海道の修羅

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 41
感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041050798

作品紹介・あらすじ

我は人を捨てた。この瞬間から。

室町幕府の名門・今川家は、乱世の波に呑まれて、勢力を失っていき、今や北条家と武田家の争いの渦中にあった。幼き頃から仏門に入り、太原雪斎に師事していた今川氏親の五男の栴岳承芳(義元)は、見聞を広げるため、二年前から京に上っていた。だが、甲斐の守護・武田信虎との争いが激しくなり、急遽、呼び戻された承芳は、北条家に侵食されつつある駿河の惨状に衝撃を隠せなかった。北条の手駒となって果てるのか。だが、今川と駿河の行く末を危惧する承芳の声は、兄の今川氏輝と母の寿桂尼に届くことはなかった──。駿河を救うため、承芳は、兄たちと母に非情の決断を下す。「海道一の弓取り」と讃えられし今川義元の、閃光の如き生涯を描く、長篇歴史小説

感想・レビュー・書評

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  • 荒廃した駿河を建て直すために修羅道へ堕ちた今川義元。先代からの繋がりで北条氏へ傾倒する氏輝、彦五郎を暗殺し家督を継ぎ義兄の玄広恵探を花倉の乱で滅ぼす。遠江進攻では井伊氏を謀略で支配下におき三河では家督の混乱を利用し松平氏をも支配下に入れる。修羅へ堕ちた義元であったが太原雪斎の死で情が残っていたのか天下取りを焦るあまり織田信長に桶狭間にて討たれてしまう。

  • 2022.8.27完了
    今川義元を大きく描き、太原雪斎を従者として捉える。
    主従関係では正しいのだが、今まで見た大抵の話は、太原雪斎は修行を積んだ正しい先導者。今川義元は愚鈍ではないが、太原雪斎の教えをもとに東海道の雄になるというイメージ。いわば真逆。
    今川義元は太原雪斎の期待を大きく上回り、修羅にもなって覇者になりつつあるという。
    この作家は読み易くてとても好き。ハズレなし。

  • 今川義元。まさに名家今川を立て直した名将であった。冷徹な武将であるが、雪斎禅師が義元の猛々しさを補い、北条や武田に対抗し、今川を強国に押し上げた。
    やはり、雪斎禅師なくして、今川義元は立ち行かなくなったのだろう。

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  • 今川義元を書くと発表されてから待望していたのでワクワク感が半端なかった。今川義元は好きな戦国武将の1人。駿河国を護るために冷酷にそして一族をも切り離す、義元には憧れと恐怖を覚えた。しかしまたその恐怖が義元を輝く魅せてくれる。こんな義元は見たことがない。

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著者プロフィール

吉川永青
一九六八年東京都生まれ。横浜国立大学経営学部卒業。二〇一〇年「我が糸は誰を操る」で小説現代長編新人賞奨励賞を受賞。同作は、『戯史三國志 我が糸は誰を操る』と改題し、翌年に刊行。一二年、『戯史三國志 我が槍は覇道の翼』で吉川英治文学新人賞候補。一五年、『誉れの赤』で吉川英治文学新人賞候補。一六年、『闘鬼 斎藤一』で野村胡堂文学賞受賞。近著に『新風記 日本創生録』『乱世を看取った男 山名豊国』などがある。

「2023年 『憂き夜に花を 花火師・六代目鍵屋弥兵衛』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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