- 本 ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041049518
作品紹介・あらすじ
わたしの名前はヒメ。家族はわたしを「犬」って言う。
でも「犬」って何?
飼い主一家に愛されず、孤独をかみしめるスピッツ犬のヒメ。
流星群の夜、不思議な石を舐めて驚くほどの知能と人の言葉を得た彼女は、
一家の末っ子、雅史を支配下に置いて……。
飼い犬たちの暴走、町に響く遠吠え、巨大な犬の影、
そして続発する猟奇殺人。
史上最高にキュートでおぞましい「犬のカリスマ」ヒメ登場。
彼女が命を懸けて欲したものとは。
蟹と人との「泣けるホラー」が話題となった著者が、同じ世界感で描く、
犬と人との「泣けるホラー」。
犬を飼ったことのある貴方、そしていつか犬を飼うかもしれない貴方に読んで欲しい一冊。
感想・レビュー・書評
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この作者の小説「かにみそ」と並んで売られていたので一緒に買ってみた一冊。
いぬの復讐の話しだった。
読み終えおもったのは、元をたどると人間が悪い
悪質なブリーダー、仔犬の時だけかわいがる家族、ちょっと変な噂がでるとすぐ飼育放棄する他人など
そして捨てられた犬は殺処分
実際ペットがしゃべる事はないから、本当の気持ちはわからないけど、実はこの話のように人間に恨みを持つペットは沢山いるかもしれない。
犬も怒らせると怖いなと感じた小説でした。
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300頁に満たない短い話なのに、この愛しさ、切なさと恐ろしさはどうだ。
ある日の流星群、不思議な石を舐めた犬のヒメ。彼女は人間の知性を身につけるが……。
喉元に刃を突きつけられた。
人は可愛い、癒される、といった理由から動物を飼うが、本当にそうだろうか。
彼らを道具として見ていないか? 自分の生活のアクセサリーとして見ていないか?
この問いかけは痛い。何より犬の口からその言葉が出ることにどう言い返せばいいのか、真剣に考えてしまった。
昨今のペットブームの陰で捨てられ、死んでいく動物は多いという。彼らは動物が居なくなったあとの家でのうのうと暮らすのだろうか。暮らせるのだろうか。己が捨てた「命」の事など考えもせず。
ホラーとは元々、恐ろしい話である以前に悲劇が基になっている。本書のカバーはキュートでユーモラスだが、それに騙されてはいけない。本書を読み終えた後、読者の心には生々しい傷が残るだろう。 -
最後のオチで、そういえばこれはホラー小説だったということを思い出した。色んな意味で辛くなった。
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古来、人間のパートナーになるべく繁殖されて来たペット達。 一方で利のみを求めて異常繁殖され、物扱いされ、無視され、虐待され、放棄され、花を積むが如く簡単に奪われる命。 愛を求めて全てを破滅に導くスピッツのヒメと、愛を守る為に自分の命を捧げるボーダコリーのミコト。 現実の世界では、ペット達は、物言わずにその一生を終える。 私は、本当に彼らを愛せているのかと、不安になった。
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