里山奇談

  • KADOKAWA
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本棚登録 : 89
レビュー : 16
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041050781

作品紹介・あらすじ

神の棲む山と人間の暮らす地、その境界に広がる里山――。
そこにはさまざまな生命とともに、不思議が息づいている
野山を渉猟し、昆虫や動植物をこよなく愛する“生き物屋”が集めた、里山の奇しき物語。

■土地の人は誰でも知っている“立ち入ってはならない”場所。人が住みたがらない場所は、なぜ封鎖されないのか?――「ヱド」。

■川岸の暗闇に静かに明滅する蛍の光。たくさんの蛍が飛ぶ夜を示すことばに秘められた、ある風習があった。――「ほたるかい」

■遠い昔、参列した”狐の嫁入り”。幼い自分と美しい花嫁が両端を持つ綱を離すまいとした記憶。だが、母の話で意外なことが判明する。――「山野辺行道」

■とある国際的なイベントのため道路交通網の整備が始まったときのこと。山を削ると祟られると年寄りたちが騒ぎだした。やがて奇妙な事故が頻発しはじめる。――「蛇の道」

■ダムに沈んだ小さな集落。かつてそこには、決して入ってはならぬ“湯”があった。その湯は“罪を犯した者”が判別できるというのだが……。――「カンヌケサマ」

戦慄するのになぜかなつかしく、愛おしい。里山の奇妙な話から、日本の原風景が立ち上がる……

感想・レビュー・書評

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  • 山の不思議な話は曾祖父や祖父母たちから聞いてある程度は知っているけど、<生き物屋・虫屋>って初めて聞いた言葉でした。蝶の話が多くて幻想的だったり恒川ワールドのように幽玄だったりして雰囲気は好きです。昔聞いたことがあるけど、なぜそう言うのかその由来は知らないことの元ネタみたいなものが書かれていて、思わず、へぇー…とつぶやきながら読みました。

    結局その後どうなったのか分からない話、虫や蝶、動物や鳥の話が多い中で「黄昏れ」のような肌が粟立つような話があったりでゾクゾクしながら一気読みでした。「巣」は違う意味でゾゾゾゾ…。
    様々なものとの境い目ならではの雰囲気で『山怪』よりも若干ふんわりしていて身近に感じられました。

    まえがき・観察会・初恋・白蛾・ヱド・指・山わらう・蛇の睦事・笑うものが来る・神木と御鈴・水妖・何が憑いた・おかえりの蜂・鉤虫・蛇の道・おまっしらっさん・アイとハシとサカ・黄昏れ・ほたるかい・打上花火・陰の膳・好かれる人・釣れる場所・古井戸・浜辺にて・白い人・山野辺行道・松虫・信号機・暗渠の中・廃病院にて・蜩・雪の残る熊笹の向こうに・巣・いけるしかばねのしかのし・蛇の池の蛙たち・山間に鳴る音は・誰何・土に還す・精霊蜻蛉と山の神・カンヌケサマ・今はなき藪

  •  生き物屋。
     それは、好みの生き物を目当てに暇さえあれば東奔西走する趣味の人である。
     その対象が虫全般の人もいれば、蝶や蛾、蜂に蝉と一つの種類に拘る者もいる。中には植物、生き物ですらない無機物を対象とする者もいる。
     そんな彼らだからこそ、目的のために赴く場所も、情報をやり取りするネットワークも広い。そしてそのネットワークを通じて伝えられる情報は、最新の地域情報や新たに見つけた目当ての生き物がいる場所だけでなく、奇妙な体験談も含まれる。

     悪しきモノを惹き寄せる土地。
     なぜか長居する気になれない、絶好の釣りスポット。
     野道を歩いている所を突然呼び止める、見知らぬ人。

     人界である里と、異界である山。双方が混じり合う境界での体験談などを集めた奇談集。
     舞台が里山ではなく海岸での話だったり、怪談奇談というよりもエッセイっぽい話だったりと、書名通りの内容とはいい難いが、それでも人界と異界とが混じり合う境界ならではの、心惹かれる独特な体験談も多く収録されている。
     境界の世界は里、つまり人のいる場所で生活していると遠く感じるが、その境は実は曖昧に混ざり合っていて、意外と近い。その気はなくとも、通りがかるだけで何かしらを体験してしまうのかもしれない。

  • 読んでると不思議だなぁ、とか懐かしいなぁとか思います。昆虫を軸に話は展開するんですけど、山の神様のようなものに会ったり、霊的で不思議な経験をする人の話なので民俗学本としての本でもあるような気がします。ゾッとする感じもあるんですけど、日本人なら肌で理解できる話ばかりです。私達って、ヒトとは違う自然の中にいる生き物のことを忘れていたり、感じ取れなくなってるんだなぁって普通に思います。

  • タイトルは「里山奇談」とあるけど、里山周辺の奇談を集めた本という印象だった。

    里山というと、いつも私が登っている身近な低山で、そういう山はメジャーな高い山と違い、人気がない所が多い。
    シダが生い茂り、分厚い蜘蛛の巣が張ってあり、何か月も人の入っている気配なし。
    ここでもし足を滑らせて落ちたら・・・誰も来なくて、気づいてくれる人もなくそのまま・・・なんて、高山にはないちょっとした恐怖がある。

    この本はその山の中で起きた奇妙な出来事というよりも、その山がある町村の出来事を記した、という体になっている。
    読んでいると、「ああ、こういう集落あるよな・・・」というのがあり、自分の頭の中の風景をイメージしながら読む事ができた。
    だけど、ゾッとするほど恐い話というのはなかった。
    読んでいるとじわじわ~っとくる恐怖のようなものはあるけど、それもすぐにおさまって、読み終わるとどういう話だったのか忘れてしまう、そんなとりとめのない話ばかりだった。

    ただ、個人的にこの本を読んで良かったと思ったのは神社について語られた話。
    以前、神社に行ったらそこのシンボルであるご神木を触るとパワーをもらえるのでいいというのを聞いて、必ず神社に行ったらご神木らしき木を触るようにしていたけど、どうやらそれはよくない事らしい。
    それはご神体をそのまま触る行為らしく、不遜な行為らしいし、ご神木によってはパワーをもらうどころか忌むべきものを封じているものを触ってしまうという事もあるのだとか。
    これを読んでゾッとした。
    この話が個人的に一番恐くて、二度とそういう事はしないようにしようと思ったし、この本を読んでつくづく良かったと思った。

  • ◆安心してください 怖い話は少なめです◆
    黒い表紙をみると、怖い話!?と連想してしまいますが、意外とそんな話ばかりではありません。狐につままれたという表現がしっくりくるような不思議な話から、どこか郷愁を感じる話まで次々と語られます。里山やその地に息づくものを好む人たちの口から語られたと聞くと、そんな話も妙な説得力があります。長野県民にとって、山は少々馴染み深すぎる存在かもしれませんが、こういうものを読むと改めて、山って神秘的と気づかされました

  • 見える山里の景色が東北じゃないなぁと思っていたら、愛知か。
    いずれも生還したからこそ語られる物語。
    山の神様に逆らってはいないのはその通りで。
    いずれも現実からちょっと山里に入り込んだ瞬間にフワッと異世界につれていかれて、ちょっと背中にうすら寒さを感じながら帰される。
    自然や昔の人たちの習慣や、神様や精霊や、山の掟やら、里山には日本の日常から離れてしまっているものが、まだ残っている。

  • 里山。そこは山と人々が棲む領域の境。 
    こういう視点で見れば、怪しい出来事が起こってもおかしくありませんね。 
    「山怪」の里山版とでも言いましょうか。 
    ゾッとするというよりも、不思議な話が多いです。 
    「初恋」「指」「神木と御鈴」「影の膳」「松虫」あたりが私の好みかな?

  •  里山で生き物屋といわれるゆえに山関連の不思議話の厳選だと思われるがちらほらとそれ以外のも混入されている。

     なかなか、ネタをそろえるのも難しい?

  • ホラー。短編集。ショート・ショート。怪談。
    不思議な話、奇妙な話、不気味な話たち。
    タイトル通り、里山が舞台。
    フィクションだよね?実話じゃないよね?そう思うほど親しみやすい物語が多かった。

  • 自然に一歩足を踏み入れれば、不思議は不思議でなくなるのだなあ。人間である自分も、自然に組み込まれていたい。

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