水木しげるの妖怪人類学 (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041049112

作品紹介・あらすじ

目には見えないが、そこに確かに存在する何か。日本ではこれを妖怪と呼ぶが、その正体を明らかにする研究こそが「妖怪人類学」である。自ら設立した世界妖怪協会で、この研究活動を晩年のライフワークとした水木しげるは、日本と世界を旅して各地の〈目に見えない存在〉の渉猟に励んだ。その研究成果の粋を集めた本書には、各誌で掲載されたフルカラーの妖怪絵79点と解説編を収録。水木ファン必携の1冊。

感想・レビュー・書評

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  • 「妖怪人類学」とあるから、てっきり水木しげるが培ってきた妖怪観が述べられているものだと思っていたのに、蓋を開けてみれば「妖怪図鑑」。背景が細かくリアルに描き込まれたカラーの妖怪画は、水木しげるにとって人間は(もしかしたら妖怪も)世界の構造の一部でしかない、と以前読んだ評伝の言を証明するようであり、これだけでも勿論目にする価値はあるが、いかんせん期待とは違っていたのでどうにも、、、まあ評論家のように一から十まで語り尽くすような人物でもなし、むしろ"画"で語るのがらしいとも言える。

    本書は日本の妖怪だけでなく、水木しげるが実際にフィールドワークへと赴いた世界各国の「目に見えない何者か」も収録されており、まさに彼の晩年の活動の集大成とも言うべきものだろう。妖怪画ひとつひとつに解説が付いているのだが、現地の女性たちのお尻の触り心地が非常に良かっただとか、文脈に突然放り込まれる「とても健康になったネ」の一言だとか、人物像が垣間見えるユーモラスな文章がクセになる。面白い。

    ともかく水木しげるが、目に見えるものばかりに縛られている日本社会、ひいては世界の在り方に異議を唱え、「目に見えないのに確かに存在する者たち」に今一度注目し、かつ敬意を払おうとしていたことは十二分に伝わった。これ学問になったら本当に面白いと思うんだけど、誰か挑戦してくれないかなあ。

  • この作品には作者が戦争中ジャングルで出会った怪をはじめ、日本の妖怪だけでなく世界の妖怪がたくさん紹介されている。この年になって初めて聞いた妖怪がいっぱいで、子供の時のワクワクを久しぶりに感じながら読みました。

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著者プロフィール

水木 しげる(みずき・しげる):1922年鳥取県境港市出身。太平洋戦争に従軍し、戦地で左腕を失う。戦後、魚屋、輪タク屋、アパート経営などを経て紙芝居を描き始めたのち漫画家に転じる。講談社児童まんが賞、日本漫画家協会賞文部大臣賞、仏アングレーム国際漫画祭最優秀作品賞ほか受賞歴多数。91年紫綬褒章、2010年文化功労者。代表作に『ゲゲゲの鬼太郎』『悪魔くん』『河童の三平』『総員玉砕せよ!』『日本妖怪大全』などがある。15年逝去。

「2024年 『水木しげる厳選集 虚』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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