺風景な事務所に足を踏み入れたのは、三ヶ月ほど前のことだった。

所長であり唯一の所員でもある坂上圭司いわく、
「死後、誰にも見られたくないデータを、その人に代わってデジタルデバイスから削除(delete)する。それがうちの仕事だ」。
誰かが死ぬと、この事務所の仕事が始まるのだ。

新入りの祐太郎が足を使って裏を取り、所長の圭司がデータを遠隔操作で削除する。
淡々と依頼を遂行する圭司のスタンスに対し、祐太郎はどこか疑問を感じていた。

詐欺の証拠、異性の写真、隠し金――。
依頼人の秘密のファイルを覗いてしまった二人は、次々と事件に巻き込まれる。

この世を去った者の〈記録〉と、遺された者の〈記憶〉。
そこに秘められた謎と真相、込められた切なる想いとは。


『MISSING』『MOMENT』『WILL』などで「生」と「死」に直面した人々を描いてきた著者が、
今だからこそ書き得た新たな代表作。

≪dele=ディーリー。校正用語で「削除」の意。≫

感想・レビュー・書評

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  • 圭司も祐太郎もどちらの考えにも共感できる
    自分自身のデータの今後も考えなきゃって思った

  • 依頼人死亡確認後、デジタルデータを消去する。
    依頼を忠実に行う圭司を、遺族に寄り添う祐太郎が留まらせる。

  • スマホやPCのデータを死んだら消して欲しいという依頼を受け付ける仕事のコンビの連作短編集。そのクライアントの死には色んな事情が有って、頼まれもしないのに情に流されて、それを解き明かす。
    期待していた面白さは無かったけど、それぞれの事情には、ほろりと来るモノもあった。

  • いいお話でした。結局ケイの謎が残る結末となったのでそこは続編に期待かな。

  •  亡くなった後のデジタルデータを消去する委託業務ってホントにあるのだろうか……。自分が閲覧していたちょっとアレなモノがばれたり、機密データの行方だったり……デジタルデータは「消えにくい」ものだから、自分の知らない時間・亡くなった後はどうすれば良いのかって考えなければならないものだと思ってた。ハードディスクぶっ壊せばいいじゃんとか諸説あるけれど……。
     でも祐太郎が、消去依頼されたデータを消すことで、<存在>が消えてしまうんじゃないかって言った言葉がすごく重かった。ちょっとの操作で<存在>が消えてしまうなんて思ってもみなかった。そりゃそうだ、デジタルでしか存在しない<存在>は誰の記憶にも残らなければ永遠に消えてしまう。
     ドラマ化もされていたようで、なんだか続きそうな気もする。

  • ドラマを見てから小説を読み始めたため、
    主人公コンビのイメージが山田孝之と菅田将暉に
    なってしまったが、
    それを差し引いても面白かった。
    短編が5話入っており、
    そのどれも良い意味で予想を裏切る結末となっている。
    特にドールズドリームは、電車の中で読んでいて
    泣くのを堪えるのに必死だった。
    小さい子をもつ親は涙腺崩壊する。

    死んだときに消されるデータ。
    そのデータは周りの人達にとって、どんな意味があるのか。依頼人はなぜそのデータを消すことを望んだのか。

  • 顧客の死後に
    パソコンやスマートフォンなどの端末の指定データーを消す、
    という代行業。

    いまどきの職業だわと思うけれど
    、本当に亡くなっているかというのは実際に確認に足を運ぶ。
    そして、デリートする作業は人がする。

    そこは人がするんだぁと思った。

    お仕事的には事務的にサクサク削除が
    本当のとこなんだろうけれど、
    人が関わるとどうしても感情が生まれてしまうから、
    関わらずにはいられなくなる。

    面白かった。

    ケイの過去も、祐太郎の事情を知りたくなった。

  • パソコンやスマホなどの誰にも見られたくないデータ。それを自分の死後に内密に削除してもらえる、というサービスを描いたミステリ。まさしく今どき必要そうなビジネスだなあ、という印象です。
    しかし。そのデータは本当に消してしまっていいものなのか。依頼人の望みであったとしても、遺される人たちにとっては必要なものなのではないか。そんな葛藤に悩まされ、データの意味を探る主人公たち。明らかになる謎は、ほとんどが心優しいもので穏やかな読み心地の作品でした。主人公ふたりのキャラクターも魅力的です。いずれの物語も、依頼人の望みを守りつつも一番良いと思える解決方が取られているのがとてもきれい。
    お気に入りは「ロスト・メモリーズ」。一番意外なところから謎の真相が出てきたなあ、という印象でした。「ドールズ・ドリーム」もいいなあ。

  • 自分が死んだとき、消してほしいデジタルデバイスってなんだろう。
    世の多くの男性諸君はあんな画像やこんな映像の数々だろうか。それともSNSのログか。
    けれど、誰にも見られたくなくて消し去るデータではなく、消し去ることで残したい、もしくは残るモノもあるのだ、としみじみ。
    ケイと祐さんの「dele.life」はそんな消すことで残るモノたちを私に見せてくれた。
    ツンデレなケイと、純粋で素直なフリーター祐さんの名コンビぶりも心地いい。ケイの姉やら祐さんの幼馴染みやら猫のたまさんやら、出て来る人(猫)たちの今までも今後も気になるし、なによりみんなを、愛しちゃいそう。

  • 自分が死んだとき、スマホやパソコン どんなデータを消して欲しいか 読みながら色々考えさせられた。
    読んでみて、こんなデータやあんなデータもあるんだと様々なパターンを楽しめた。

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著者プロフィール

1971年東京都生まれ。慶應義塾大学法学部卒業。1994年「眠りの海」で小説推理新人賞を受賞。‘99年、『MISSING』で単行本デビュー、「このミステリーがすごい! 2000年版」でトップ10入りするなど高く評価され、脚光を浴びる。以後、恋愛、青春小説を超えた新しい静謐なエンターテインメント作品を上梓、常に読者の圧倒的支持を得ている。その他の作品に『正義のミカタ』『MOMENT』『WILL』『魔術師の視線』『君の隣に』など。『dele』では原案と脚本を担当し、山田孝之と菅田将暉主演でドラマ化された。

「2021年 『チェーン・ポイズン <新装版>』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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