怪しい店 (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041049600

作品紹介・あらすじ

推理作家・有栖川有栖は、盟友の犯罪学者・火村英生を、敬意を持ってこう呼ぶ。
「臨床犯罪学者」と。

骨董品店〈骨董 あわしま〉で、店主の左衛門が殺された。
生前の左衛門を惑わせた「変な物」とは……。(「古物の魔」)ほか、
美しい海を臨む理髪店で火村が見かけた、
列車に向かいハンカチを振る美女など、
美しくも恐ろしい「お店」を巡る謎を、
火村と有栖の名コンビが解き明かす。

火村英生シリーズ、珠玉の作品集が登場。

感想・レビュー・書評

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  • 骨董屋、古本屋、ショーウィンドウ、理髪店、怪しい店のみみや(聴き屋)で起こる事件・謎を火村英生と有栖川有栖のコンビが解いていく。うーん、火村の人物像がいまいちはっきりとつかめない。それに、文章が卑俗な感じなのがなあ。ただ、「潮騒理髪店」の話は、なんかファンタジーぽくてよかった。潮騒が聞こえる理髪店なんて行ってみたいし、主人の素晴らしい技が伝わってきた。

  • 今年最後に誰の話を読もうかなぁなんて思っていたら自然と火村シリーズに手が伸びてしまった。
    やっぱり私の中で火村とアリスのコンビが活躍するのを眺めるのは実家に戻ってきたかのような安心感があるみたい。

    今回は「お店」に纏わるミステリー話。
    少し前に「宿」に纏わる短編集があったから何か趣向が似てるなぁと思ったんですけど作者さんもそう思ってたみたいですね。

    この中なら「潮騒理髪店」が一番好きだったなぁ……ほぼほぼ毎回何かしらの殺人事件を解決してばかりの火村にもこういう時があってもいいと思う。
    思考ゲームみたいな話ではあるのだけど、私は火村の考えた結論が本当だったらいいなと思いましたね、たまにはこういう誰も不幸にならない話もいいじゃないって。

    他にも古物に魅せられてしまった犯人やら他人の不幸を覗くことを商売にしてしまった人やらまぁ色んな人が出てくるんですけど、「ショーウィンドウを砕く」の犯人に対しては何かこう……遭遇した相手が悪かったね、とちょっと同情してしまいました。
    いや犯人なんだしやったことは決して許されることではないんだけど、でもまぁ……「何事にも上には上がいるんだなぁ」って感じの話ですよね、それがいい事であっても悪いことであっても。

  • 「店」を題材とした火村英生シリーズの短編集。
    手がかりやヒントは結構大胆に提示されてるにもかかわらず、考えても真相に辿り着けない(お前の頭が悪いだけちゃうんけっていう感想は禁句)、しかしいざ謎が明かされるとそのロジックに「なるほど〜」と納得してしまう。流石ベテランといった完成度だと思います。
    今回の話の中だと「潮騒理髪店」がノスタルジックな雰囲気が醸し出されていて好みでした

  • 火村さんとアリスさんのコンビで時間に挑む短編集。潮騒理髪店が好きです。

  • 怪しくて魅力的なお店にまつわる火村シリーズ短編集。
    「潮騒理髪店」が好きだなー。
    殺人が起こるわけでもなく、描写も綺麗で、爽やかなお店なのに最後が少しぞくっとする。
    他の話もおもしろかった。

  • なんとも魅力的な店が並びます。行ってみたいお店近づきたくないお店、色々。確かに言われるとお店って全く知らない人を無条件で受け入れてくれるけど、考えてみると少し怖いかも。

  • 様々な店で起こった事件を、火村とアリスが解決していく、作家アリスシリーズの短編5編。

     各短編、安定した出来。事件も殺人事件一辺倒ではなく、ひねくれた店主がいる古本屋での万引き事件だったり、火村が旅先でたまたま寄った理髪店の出来事だったりと、バラエティーも豊かです。

    「古物の魔」は骨董品屋で起こった店主殺人事件の話。この話のポイントは、なぜ犯人は死体を遠くまで捨てに行かず、すぐに見つかる押し入れに隠したか、ということ。火村いわく「犯行を完全に隠してしまうのではなく、発覚を少しだけ遅らせたかったかのよう」とのことですが……

     犯人の動機と、犯行の発覚を遅らせたかった理由、タイトルの意味も相まって、哀愁の漂う印象的な短編です。

     表題作の「怪しい店」は、人の悩みや愚痴を聞く聞き屋の女店主の殺人事件の話。

     犯人指摘までの軌跡がユニーク! ロジックの転がし方が相変わらず素敵だな、と感じた短編でした。

     この場合犯人というのか微妙ですが、古書店の万引き事件を扱った「燈火堂の奇禍」は、本好きにはいろいろ考えさせられる短編でした。

     店主は本を買おうとした客に対し、「本当にその本が必要だと思うなら10日後にもう一度買いに来い」、と言います。

     積読がたまりつつも、ついつい衝動的に本を買う自分にとっては、ちょっと耳が痛い……。でも、その場で買わないと、もう買えないかも、と思うと、店主には「見逃して下さい」という気持ちになります。

     話を読んでいると、この本の登場人物の一人も、そんな気持ちだったのではないかな、と悪いことをしている人ながらも、少し同情的になってしまいます。

     火村の旅先での理髪店の出来事を描いた「潮騒理髪店」は、火村と理髪店店主のやり取りがとてもいい雰囲気。また火村とアリスのやり取りも思わずニヤリとさせられました。


     以下、私事でつらつらと。
     4月から社会人になり、時間的余裕が減り、本や映画に触れる機会も減っていたのですが、年明けから、徐々に本を読みたい欲が戻ってきました。

     そこで、手に取ったのが、高校時代からお世話になっている火村・アリスコンビが活躍するこの本。自分も自分の周りの環境も変わっていきますが、そんな中で、この二人のやり取りは、昔も今も変わらず、読んでいてなんだか懐かしさと、不思議な感動がありました。それは久しぶりに、友人に会ったような感覚かもしれません。

     長期シリーズを読む楽しさというのは、こういうところにあるのかもしれません。少し離れていても、前と変わらぬ雰囲気で迎えてくれるのです。

     この二人には、これからもお世話になるのだろうな、と改めて思った一冊でした。

  • 再読。「ショーウインドウを砕く」の外から見た火村アリスコンビが目新しくて好き。潮騒理髪店のノスタルジーもいい、有栖川有栖らしい短編。

  • 火村シリーズの中では好きかも!

  • 有栖川有栖作品初デビューです。江戸川乱歩賞を受賞した荒木あかねさんが有栖川有栖さんの小説が好きでほとんどの作品を読み少なからず影響を受けたのではないかと聞いたので読んでみました。
    最初に読むのに短編集を選んだのは気軽に読めると思ったし登場人物がシリーズ化している方が良いかと思い選びました。
    結果、この作品を選んで良かった。
    5篇の作品とも味わい深く面白い。
    それぞれに謎解きがあっさりしておりスッキリ読めます。次は是非、長編を読んでみたい。

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著者プロフィール

1959年大阪生まれ。同志社大学法学部卒業。89年「月光ゲーム」でデビュー。「マレー鉄道の謎」で日本推理作家協会賞を受賞。「本格ミステリ作家クラブ」初代会長。著書に「暗い宿」「ジュリエットの悲鳴」「朱色の研究」「絶叫城殺人事件」など多数。

「2023年 『濱地健三郎の幽たる事件簿』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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