天衣無縫 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
3.52
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本棚登録 : 563
感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041049136

作品紹介・あらすじ

太宰治、坂口安吾とともに無頼派として活躍し、大阪という土地の空気とそこで生きる人々の姿を巧みに描き出した短編の名手による表題作を始め「夫婦善哉」「俗臭」「世相」など代表的作品を集めた傑作選。

感想・レビュー・書評

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  • オチがしっかりした関西人好みの文学作品。
    今もある大阪の土地から描くのは大阪にゆかりある作家、織田作之助。いや読んでよかった、面白かった。ただ一つ欠点があって、それは読みづらいこと!
    頑張って読んでみましょう。

  • 最初に読んだ時はダメ男にイラついて「夫婦善哉」と「天衣無縫」だけで挫折したんだけど、青山光二さんの『青春の賭け』を読んでオダサクの人間性や彼の生きた時代の空気に触れたお陰もあってか、2回目は面白く読めた。
    「女の橋」「船場の娘」「大阪の女」の3部作がドラマティックで面白い。身分違いの報われない恋とみじめな人生の果てに、世代を超えて続く夢。戦火の中で燃え盛る橋を渡って生き延びる女性のたくましさが作品の根底をなしているように感じられた。
    「世相」でオダサクが「青春の逆説」として語っているのが無頼派の心理なのかもしれない。

  • 【夫婦善哉】
    現代人の私からすると酷い話。
    芸者として働く蝶子は声がよく人気もあった。惹かれつつあった柳吉という妻子持ちと駆け落ちして、そこからがまぁ大変。蝶子は柳吉の父に夫婦と認められたくて必死に頑張っているのに、肝心の柳吉があっちへふらふらこっちへふらふら。せっかく貯めたお金も娯楽に溶かしてしまうし、お店を開いてもすぐ飽きてやめてしまう。もうこの時点で私は柳吉を地獄へ叩き落としたくなったが、蝶子はそれでも柳吉を愛しているらしく小遣いも気前よく渡すし世話も焼いてやる。
    なかなか酷い内容ではあるが読み応えはあった。主人公の蝶子が働き者でメンタルも強いためかと思う。また気が向いた時にでも読みたいと思う。とはいえ、本当に柳吉がどうしようもない奴なので星3評価。

  • 2022/12/16 途中までで断念
    次男蔵書から

    タイトルにもなっている
    「天衣無縫」
    まで読み終えたところで断念。

    ぐちを読んでいるみたいで、合いませんでした。
    現代に沿っていない表現等がありますが、そのままだというのは、いいと思います。
    その時代の情勢や風俗などが丸められるのは、違うと思うので。

  • 『夫婦善哉』-これほどダメな男は中々いないのでは??自由軒のカレーが出てくる。『俗臭』『天衣無縫』『放浪』『女の橋』『船場の娘』『大阪の女』-船場の娘からつながる物語。『世相』-実体験のようなそうでないような内容。『アド・バルーン』。基本的に女が強く男がちょっとアレな感じな話が多い。割と酷い状況をサラッとテンポよく流してしまう感じは「あぁ~大阪っぽい」とは思う。

  • 高校1年生の時に読書感想文用の本として読んだが、人生経験が浅すぎてよく分からなかった。もう少し生きてから読み直したい。

  • 細やかに過去の大阪という地を連想させる文章が好きだ。その中をまるで見えるように生き生きを人物が動く。惚れたら最後、それがどんなに甲斐性なしであろうが、無情であろうが、男のために身を粉にするたくましい女たち。なぜ別れない、なぜ愛想をつかさない。そう思いながらも尽くす女の気持ちがわかる自分に苦笑する。貧乏の連鎖、どうにもならない家柄と血。それでも諦めなければ生きていける、食べていける。著者の描く女は強い。コロナ禍という今の時期も相まって彼女らのパワーが眩しい。途中連作になっていた雪子の話が一番好き。

  • 「夫婦善哉」の感想は,ちょっと読みにくいかな.次の「俗臭」は,どうもピンとけぇへんなー.「天衣無縫」で,あかんオダサクはあわへん.だったのだけれども,「放浪」あたりから,結構読めるやんになり,「女の橋」,「船場の娘」,「大阪の女」の感想は,おもろいやんか.
    (前の3作は,あらすじだけの様な作風に慣れず,面白みを受け止められなかったのかも. 少し時間をおいてもう一度読み直してみるか.)
    残りの2編,「世相」は私小説風で,「アド・バルーン」も前の7編に比べ現代風な印象.

    学生のとき読まなかった織田作之助をいまさら手に取る気になったのは,某アニメの影響.KADOKAWA商法恐るべし.

  • 【戦前・戦中・戦後の大阪の街で、どうにか生き抜いた人たちの物語】

    大阪ミナミのカレー屋「自由軒」に彼の写真が残っているのが、彼の小説を読もうと思ったきっかけだ。

    9作の短編(部分的に設定が共通しているところが面白い)に登場する人物たちは、法善寺横丁、心斎橋、千日前、道頓堀、飛田新地など、僕が学生の頃闊歩していた街々で生活する(飛田には、こども会のボランティアで行っていた。どこに何をしに行っていたかをいちいち言う必要はないけどね)。畳屋町は僕が踊りに行きまくっていたディスコがあったところだ。物語自体は淡々と進むが、大阪の地名が相当こと細かに出て来るのは本当に興味深い。「田蓑橋」なんてどの辺にあるか、大阪生まれの者以外誰も知りまへんで。

    物語には、大阪大空襲も、関東大震災もナマで登場する。2つとも、作者が生きていた時代の出来事である。

  • 摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB50162575

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著者プロフィール

一九一三(大正二)年、大阪生まれ。小説家。主な作品に小説「夫婦善哉」「世相」「土曜夫人」、評論「可能性の文学」などのほか、『織田作之助全集』がある。一九四七(昭和二二)年没。

「2021年 『王将・坂田三吉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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