いぬの日 (角川ホラー文庫)

  • KADOKAWA (2016年10月25日発売)
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本棚登録 : 138
感想 : 7
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  • 本 ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041049518

作品紹介・あらすじ

わたしの名前はヒメ。家族はわたしを「犬」って言う。
でも「犬」って何? 

飼い主一家に愛されず、孤独をかみしめるスピッツ犬のヒメ。
流星群の夜、不思議な石を舐めて驚くほどの知能と人の言葉を得た彼女は、
一家の末っ子、雅史を支配下に置いて……。

飼い犬たちの暴走、町に響く遠吠え、巨大な犬の影、
そして続発する猟奇殺人。
史上最高にキュートでおぞましい「犬のカリスマ」ヒメ登場。
彼女が命を懸けて欲したものとは。

蟹と人との「泣けるホラー」が話題となった著者が、同じ世界感で描く、
犬と人との「泣けるホラー」。

犬を飼ったことのある貴方、そしていつか犬を飼うかもしれない貴方に読んで欲しい一冊。

感想・レビュー・書評

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  • この作者の小説「かにみそ」と並んで売られていたので一緒に買ってみた一冊。

    いぬの復讐の話しだった。

    読み終えおもったのは、元をたどると人間が悪い

    悪質なブリーダー、仔犬の時だけかわいがる家族、ちょっと変な噂がでるとすぐ飼育放棄する他人など

    そして捨てられた犬は殺処分

    実際ペットがしゃべる事はないから、本当の気持ちはわからないけど、実はこの話のように人間に恨みを持つペットは沢山いるかもしれない。

    犬も怒らせると怖いなと感じた小説でした。

  • 強い啓発が込められた作品。
    犬を飼っている人も、飼っていない人にもおすすめ。
    いちばん読んでほしいと思うのは、『これから動物を飼おうと思っている人』。
    私たち読者は、ヒメが最初からなにを求めてもがいているのかがわかる。分かったうえで、ソレから遠ざかっていってしまうヒメの残酷な運命を見守るしかないのだ。
    ヒメの最期は切なさに胸が締め付けられるようだった。


    飼い主から愛されなかったヒメと対照的なのが、ミコトとその飼い主・潤一少年だ。
    出会った瞬間から、ずっと一緒。
    お互いを唯一無二と思い合っている。一緒にいるだけで幸せ、そんなふたりだ。

    印象に残るのは、人間側──潤一の愛情の深さで、彼は「ミコトがいれば他に誰もいらない」と両親に話すほど。
    友達と遊ぶよりも、ミコトと行動する方を好むというのだから相当だ。中高生という、時間の融通が利き体力もある時期というのも良かったのだろう。

    「ミコトが最後の犬」愛犬とふたり、完結していた愛情関係。
    人間社会に生きながら、最も愛し、時間を費やしてきたのは犬だった。
    ミコトを喪った彼は、これからは人間とともに生きていく。将来は動物に、犬に関わる職業に就くのかな、就いてほしいな。

    とにかくミコトが好きすぎて、ボーダー・コリーの本を買い漁っています(笑)

  • 著者読み。
    前作の『かにみそ』で泣いたのを思い出し、読むのに気合が必要だと思っていたのだが、今作では一切潤みもせず。
    ヒメの主張も、私は人間なので傲慢な人間の所業も両方理解してしまうんだけど、ごめんなさい、私犬が好きじゃない。
    だからかどうしてもお姫様なヒメを好きになれず、なんならスズのほうが好きだったので、ヒメが猫だったらまた感想も違ったのかな。
    もしこのまま討伐されず好き放題やっていたら、いつかヒメの軍団は人間好きな犬達の反乱が起きてどちらにせよ自滅したと思っていいたい。

    ✍追記
    当時、独身カップルの同棲、賃貸、仕事で日中に家をあけるということで色んな団体から断られ、保護猫を引き取れず、春だったけど野良猫もいなくて、結局ペットショップで買った身としては、虐待とか心配なのも分かるけど、譲渡条件が厳しすぎるのも問題だと思う。

  • 300頁に満たない短い話なのに、この愛しさ、切なさと恐ろしさはどうだ。
    ある日の流星群、不思議な石を舐めた犬のヒメ。彼女は人間の知性を身につけるが……。
    喉元に刃を突きつけられた。
    人は可愛い、癒される、といった理由から動物を飼うが、本当にそうだろうか。
    彼らを道具として見ていないか? 自分の生活のアクセサリーとして見ていないか?
    この問いかけは痛い。何より犬の口からその言葉が出ることにどう言い返せばいいのか、真剣に考えてしまった。
    昨今のペットブームの陰で捨てられ、死んでいく動物は多いという。彼らは動物が居なくなったあとの家でのうのうと暮らすのだろうか。暮らせるのだろうか。己が捨てた「命」の事など考えもせず。
    ホラーとは元々、恐ろしい話である以前に悲劇が基になっている。本書のカバーはキュートでユーモラスだが、それに騙されてはいけない。本書を読み終えた後、読者の心には生々しい傷が残るだろう。

  • 最後のオチで、そういえばこれはホラー小説だったということを思い出した。色んな意味で辛くなった。

  • 古来、人間のパートナーになるべく繁殖されて来たペット達。 一方で利のみを求めて異常繁殖され、物扱いされ、無視され、虐待され、放棄され、花を積むが如く簡単に奪われる命。 愛を求めて全てを破滅に導くスピッツのヒメと、愛を守る為に自分の命を捧げるボーダコリーのミコト。 現実の世界では、ペット達は、物言わずにその一生を終える。 私は、本当に彼らを愛せているのかと、不安になった。

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