ホルケウ英雄伝 この国のいと小さき者 下

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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041050163

作品紹介・あらすじ

静かなる野、モーヌップの大地。エミシの民を苦しめるウェイサンペの苛政に憤りを覚えた青年マサリキンは、一目で恋に落ちたチキランケを女奴隷となる運命から救うため、馬で逃亡を試みた。しかしその最中に敵将の愛息を殺し、追われる身となってしまう。マサリキンとはぐれたチキランケは、鎮所に連行されたが、按察使の寵愛を拒み、深く自分に閉じこもった。追っ手を交わしながら鎮所に近付いたマサリキンだが、叛徒としてウェイサンペの手下に捕らえられ、過酷な責め苦を負うことに。陰陽師はチキランケに凶兆が現れていると按察使に忠告、マサリキンは処刑場に連行されるが、そこに叛乱軍ヌペックコルクルが現れ、マサリキンを奪還した! 怒濤の展開、圧巻の歴史ファンタジー!

感想・レビュー・書評

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  • 上巻の途中からとても読むのが辛くなってきたが、特にラストが気に入らない。私の好みでしかないが、プラスとマイナスの部分のバランスがとても悪いというか、多分作者はプラス要素として書いているかと汲み取れる部分が、マイナスにしか感じられず、大変しんどい。
    微妙に読み間違いやすいカタカナで書かれたエミシの言葉が引っかかる。

  • 上下巻一気に読みました。
    エミシの歴史、こんな風に読ませていただいて感激でした。清々しく、強い!最後まで、どうなるの?と途中でやめられませんでした。

  • 東北から北海道に開拓に来た割と近いご先祖様を持つ私には面白かったけど、北海道や東北になじみのない人に、この作品は伝わるのだろうか。

    純粋で公平で民主的なエミシと、階級社会の中で一部の人たちの贅沢な暮らしのために虐げられるウェイサンペ(大和朝廷時代の日本人)。
    勝者の書く歴史が全くの事実とは限らないように、敗者の書く歴史が本当の真実とも限らない。
    こんなに単純に善悪が分かれるわけがないことは子どもにもわかる。

    それでもどうしても書きたいことがこの作品の中にあるのだろう。
    多分それはエミシ対ウェイサンペの戦いであり、エミシの生活や風俗だと思うんだけど、それだけでは読者が付かないと思ったのか、マサリキンとチキランケという若い二人の引き裂かれた純愛を持って来たものだから、どうも軸がブレブレになってしまっている。

    戦闘シーンにはテンポがないため手に汗を握れないし、時間の経過がわかりにくい。
    そもそもマサリキンが世間知らずで純粋すぎて、なかなかチキランケを助けることができないし、エミシの戦いに参加して大きな戦果を挙げても、どうも英雄というには決定的な何かが足りない。

    いっそのこと視点をチキランケにして、ひたすらにマサリキンを恋求める乙女から見た戦いの虚しさとエミシの心満たされる生活の対比を描くとか、何なら戦いの中で炊き出しや負傷者の看病をしながら愛する人のそばにいることを選択するカリパのような少女と交互に描くとかにすればいいのにと思った。

    全体的にまんべんなく書こうとするから、テーマが散漫になっている気がした。

    上巻の時から気になっていたのだけど、このエミシは、なぜアイヌの風習で描かれているのか。
    確かに東北にはアイヌ語由来の地名が結構あるけれど、私の考えるエミシは、アイヌとは別物なんだけどなあ。

    テーマは面白かった。
    文章・構成はもう少し。

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著者プロフィール

1940年, 東京市大森区山王の生まれ, 生後すぐ岩手県に移住し大船渡市で育つ. 医師・言語学者・詩人・物語作家. 故郷の大船渡市, 陸前高田市, 住田町, 釜石市唐丹町(旧気仙郡)一円に生きている言葉, ケセン語を探究する. 掘り起こされた, その東北の言語を土台として, 新約聖書を原語ギリシャ語から翻訳した「ケセン語訳新約聖書四福音書」で知られる. 著書に, ケセン語研究が結実した『ケセン語入門』(1989), 『ケセン語の世界』(2007), 『ケセン語大辞典』(上下, 2000), 詩集『ケセンの詩(うだ)』(1988), 故郷の歴史に材をとった物語『ヒタカミ黄金伝説』(1991), ケセン語訳聖書の注解書『ふるさとのイエス』(2003), 『走れ, イエス』(2004),『人の子, イエス』(2009), そして福音書の新訳『ガリラヤのイェシュー──日本語訳新約聖書四福音書』(2011), 『北の英雄伝 紅の雪原を奔れエミシの娘』上の巻(2024年4月既刊)などがある.

「2024年 『北の英雄伝 紅の雪原を奔れ、エミシの娘  下の巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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