人体ミクロの大冒険 60兆の細胞が紡ぐ人生 (角川文庫)

  • KADOKAWA (2017年4月25日発売)
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本 ・本 (336ページ) / ISBN・EAN: 9784041049587

作品紹介・あらすじ

人はどのような細胞の働きによって生かされ、そして、なぜ老い、死ぬのか。本書は私たちが個として生まれ、成長し、死ぬ仕組みを読み解こうという壮大な「旅」である。大反響を呼んだ番組を文庫化。

【目次】
はじめに
第1章 「私たちが生きている」ということ
第2章 成長とは何か ~誕生から思春期まで~
第3章 あなたを変身させる“魔法の薬”
第4章 老いと死 宿命との戦い
終章  もうひとつのエピジェネティクス
あとがき

感想・レビュー・書評

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  • 人体の中で一番数が多い細胞は何だろう?大きさが一番小さいものは?逆に一番大きいものは?何十年も使い続けている自分の身体のことなのに、この質問に回答できる人がどれほど少ないことだろう。正解はすべてこの本に書かれている。専門的な内容に尻込みしてしまうかもしれないけれど、そこは流石のNHKスペシャル取材班、一般人の我々にもやさしい説明で終始わかりやすい。文章でなら簡単に説明できる内容であっても、テレビ番組として映像化するとなると話は別。誰ものぞいたことのない人体のミクロの世界を分かりやすく映像化するために四苦八苦している取材班と先生方の姿もおもしろい。この本を読むことで人体の機能についての理解が深まり、また興味もわいてくること間違いなし。あなたの知らないあなたの内側へ大冒険できる一冊。

  • タイトルと表紙に魅せられて手にした一冊が非常に学び多き一冊でした。

    人を構成する最小単位である「細胞」。

    1人の人間は約60兆のもの細胞で構成されている。

    全体の約1/3にあたる約20兆個は赤血球で、最大の細胞は卵子。

    いやはや本書を読めばすんなりと理解納得出来る。

    そんな細胞はひたすらに生殖できる年齢まで生き延び、次世代を残すことだけが細胞たちの関心事といっても過言ではない。

    生命が40億年もの歳月をかけてつくりあげた壮大な仕組みは全て次世代を残すため。

    人は何で出来ているのか?人とは何なのか?

    その答えが得られた気がする。



    説明
    内容紹介
    生命が40億年の歳月をかけてつくりあげた壮大な仕組みを巡る旅へ――

    人はどのような細胞の働きによって生かされ、そして、なぜ老い、死ぬのか。本書は私たちが個として生まれ、成長し、死ぬ仕組みを読み解こうという壮大な「旅」である。大反響を呼んだ番組を文庫化。

    【目次】
    はじめに
    第1章 「私たちが生きている」ということ
    第2章 成長とは何か ~誕生から思春期まで~
    第3章 あなたを変身させる“魔法の薬”
    第4章 老いと死 宿命との戦い
    終章 もうひとつのエピジェネティクス
    あとがき
    内容(「BOOK」データベースより)
    人はどのような細胞の働きによって生かされ、そして、なぜ老い、死ぬのか。生命が40億年の歳月をかけてつくりあげた壮大な仕組みを知り、命の尊さ、命を育む環境に思いを馳せる。本書は私たちが個として生まれ、成長し、死ぬ仕組みを読み解こうという壮大な「旅」である。遺伝の仕組みに比べて解明が遅れていた「育ちのメカニズム」が今、明らかに―。大反響を呼んだNHKスペシャル同名番組を文庫化。
    著者について
    ●NHKスペシャル取材班:高間大介:NHKエンタープライズ制作本部 番組開発エグゼクティブ・プロデューサー
    遠藤俊太郎、植田恵子、坂元志歩

  • ひさびさにじっくり。
    ほほぅ。

  •  酸素を持たない、いわば「空の状態」で赤血球が血管を移動しているヒマはないのだ。酸素を渡したら、すぐに心臓へ戻り、肺へと送られ、そこで新たな酸素を受け取る。それをまた前身のどこかに届けるために、一目散に駆け出していくわけだ。行き先が決まっているわけではないが、基本的にはひとつの場所を往復するおいう1対1のデリバリーなのである。(p.29)

     私たちは「一個体」であると同時に、「60兆個」という単位の生き物なのだ。
     ホモ・サピエンスという霊長類の一種であると同時に、200種類の細胞の集合体でもある。
     そして、その細胞が入れ替わり立ち替わり世代交代を果たして、ようやく全体を正常な状態に維持している。
     その入れ替わりに、私たちの生きる力が潜んでいる。その力のなかには、人間独自と思えるものさえ含まれている。人間の特別な能力もじつは、細胞が実現していることなのだ。(p.90)

     いったん神経回路が構築されれば、可塑性を抑え、エネルギーを要するプロセスに制限をかけることが有益になります。臨界期が終了すると、脳は過度の再編を抑制する因子をつくり出します。おそらく、そうすることで脳は損傷から自らを保護していると考えられます。過剰な変化によるダメージから身を守るために、脳は積極的に臨界期を終わらせているのです。(p.145)

    (ヘンシュ)「音楽には基本的な聴覚の情報処理から感情の調整、チームワーク、社会性にいたる、多くの関わりがあります。そのため、音楽は脳全体を多段階で関わらせる強力な手段だといえるのです」もちろん、それは楽器のトレーニングに限らない。複雑で苦労すること、繰り返し練習しなければならないことはどれも似ている。つまり、努力や苦労はどこかに泡沫と消えてしまうものではなく、神経細胞の繋がりの強化という形で私たちに刻まれるのだ。(p.158)

     パートクさんの研究も、成長を阻むことが長寿に繋がるという不思議な関係を炙り出している。長寿研究者の多くが、このトレードオフの関係を認めている。成長を優先させれば寿命に制限がかかり、寿命を優先すれば成長にブレーキがかかる。これは、生物が一生のうちに使える資源がある幅で決まっているため、成長と長寿のどちらにより多く振り分けるか、その選択が影響していると考えられている。(p.254)

     複数の選択肢を見出し、そのあいだで悩むというのが、どうも人間の逃れられない宿命のような気がする。遺伝子が命じるままに行動する生き物ならば、そんな悩みがない。そもそも選択肢を選ぶという場面がないからだ。選択肢を持つ、あるいはさらに積極的に選択肢をつくりあげるというのが、人間の高い能力であろう。そうである以上、選択に悩むというのは、私たち自身の尊厳と深く結びついている気がする。機械的に一方だけを選ぶというのは、悩みはないが、もはや私たちには残されていない道なのかもしれない。(p.275)

     わざわざ除去するほどではないが、見逃すこともできない中間程度のダメージを受けた場合、その後はじっとしていて居座る細胞になるという選択がされるようなのだ。ダメージを負って増殖するくらいなら、何もしないほうがいい。これが老化細胞の戦略なのだ。
     老化細胞が数多く見つかるということは、それだけ多くの回数、私たちはがんになりかかったということだ。そのこと自体に驚かされるが、その老化細胞が増えることが細胞社会の老化ならば、老化とはがん対策ということになる。こちらも相当な驚きである。(pp.285-286)

     心の傷の正体をいろいろ調べていけば、さまざまな細胞に変化を見るけることができるはずだ。PTSD患者も、心の傷は細胞にあるコルチゾール受容体の数の増加という形で長く残っていた。
     つまり、体験は身体を構成する細胞レベルの変化として私たちに刻まれるということになる。(p.312)

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著者プロフィール

長年「ひきこもり」をテーマに取材を続けてきたメンバーを中心とする、全国で広がる「ひきこもり死」の実態を調査・取材するプロジェクトチーム。2020年11月に放送されたNHKスペシャル「ある、ひきこもりの死 扉の向こうの家族」の制作およびドラマ「こもりびと」の取材を担当。中高年ひきこもりの実像を伝え、大きな反響を呼んだ。

「2021年 『NHKスペシャル ルポ 中高年ひきこもり 親亡き後の現実』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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