さくら、うるわし 左近の桜

  • KADOKAWA (2017年11月2日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784041050668

作品紹介・あらすじ

男同士が忍び逢う宿屋「左近」の長男、桜蔵(さくら)は高校を卒業し、大学に進学。それを機に実家をはなれ、父の柾とその正妻と同居することになる。しかし、やっかいなものを拾う”体質”は、そのままで……
大雨の朝、自転車通学の途中で事故にあい、迷いこんだ先は古着を仕立て直すという〈江間衣服縫製所〉。その主の婆さんは着ていた服で浮き世の罪の重さをはかり、つぎに渡る川や行き先を決めるという――この世ならざる古着屋や巡査との出逢い、境界をまたいで往き来する桜蔵の命運やいかに――!?(この川、渡るべからず)
匂いたつかぐわしさにほろ酔う、大人のための連作奇譚集。

感想・レビュー・書評

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  • 左近の桜シリーズ、第3弾。
    以前はもう少し夢おぼろな感じで巻き込まれていた記憶がありますが、今作はあちらも少し強引なような。
    醒めない夢が常にそうであるように、醒めたと思えばまた夢の中、何度も舞台が変り、自分が何者だったかさえ見失ってしまう。
    黒い犬はちょっとグロテスク。
    土砂降りの雨、水はやはり、あちらとこちらを隔てるものであり、また境目をあいまいにするものでもある。
    本が旅の扉を開くことはたまにある。
    また犬?怖い!…と思ったらいい話でした。

    第一話 その犬に耳はあるか
    第二話 この川、渡るべからず
    第三話 ありえないことについての、たとえ
    第四話 その犬の飼い主に告ぐ


    特殊な体質(能力)とはいえ、闇雲に引きずり込まれるわけではなく、やはり"縁あるもの"が、助けを求めて呼んでいると思われる。

  • 第一作や第二作の装丁をがらりと変化させた第三作。シャンパンピンクの箔押しと桜色のブックリボンが可愛い。第四作はもういいかも。

  • ドキドキする、、、

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    甘美で幻想的な異界への誘い――匂いたつかぐわしさにほろ酔う連作奇譚集。
    男同士が忍び逢う宿屋「左近」の長男、桜蔵(さくら)は高校を卒業し、大学に進学。それを機に実家をはなれ、父の柾とその正妻と同居することになる。しかし、やっかいなものを拾う”体質”は、そのままで……
    大雨の朝、自転車通学の途中で事故にあい、迷いこんだ先は古着を仕立て直すという〈江間衣服縫製所〉。その主の婆さんは着ていた服で浮き世の罪の重さをはかり、つぎに渡る川や行き先を決めるという――この世ならざる古着屋や巡査との出逢い、境界をまたいで往き来する桜蔵の命運やいかに――!?(この川、渡るべからず)
    匂いたつかぐわしさにほろ酔う、大人のための連作奇譚集。
    http://www.kadokawa.co.jp/product/321608000247/

  • 似たようなパターンが繰り返されるので、ちょっと飽きて来たかな…現実の人間同士のお話の方が好きだったりする。

  • 犬に姿を変えられたつくろい師、死者の衣を剥ぐお婆、曰くつきの私家版の稀覯本…霊界の異形のものたちとの交わりを円熟味増す筆で紡ぐ、甘美で幻想的な異界への誘い。陶酔感あふれる「左近の桜」シリーズ第3弾!

  • シリーズ3冊目。
    続巻が出るとは思っていなかった。
    相変わらずの不思議なお話。読んでいるうちに(あれ?)ってなるけれど、それも世界観として納得してしまう。
    大学生になった桜蔵、高校生の千菊の成長ぶりも読者(特に女性読者)としては微笑ましいが、何と言っても父親である柾さんが素敵すぎる。
    また、続きが読めたら嬉しいな。
    長野まゆみさん、お願いします!

  • 左近の桜シリーズ3作目。短編集。

  • シリーズ第3弾。長らく新作が出なかったので、シリーズ完結かと思ってた。

    前作から少し時間が流れ、桜蔵が大学生になっているが、相変わらずの拾いもの体質。
    道端で、旅先で、この世のものではないモノを拾い、惹きつけ、この世とあの世の境をさまよう。

    • chie0305さん
      わ、新刊出たんですね!ありがとうございます。私も早速読みます!
      わ、新刊出たんですね!ありがとうございます。私も早速読みます!
      2017/12/04
    • marimocoさん
      このシリーズ、久々の新刊でしたが、妖しくも美しい独特の世界観は健在でした。ぜひ読んでみてください!
      このシリーズ、久々の新刊でしたが、妖しくも美しい独特の世界観は健在でした。ぜひ読んでみてください!
      2017/12/04
    • chie0305さん
      読みました!第3話、4話が凄く良かった!
      桜蔵、千菊くんももちろんだけど、柾さんが素敵すぎました。ありがとうございます!
      読みました!第3話、4話が凄く良かった!
      桜蔵、千菊くんももちろんだけど、柾さんが素敵すぎました。ありがとうございます!
      2017/12/20
  • +++
    甘美で幻想的な異界への誘い――匂いたつかぐわしさにほろ酔う連作奇譚集。

    男同士が忍び逢う宿屋「左近」の長男、桜蔵(さくら)は高校を卒業し、大学に進学。それを機に実家をはなれ、父の柾とその正妻と同居することになる。しかし、やっかいなものを拾う”体質”は、そのままで……
    大雨の朝、自転車通学の途中で事故にあい、迷いこんだ先は古着を仕立て直すという〈江間衣服縫製所〉。その主の婆さんは着ていた服で浮き世の罪の重さをはかり、つぎに渡る川や行き先を決めるという――この世ならざる古着屋や巡査との出逢い、境界をまたいで往き来する桜蔵の命運やいかに――!?(この川、渡るべからず)
    匂いたつかぐわしさにほろ酔う、大人のための連作奇譚集。
    +++

    左近の桜シリーズ第三弾。
    今回も桜蔵(さくら)は、妖しいものを引き寄せている――というか、引き寄せられていると言った方がいいのかもしれない。この世とあの世の境をあっさり越えて、見えないはずのものに翻弄されているような桜蔵を見ていると、読み手のこちらが消耗してくる気がする。やはりこういうのはあまり得意ではない。自分の輪郭が曖昧になっていくような錯覚に陥るので、あちらの世界に取り込まれそうになる。桜蔵は慣れていてどうということもないのだろうか。そんなこともないだろう。ともかく、現実世界のひずみに迷い込んだような一冊である。

  • 装丁が美しすぎる…❤︎

  • 事あるごとに父の柾や関わり合う怪異面々に女扱いされてしまう桜蔵の彼女の名前が、真也(まや)と言う一見男性名シンヤってのが面白い。好みだったのは3話と4話。桜蔵の父親って一体誰なんだろ。明かされる時は来るのかな。長らく続きが出ていなかったから、完結せず、うやむやな尻切れトンボになってしまうのかと危ぶんでいたから、何はともあれ続編が出てくれて嬉しい。

  • 2巻までは一年間の話だったのでそういう感じで行くのかな? と思っていたら3巻目にして方向が変わった? 2巻目で登場人物が出揃ったと思っていたんだけど。
    そしててっきり柾と何かあると思っていたらそんなこともなかった。面白かったけど、「あ、あれ? じゃあ2巻目のあれは何だったの……?」という気持ちもなくはない。

  • 妖艶にあちら側とこちら側を彷徨い、まるで決定事項のように誘われる川のあちら側。
    それに勝る生命力も魅力的だと思った。

  • 相変わらず綺麗だねぇ
    だから犬はダメだってあれほど…

  • 霞かかった作風のシリーズだが、今作はやや霞が晴れたような感覚。
    とはいえ、今作でも現実とそうでない空間とを行き来する桜蔵とともに、夢見心地になる感覚がいい。
    少しずつ変わりつつある父・柾とのやりとりや、弟の千菊の成長が伺え、一作目から年月が経過していることがじんわり伝わる。
    桜蔵自身も妖しいモノに好かれてしまうのを、諦めよりも対峙した姿勢に変わりつつあり、不可思議な事態にも肝が据わり始めているよう。
    次は作は桜蔵の自身のルーツを探る長編らしいので大変楽しみ。

  • 桜蔵はさらに柾との因果に深く絡め取られていく。
    出生の秘密についてはシリーズ3作で外堀を埋め切った感があるので、あとはストーリーとして再構築していただけたら嬉しい。でもそれを語るのは野暮のような気もする。桜蔵も察して(そこで黙るのが女たる由縁…)探るつもりはなさそうだし。
    女系一家で千菊が心身・性癖ともに健やかに育ちそうなのは、桜蔵が(女)として宿縁を引き受けているからだろうなあ。

  • 左近の桜、シリーズ読破です。長野先生の作品をほぼ30年ぶり!に読みました。当時、自分が青すぎて、妖艶な世界についていけず、読まなくなってたんですが、久しぶりに読んだら、とてもすんなり入ってきました。やっと、追いついた?
    桜蔵の謎は全然解けてないですが、謎は謎のままというのが、好きなところです。続きがでたら、また読みたいですね。

  • 掲載誌が変わってからの方が断然面白い。
    さくらが向こうの世界に引き入れられがちな性質なのは変わらんのやけど、これまでの話みたいに、向こうのものがさくらを連れていきたいとか一緒になりたいとかそういう強引な感じではなくて、どこかの誰かの物語をかすめていくような雰囲気がよかった。豪雨の話のばーさんみたいな、あからさまに怪しいばーさんキャラもよかった。
    まださくらの秘密が明かされておらないのでこのシリーズ続くんやな。

  • 引きずり込まれるような色気が減った気がした。
    これまで匂っていた謎も明らかになってきているからいいかな。

  • 左近の桜シリーズ3作目ですね、桜蔵が大学生になっている・・・。
    そして相変わらず男(らしい)あやかしに言い寄られて寝まくっとる・・・。
    登場する男がだいたい男色なんだよな、さすが長野まゆみ先生だよ。
    台詞回しが毎度卑猥でスゲ~~ってなる。
    清先生がどう考えてもオイオイ・・・なのに出番こんだけなんかい!っていう・・・でもそうだった・・・長野まゆみ先生といえばそういう作風だった・・・オアズケ作風・・・。
    あと警察官のお兄さんが女装するタイプの男色だって分かったときはさすがに震えた。骨董屋の若旦那何者やねん・・・。
    また姉貴の旦那に横恋慕かましてる弟出てきた・・・長野まゆみ先生・・・好きなんだな・・・。
    そりゃ桜蔵もこんな普通に父親の愛人(男)に会ってたら感覚狂うわな・・・とも思うよ。
    わたしはそれを平然と受け入れてニコニコしてるゴージャスな美女・遠子母さんが好き・・・。

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著者プロフィール

長野まゆみ(ながの・まゆみ)東京都生まれ。一九八八年「少年アリス」で第25回文藝賞を受賞しデビュー。二〇一五年『冥途あり』で第四三回泉鏡花文学賞、第六八回野間文芸賞を受賞。『野ばら』『天体議会』『新世界』『テレヴィジョン・シティ』『超少年』『野川』『デカルコマニア』『チマチマ記』『45°ここだけの話』『兄と弟、あるいは書物と燃える石』『フランダースの帽子』『銀河の通信所』『カムパネルラ版 銀河鉄道の夜』「左近の桜」シリーズなど著書多数。


「2022年 『ゴッホの犬と耳とひまわり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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