敵の名は、宮本武蔵

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 218
感想 : 51
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041050804

感想・レビュー・書評

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  • 読了。ごく久しぶりの時代物。宮本武蔵という、ある意味手垢のついた題材を視点を変えることで大胆にアレンジしてみせた。外連味がありながらすっと読める文体で、先が気になりどんどん読んでしまう。血湧き肉躍る立ち合いの描写あり、そこがそう繋がるのかという綿密な謎解きありで、鳥肌の立つ感動があった。時代物にちょっとでも興味があるすべての人にオススメしたい一冊。

  • 著者の作品を読むのは「宇喜多の捨て嫁」に続き2冊目だが、連作という形をとってとある人物やその周辺に多角度から光を当て浮き彫りにする、というパッケージングはほぼ同じと言っていい。
    確か5作ほどしかない出版点数の中、表現手法の幅が狭いんじゃ? と読者に危惧を抱かせることについてはいかがなものかと思うが、実は気になるのはその点ぐらいしかない、というほどに完成度は高く、面白い。
    展開はいかにもベタだなあと感じさせる部分もあるが、とにかく筆力が高くて上手いので、素直に没入できる。

  • タイトルどおり、宮本武蔵と戦った者たちの視点で宮本武蔵を描いた本。結構血生臭い描写が続く。武蔵だから仕方がないか。淡々と描いているようだが、想像すると結構ぐっとくるものがあります。読んでも想像しないように!

    また、作者はいろいろな研究書などをもとに作者の考える武蔵像を作っている。自分の中に確固とした武蔵像がある人には辛いかもしれない。うまく表現できないが、たぶん、従来の武蔵像とは異なるはず。このあたり気になる人は読んでみることをお勧めします。

    短編集だが、全体を通して時の流れとともに武蔵の人物の変化が読み取れるので、面白い一冊に仕上がっていると思う。

    直木賞候補に挙がるのはうなずける。血生臭いのも多少は平気であればお勧め。

  • 宮本武蔵の人物像を敵の視点から浮かび上がらせた連作集ですが、とにかく面白かった。
    『バガボンド』読んでないし、10年ぐらい前の海老蔵主演の大河ドラマも見てなかったので、武蔵についてほぼ真っさらな状態で本書に触れたのも良かったのかもしれません。
    最後の2編が特に良かったです。有名な巌流島の決戦で締めくくる構成にあえてせず、武蔵が剣術だけでなく絵画も好んでいたという話を物語の中にうまく取り入れたことが本書の成功の鍵になったと思います。

    1本目の「有馬喜兵衛の童討ち」からかなり凄惨な描写が続きますが、読後感は不思議と悪くありません。
    ラストも意外性があってGOOD。『宇喜多の捨て嫁』も高評価だったし、これなら直木賞獲れるんじゃないかなあ。

  • 宮本武蔵と対峙して破れていった者達の視点から「敵」である宮本武蔵を描いた剣豪小説。
    本作で描かれた宮本武蔵像は実に新鮮だった。
    父無二に殺人マシンとして育てられながらも、日本画を嗜んだりする高貴な精神性を持つことで徐々に人間らしさを取り戻していく武蔵の姿が鮮やかに描かれている。
    破れていった者達の物語もきちんと描かれていて素晴らしい。
    本作を読んだ後では他の宮本武蔵の小説が退屈に感じられてしまいそうだ。

  • 2017年9月17日

  • 負け知らずの剣豪、宮本武蔵。
    なんてカッコいいんだろう。
    その生きざま、立ち振舞いに惚れ惚れしてしまう。

    敵や弟子、師匠と様々な立場の男達が語る「宮本武蔵」は剣術の腕は勿論、絵を嗜んだり人知れず情けをかけたりと意外な側面が明かになり、人としての魅力に溢れていた。
    生死無用の一対一の果たし合い…生か死か二つに一つ。
    このシンプルで潔い男達の決着の付け方に読んでるこちらまで身が引き締まる。
    道を究める男は何から何までカッコいい。

    連作短編一つ一つのラストがとても清々しく心地好かった。
    他の武蔵本も読みたくなった。

  • 新たな武蔵像を結ばせて貰った。テンポも快調で一気に読んだ。

著者プロフィール

1974年奈良県生まれ。2015年デビュー作『宇喜多の捨て嫁』で高校生直木賞、歴史時代作家クラブ賞新人賞、舟橋聖一文学賞、19年『天下一の軽口男』で大阪ほんま本大賞、『絵金、闇を塗る』で野村胡堂文学賞、20年『まむし三代記』で日本歴史時代作家協会賞作品賞、中山義秀文学賞、’22年『孤剣の涯て』で本屋が選ぶ時代小説大賞を受賞。近著に『応仁悪童伝』がある。

「2023年 『風雲 戦国アンソロジー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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