怪しい店 (1) (角川文庫)

  • KADOKAWA (2016年12月22日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784041049600

作品紹介・あらすじ

推理作家・有栖川有栖は、盟友の犯罪学者・火村英生を、敬意を持ってこう呼ぶ。
「臨床犯罪学者」と。

骨董品店〈骨董 あわしま〉で、店主の左衛門が殺された。
生前の左衛門を惑わせた「変な物」とは……。(「古物の魔」)ほか、
美しい海を臨む理髪店で火村が見かけた、
列車に向かいハンカチを振る美女など、
美しくも恐ろしい「お店」を巡る謎を、
火村と有栖の名コンビが解き明かす。

火村英生シリーズ、珠玉の作品集が登場。

感想・レビュー・書評

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  • 骨董屋、古本屋、ショーウィンドウ、理髪店、怪しい店のみみや(聴き屋)で起こる事件・謎を火村英生と有栖川有栖のコンビが解いていく。うーん、火村の人物像がいまいちはっきりとつかめない。それに、文章が卑俗な感じなのがなあ。ただ、「潮騒理髪店」の話は、なんかファンタジーぽくてよかった。潮騒が聞こえる理髪店なんて行ってみたいし、主人の素晴らしい技が伝わってきた。

  • 今年最後に誰の話を読もうかなぁなんて思っていたら自然と火村シリーズに手が伸びてしまった。
    やっぱり私の中で火村とアリスのコンビが活躍するのを眺めるのは実家に戻ってきたかのような安心感があるみたい。

    今回は「お店」に纏わるミステリー話。
    少し前に「宿」に纏わる短編集があったから何か趣向が似てるなぁと思ったんですけど作者さんもそう思ってたみたいですね。

    この中なら「潮騒理髪店」が一番好きだったなぁ……ほぼほぼ毎回何かしらの殺人事件を解決してばかりの火村にもこういう時があってもいいと思う。
    思考ゲームみたいな話ではあるのだけど、私は火村の考えた結論が本当だったらいいなと思いましたね、たまにはこういう誰も不幸にならない話もいいじゃないって。

    他にも古物に魅せられてしまった犯人やら他人の不幸を覗くことを商売にしてしまった人やらまぁ色んな人が出てくるんですけど、「ショーウィンドウを砕く」の犯人に対しては何かこう……遭遇した相手が悪かったね、とちょっと同情してしまいました。
    いや犯人なんだしやったことは決して許されることではないんだけど、でもまぁ……「何事にも上には上がいるんだなぁ」って感じの話ですよね、それがいい事であっても悪いことであっても。

  • 「店」を題材とした火村英生シリーズの短編集。
    手がかりやヒントは結構大胆に提示されてるにもかかわらず、考えても真相に辿り着けない(お前の頭が悪いだけちゃうんけっていう感想は禁句)、しかしいざ謎が明かされるとそのロジックに「なるほど〜」と納得してしまう。流石ベテランといった完成度だと思います。
    今回の話の中だと「潮騒理髪店」がノスタルジックな雰囲気が醸し出されていて好みでした

  • 火村さんとアリスさんのコンビで時間に挑む短編集。潮騒理髪店が好きです。

  • 怪しくて魅力的なお店にまつわる火村シリーズ短編集。
    「潮騒理髪店」が好きだなー。
    殺人が起こるわけでもなく、描写も綺麗で、爽やかなお店なのに最後が少しぞくっとする。
    他の話もおもしろかった。

  • なんとも魅力的な店が並びます。行ってみたいお店近づきたくないお店、色々。確かに言われるとお店って全く知らない人を無条件で受け入れてくれるけど、考えてみると少し怖いかも。

  • 様々な店で起こった事件を、火村とアリスが解決していく、作家アリスシリーズの短編5編。

     各短編、安定した出来。事件も殺人事件一辺倒ではなく、ひねくれた店主がいる古本屋での万引き事件だったり、火村が旅先でたまたま寄った理髪店の出来事だったりと、バラエティーも豊かです。

    「古物の魔」は骨董品屋で起こった店主殺人事件の話。この話のポイントは、なぜ犯人は死体を遠くまで捨てに行かず、すぐに見つかる押し入れに隠したか、ということ。火村いわく「犯行を完全に隠してしまうのではなく、発覚を少しだけ遅らせたかったかのよう」とのことですが……

     犯人の動機と、犯行の発覚を遅らせたかった理由、タイトルの意味も相まって、哀愁の漂う印象的な短編です。

     表題作の「怪しい店」は、人の悩みや愚痴を聞く聞き屋の女店主の殺人事件の話。

     犯人指摘までの軌跡がユニーク! ロジックの転がし方が相変わらず素敵だな、と感じた短編でした。

     この場合犯人というのか微妙ですが、古書店の万引き事件を扱った「燈火堂の奇禍」は、本好きにはいろいろ考えさせられる短編でした。

     店主は本を買おうとした客に対し、「本当にその本が必要だと思うなら10日後にもう一度買いに来い」、と言います。

     積読がたまりつつも、ついつい衝動的に本を買う自分にとっては、ちょっと耳が痛い……。でも、その場で買わないと、もう買えないかも、と思うと、店主には「見逃して下さい」という気持ちになります。

     話を読んでいると、この本の登場人物の一人も、そんな気持ちだったのではないかな、と悪いことをしている人ながらも、少し同情的になってしまいます。

     火村の旅先での理髪店の出来事を描いた「潮騒理髪店」は、火村と理髪店店主のやり取りがとてもいい雰囲気。また火村とアリスのやり取りも思わずニヤリとさせられました。


     以下、私事でつらつらと。
     4月から社会人になり、時間的余裕が減り、本や映画に触れる機会も減っていたのですが、年明けから、徐々に本を読みたい欲が戻ってきました。

     そこで、手に取ったのが、高校時代からお世話になっている火村・アリスコンビが活躍するこの本。自分も自分の周りの環境も変わっていきますが、そんな中で、この二人のやり取りは、昔も今も変わらず、読んでいてなんだか懐かしさと、不思議な感動がありました。それは久しぶりに、友人に会ったような感覚かもしれません。

     長期シリーズを読む楽しさというのは、こういうところにあるのかもしれません。少し離れていても、前と変わらぬ雰囲気で迎えてくれるのです。

     この二人には、これからもお世話になるのだろうな、と改めて思った一冊でした。

  • 店にまつわる短編集5編。
    日常ミステリというか軽めのも入ってて読みやすい。
    アリスが飛び入りしてくれたら婆ちゃんの誕生日の食卓が賑やかになって良い、って意外と素直な火村に味がある。
    にしても火村、人を殺したいと思ったから犯罪学の道に進んだ、にしても何で誰を殺したいって思ったんやろ。

  • 「潮騒理髪店」と「怪しい店」が面白かった。ショーウィンドウは私にしては珍しく「七千円台の方がよかったのでは?」などと思ったり。サザエさんワールドは猫ちゃんの退場が無いから心が助かる。

  • 火村&アリスの店をテーマにした短編集。
    5編のうち2作品が非殺人事件もの。

    「古物の魔」
    古物商が舞台。
    抜け駆けアリスが珍しい。
    関西は骨董市とか古本市たくさんやってそうだな、と思う北国在住。うらやま。

    「燈火堂の奇禍」
    火村の下宿の近くの古書店でおこるちょっとした事件。
    日常系ミステリと言えなくもない。火村シリーズではレア。
    ばあちゃんこと時絵さんの誕生日お祝いする回。微笑ましい。

    「ショーウインドウを砕く」
    これまた火村シリーズでは珍しい倒叙物。
    犯人視点から見る火村とアリスめんどい存在だな。
    変な動機なので犯人視点がよかったんだろうな。

    「潮騒理髪店」
    火村先生が殺人現場に行く以外のフィールドワークをしているのを初めて見る。たぶん。
    犯人の生い立ち調査とかしてたんだな。
    殺人事件ではない、田舎のちょっとしたミステリとも言えないミステリ。
    火村とアリスの長電話の話。

    「怪しい店」
    アリスのサラリーマン時代が垣間見えたり、アリスとコマチさんコンビがかわいかったりする回。
    アリス自身もなんで火村が自分をフィールドワークに連れて行くのかようわからんと思ってたんだな。
    「みみや」という人の話を聞くだけの変な店でおこる殺人事件。

    東川篤哉の解説が自キャラ対話形式であまりにも平成すぎる。ちょっとむずむずしちゃう。

  • 有栖川有栖の中短篇小説集『怪しい店』を読みました。
    有栖川有栖の作品は昨年12月に読んだ『こうして誰もいなくなった』以来ですね。

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    大人気!火村英生シリーズ、切れ味鋭い作品集が待望の文庫化!
    推理作家・有栖川有栖は、盟友の犯罪学者・火村英生を、敬意を持ってこう呼ぶ。
    「臨床犯罪学者」と。

    骨董品店〈骨董 あわしま〉で、店主の左衛門が殺された。
    生前の左衛門を惑わせた「変な物」とは……。(「古物の魔」)ほか、
    美しい海を臨む理髪店で火村が見かけた、
    列車に向かいハンカチを振る美女など、
    美しくも恐ろしい「お店」を巡る謎を、
    火村と有栖の名コンビが解き明かす。

    火村英生シリーズ、珠玉の作品集が登場。
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    探偵役である臨床犯罪学者・火村英生と、ワトソン役の推理作家・有栖川有栖(アリス)のコンビが活躍する作家アリスシリーズの作品……2014年(平成26年)にKADOKAWAが発行・編集するエンターテインメント小説誌『小説 野性時代』等に発表された5篇を収録して同年に刊行された作品です。

     ■古物の魔
     ■燈火堂の奇禍
     ■ショーウィンドウを砕く
     ■潮騒理髪店
     ■怪しい店
     ■あとがき
     ■文庫版あとがき
     ■解説 『怪しい店』に入ってみた 東川篤哉

    骨董品店で起きた店主殺人事件、偏屈な古書店主を襲った思いがけない災難、芸能プロダクションの社長が挑んだ完全犯罪、火村が訪れた海辺の理髪店でのある出来事、悩みを聞いてくれる店“みみや”での殺人事件……「どうぞお入りください」と招かれて、時には悪意すら入り込む、、、

    日常の異空間「店」を舞台に、火村英生と有栖川有栖の最強バディの推理が冴える……極上ミステリ集。

    日常の異空間「店」を舞台にした5篇、、、

    骨董屋の骨董・あわしまの店主・粟島左衛門が殺害され、押入れに突っ込まれた状態で発見される……どことなく元気のなかった粟島は誰の手で、なぜ殺害されたのか!? ひと癖ある容疑者たちの中から唯一無二の真犯人を導き出す『古物の魔』、

    偏屈な商売をしていた古書店・燈火堂の店主・半井(ならかい)が万引き犯を追いかけながら心臓発作で倒れる……しかし、店から奪われたものは何もない! 店主は何を奪われたのか?を推理する本シリーズでは珍しい安楽椅子探偵モノの『燈火堂の奇禍』、

    芸能プロダクションの社長・夕狩正比古が、歪んだ理由から恋人の柄沢愉良を殺害、強盗の仕業に見せかけた犯行は一見すると完璧なもの思われたが……本シリーズでは珍しい倒叙モノの『ショーウィンドウを砕く』、

    火村が旅先で見かけた美女・リカは岬に立ちながら特急列車にハンカチを振っていた……不思議に思いつつ火村は一軒の理容院・潮騒理髪店に入り、本日で閉店するという店の主人と何気ない会話を交わすが、その中で火村が辿り着いた意外な真実とは!? 爽やかな余韻が印象的な『潮騒理髪店』、

    「みみや」の看板を掲げた怪しい店を営む中年女性・磯原紀久子が首を絞められて殺害される、紀久子は「みみや」で聴いた話をもとに複数の人物からカネを強請り取っていたらしい……犯人は紀久子に強請られていた人物なのか? 夫の謙介にも怪しいところが? 有栖が囮となって犯人を誘き出す『怪しい店』、

    クオリティの高い作品ばかりで愉しめましたね……面白かったです。

  • 再読。「ショーウインドウを砕く」の外から見た火村アリスコンビが目新しくて好き。潮騒理髪店のノスタルジーもいい、有栖川有栖らしい短編。

  • 火村シリーズの中では好きかも!

  • 有栖川有栖作品初デビューです。江戸川乱歩賞を受賞した荒木あかねさんが有栖川有栖さんの小説が好きでほとんどの作品を読み少なからず影響を受けたのではないかと聞いたので読んでみました。
    最初に読むのに短編集を選んだのは気軽に読めると思ったし登場人物がシリーズ化している方が良いかと思い選びました。
    結果、この作品を選んで良かった。
    5篇の作品とも味わい深く面白い。
    それぞれに謎解きがあっさりしておりスッキリ読めます。次は是非、長編を読んでみたい。

  • 店にかかわる短編5篇が収録されている。
    1つめと、3つめはドラマになってた?なんだか、ききおよんだこのある話と展開で、読む気が失せて、読むのに時間がかかりすぎた…

  • 「古物の魔」「燈火堂の奇禍」 「ショーウィンドウを砕く」 「潮騒理髪店」 「怪しい店」
    それぞれに事件と、悲しかったりしょうもなかったりする動機が詰まっている。正直、被害者が悪いのでは?と思ってしまうこともある。 それでも、火村は加害者を許さないいし、追求の手も止めない。 最後の事件は特に、被害者に同情もできないし、かといって犯人が悪くないわけでもなく、ただ逃げようとする旦那も嫌で、モヤモヤしたまま終わった。 コマチさんが嫌ではないけど、なんか違うと思ってしまう。 5編共ちゃんとテイストが違ってよかった。

  • 店を題材とした短編5篇。おなじみの登場人物たちに安心できる。

  • 様々な店をテーマにした今作。以前宿をテーマにした作品もあってそちらも大いに楽しめた。さて今作はどうだろう。店と言っても千差万別。どうまとめるのだろう。なるほど、それぞれ味があって面白い。お気に入りは潮騒理髪店。殺人は起きないが日常の謎に火村が出くわす。髪を切られている火村も面白かった。

  • なるほどな… あのお店にも何かあるかもw

  • 火村英夫シリーズ。古物・燈火堂・理髪店,因縁めいた場所で何かが起こる。みみや,聴き屋という商売は初耳。確かに怪しい。「ショーウィンドゥを砕く」のみ犯人視点。″決行が1日遅かったな。″幻聴が怖い。

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著者プロフィール

1959年大阪生まれ。同志社大学法学部卒業。89年「月光ゲーム」でデビュー。「マレー鉄道の謎」で日本推理作家協会賞を受賞。「本格ミステリ作家クラブ」初代会長。著書に「暗い宿」「ジュリエットの悲鳴」「朱色の研究」「絶叫城殺人事件」など多数。

「2023年 『濱地健三郎の幽たる事件簿』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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