惑星カロン (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 414
レビュー : 37
  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041051993

作品紹介・あらすじ

喧噪の文化祭が終わり三年生が引退、残った一、二年生の新体制を迎えた清水南高校吹奏楽部。上級生となった元気少女の穂村チカと残念美少年の上条ハルタに、またまた新たな難題が? チカが試奏する“呪いのフルート”の正体、あやしい人物からメールで届く音楽暗号、旧校舎で起きた密室の“鍵全開事件”、そして神秘の楽曲「惑星カロン」と人間消失の謎……。笑い、せつなさ、謎もますます増量の青春ミステリ、第5弾!

感想・レビュー・書評

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  • チカちゃんが明るくて元気いっぱいで、真っ直ぐな女の子だから、このシリーズわたしは読むことが出来てる。
    とても心に突き刺ささる終わり方の短編がシリーズ通して多々あるので、わたしはチカちゃんがいることで救われてる。
    それは謎が解けたあと「あーよかった」ってなることは稀でヒリヒリした傷跡が残ることの方が多いように思えるから。(わたしだけなのかもしれないけど…)
    ハルタをはじめとする吹奏楽部の部員や先生、彼女に関わってきた人たちもそうじゃないのかな。
    もしかしたらそれは。
    いろんなことを考え感じ、時に挫折したり。一生懸命に部活に向き合ったり。好きな人のことで悩んだり。そういう時間がかけがえのない宝物になる時代、高校生だからこその必要な痛みなのかもしれない。そういう感情に向き合うことが大切で、向き合うことが出来る最後の時間が高校生なのかな、なんて思ったりした。

  • ハルチカシリーズ5作目。これもでも十二分に青春ミステリをしていたシリーズだけど、この『惑星カロン』でよりハルチカが、青春ミステリの“決定版”と言われるに足る作品になってきたと感じます。

    イントロダクションから始まり、短編4つが収録されています。このイントロダクションから、ちょっといつもと雰囲気が違う感じがする。ところどころの言い回しはチカらしい、ユーモアの含まれる話し言葉なのだけど、一方で過ぎ去っていく青春への郷愁と、伝えたい想いというものがあふれている。まあ、ここでしんみりしていると次に収録されている短編「チェリーニの祝宴」の冒頭でズッコケてしまうのだけど(笑)

    呪いのフルートの謎をめぐる「チェリーニの祝宴」
    音楽暗号の解読に挑む「ヴァルプルギスの夜」
    朝、学校に来てみると部室棟の部屋の扉がすべて開けられていた謎に挑む「理由(わけ)ありの旧校舎」
    ネット上で語られる人間消失の謎が描かれる表題作「惑星カロン」と今回も謎は様々。そして今回の謎はいずれも、青春の要素がより濃くなっているように思います。

    「チェリーニの祝宴」では自分のフルートの実力に限界を感じ始めたチカの心情が、物語中で描かれ「ヴァルプルギスの夜」では、部活における練習風景の今昔、そして部員間での部活に対する温度差が物語のキーワードとして作用する。
    「理由(わけ)ありの旧校舎」は学生だからこそのノリや楽しみみたいなものも感じられ、そして「惑星カロン」では、これまで突っ走ってきたチカが、知り合った中学生とのやり取りを通して部活の引退や、次の世代のことにも想いをめぐらせる。

    「惑星カロン」は特にシリーズとしても重要な短編になってきそう。チカの心情の変化ももちろんですが、これまで謎に包まれていた吹奏楽部の顧問、草壁先生の謎も少しずつ明らかになっていきます。そしてこの短編集を結ぶトリの短編としても良くできています。
    「惑星カロン」のテーマの一つが、会えない人への想いだと思うのですが、それが「惑星カロン」の前に収録されていた三つの短編のエピソードを拾い集めることで、テーマ対する感動をより深めていく。とにかく伏線の回収が、本当に鮮やかでそれを感動につなげる手腕は、本当にすごかった。

    ハルチカたちのコメディ的なやりとりと、感動や切なさ。読み終えてみると、毎回この二つを両立させるハルチカシリーズのすごさと特異さを感じます。ミステリとしてはもちろん、チカの心情の変化、そして草壁先生の過去とシリーズ全体の行方も気になってくる作品でした。

  • ハルチカシリーズ第5弾。

    ▼収録作品
    「イントロダクション」
    「チェリーニの祝宴」
    「ヴァルプルギスの夜」
    「理由ありの旧校舎」
    「惑星カロン」

    それぞれ独立したお話ではあるものの、リンクする部分もあって、見つけるとおおっ、と嬉しくなる。こういう仕掛け、大好き。

    “ずっと同じじゃいられない。高校生活の時間は着実に流れている。”

    このチカのモノローグが切ない。
    自身の感情の変化を認めるチカ。普通、そういう負の感情には目を背けてしまいたくなるものだけど、ちゃんと向き合えるチカはやっぱりすごい。

    そして。謎めいていた草壁先生の過去が少しだけ垣間見えた。
    止まってしまった時計を進めるために、一歩踏み出すことを決意した草壁先生。

    ハルタの「あと何年、南高吹奏楽部の船長でいつづけてくれるか」というセリフがぐっと現実味を増してくる。さすがにハルチカの最後の夏まではいてほしい、と思うが……。

    重くなりがちなお話も、ハルチカのやりとりに救われる。この巻はチカママと成島さんのセリフにも笑えた。

    次回はやっぱり、片桐や日野原の卒業が描かれるのだろうか? (スルーだったら寂しいような……。) もし描かれるとしたら、ブラックリスト十傑も全員は明かされていないし、一筋縄ではいかないだろうなあ。というか、ハルタとチカが巻き込まれるのは必至。
    新メンバーも入るし、勝負の夏に向けてどんなことが起こるのかとても楽しみ。


    ブクログさんより献本でいただきました。感謝感謝! です。

  • 惑星カロン
    200706読了。再読。
    今年52冊目、今月1冊目。
    #読了
    #惑星カロン
    #初野晴

    ハルチカシリーズ。連作短編集。
    キャラ造形、
    動かし方、
    ミステリの質、
    台詞回しやちょっとしたペダンティズム、硬軟のバランス、
    タイトルセンス。
    秀逸。

    シリーズ読み直そう。

    読んだ僕も冴えていて、たちどころに真相に至る。

    再読だった。
    本棚にありました

  • ハルチカシリーズ5作目
    ページ数が前作にも増して増量されているけど、章立ては変わらず4つ

    呪いの疑惑のあるフルート
    所有者にちょっとだけ不幸なことがあって、変わること6人
    チカちゃんも一時的にレンタルすることになって不幸が訪れるけど、いつもどおり過ぎて呪いかどうかの判断がつかない(笑)
    日本に二本しか(ギャグではない)入ってきていないというのもストーリーにいいスパイスが加えられている


    採譜の暗号に関しては、音感がない私にとってはまったくの謎だな
    まぁ、分かる人にはわかるけど分からない人にはわからないという暗号の本質を突いたオチは納得



    密室の逆、開放事件の謎
    お土産の入手先と2ヶ月というズレのあたりでなんとなく想像はできた
    そこで浮かれてたら二の矢三の矢の謎があって、やはり僕は全然わかってなかった事を思い知らされる
    森博嗣もこんな多段の謎を仕掛けたりするけど、いいように踊らされる僕はかなり正しい読者なのではなかろうか?



    最後のは草壁先生の過去がなんとなく類推される
    個人的な考えで言えば、完全なデジタルツインってできないと思う
    ましてや公開情報だけでなんて、無理でしょ
    ただまぁ、本人の協力があって事前に何度もデータ収集できるなら、ある程度のものはできるんじゃなかろうか
    星新一とか手塚治虫のパターン学習から新作を作るってのが始まってるし、それなりの情報が存在するんだったらそこそこのものはできそうな気がする
    特に、デジタルなやり取りなんかはハルタが言うようにその人の頻出単語が分析できるだろうし
    それこそビッグデータでテキストを分析する方法も行われているので、将来的には実現できるんだろうけど
    やはり作中でも語られてるけど、モラルと言うか倫理観というか、抵抗する人は多そうだよね
    美空ひばりのAIとかって、ちょうど不気味の谷の谷底あたりの違和感を感じた人が多いんじゃなかろうか?

    研究者こそ技術の先に何が待ち構えているのかという倫理観を持ち合わせなきゃいけないと思う

  • 5

  • 祈りのフルートからはじまる連作、今までよりロマンチックというか、センチメンタルというか…なんか雰囲気変わったんだけど、このかんじ好きだな。
    シリーズ通して成長したチカの回想、という体をとってる意味がよくわからなくて(「楽しかったことしか話さない」とか言ってるし)、不穏な想像しかできずにいたんだけど、大人になってもチカの隣にはハルタがいるってことがわかってほっとした。

  • これぞ本格ミステリ! 解説でもいうように、幻想的な謎と論理的解決がなされていて、とても楽しかったです。いつも通りのハルタとチカの会話にも引きこもれ、シリーズの中でも特におすすめです♪

  • 2018/8 9冊目(2018年通算112冊目)。シリーズ5作目。3年生が卒業して新体制となった清水南高校吹奏楽部。でもこれまで通り、謎解きミステリーが話の中心。前の巻までに出ていた伏線が少しずつ明らかになったり(日下部先生の過去に起こったこと)や、3巻目で出て来たマンボウさんが再登場したりとミステリー要素が強い印象。まだまだ普門館に話がいくには巻数が必要かなとも思う。シリーズもあと1冊。じっくり読んでいきたい。

  • 長かった…。待ちに待った新刊。1巻目からおさらいするところから始めました。

    おさらいしながら思ったのは、巻を追うごとにどんどん読みたくなってくるということ。今回もまた面白さが増しています。

    解説にもあるように、ただただまっすぐ青春を追いかけていたチカが、終わりを見据えてきています。天真爛漫な彼女、でも苦味も知っているというか。そして、彼女よりももっと早くから終わりを見ているのがハルタでしょう。それを指摘してくれる友達がいること、そして、チカの姿から学ぶこと。
    一見、チカがハルタに頼っているようですが、ハルタもまたチカを頼りにしているのですね。ハルタだけでなく、吹奏楽部、生徒会、関わる全ての人が。芹澤さんの「私は自分の未来のことを考えないくらいのバカになりたい。そう決めた」の言葉がそれを表していると思います。

    さて、話は「ヴァルプルギスの夜」「惑星カロン」が好みです。特に表題作は、今後ますます現実味を帯びていくのだと思います。
    ところどころに流行りものに振り回される人、若い女性をイメージしているのでしょうか、その人達をけちょんけちょんにしているところがあります。初野さん、そういう人は苦手なのでしょうか。小気味いいです。

    マンボウ達がまた関わってくるとは思っていませんでしたが、さて、今後もつながりがあるのかしら?そして、草壁先生の恋人?とは?(ハルチカの二人は失恋かな…)次巻も楽しみです。

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著者プロフィール

1973年静岡県生まれ。法政大学卒業。2002年『水の時計』で第22回横溝正史ミステリ大賞を受賞しデビュー。著書に『1/2の騎士』『退出ゲーム』がある。

「2017年 『ハルチカ 初恋ソムリエ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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