WOLF (角川文庫)

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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041052006

作品紹介・あらすじ

狼伝説の残る奥秩父・両神山で次々と起こる不可解な事件。ノンフィクション作家の有賀雄二郎は息子の雄輝と共に奥山に分け入るが、そこには驚愕の真相が待ち受けていた……。ネイチャー・ミステリーの傑作!

感想・レビュー・書評

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  • シヴァとカーリーですか!!(^^;
    著者のこれまでの作品タイトルから「WOLF」だとミステリアスなインパクトは弱いかなと思いましたが、失礼しましたm(__)m
    KAPPA→TENGU→DANCER→RYUですから(笑

    オチは強引ではあるけど結局自然には、、神には勝てない。手のひらで踊らされている。。シヴァとカーリーですから(^^;
    オオカミと山犬、神秘的な要素を残すとこがいいんですよ!

  • 柴田哲孝『WOLF』角川文庫。

    ノンフィクション作家・有賀雄二郎を主人公にした未確認生物シリーズ。最初に有賀が登場した『KAPPA』から22年、50歳を過ぎた有賀は千葉の海でロングボードを楽しむ健在ぶり。

    今回のテーマは非常にリアリティがあり、ロマンが感じられた。

    奥秩父で狼らしき謎の動物が家畜や人間に被害を与える事件が頻発する。林野庁の埼玉環境保全担当からの依頼で、有賀はカナダの大学で森林科学を学ぶ息子の雄輝と共に事件の調査に乗り出す。果たして、謎の動物の正体は絶滅したはずのニホンオオカミなのだろうか。

    柴田哲孝の作品はフィクションでありながら、ノンフィクションのようなリアリティがあり、非常に気に入っている。

  • 10月-8。3.0点。
    有賀雄一郎シリーズ。
    今回は、秩父の山奥で家畜が犬類に襲われる。続いて小学生も襲われる。
    有賀の息子がアメリカでオオカミ研究。
    犯行はオオカミなのか、犬なのか。

    まあまあ。行政の横やりが、ありそうって感じ。
    ラストはちょっと寂しい感じ。

  • 非常に「分類しにくい」小説である(^ ^;

    秩父山中に暮らす「未知の犬科の生物」が、
    家畜や人を襲うようになって、「まさかとは思うが、
    ニホンオオカミが生きてんじゃね?」
    って話になって。

    人的被害も出ているので、「害獣駆除」という話になる。
    が、ありがちだが「お役所仕事」で後手後手に回る
    行政の無能ぶり。
    いわゆる「社会派小説」という側面もある。

    正体不明の「犬科の大型ほ乳類」に襲われるあたり、
    パニック小説でもあるわけだし、
    敵の正体が判明するまでは「謎解き」要素も多く、
    ミステリ小説でもある。

    綿密な取材に基づき、科学的にも論理的にも
    破綻のない「敵の正体」は、さすが柴田氏の
    面目躍如と言ったところか(^ ^

    これだけでもかなりな「盛りだくさん感」なのに、
    さらに「謎の一匹狼ハンター」の目を通して、
    実際にあった大きな事故と、その背景に垣間見える
    「陰謀」についての示唆もかなり魅力的。

    最後に事件は「解決」を見せるが、
    その「あっけない」幕切れも、実際に起きたことと
    無理なくリンクしており、最後まで抜かりがない。

    さらに最後の最後、叙情的な余韻を残すラストは、
    何というか作者の「大きな愛」を感じられる。
    陣の描写などを見ても分かる。
    本質は「やさしい人」なのだ、柴田氏は(^ ^


  • 人間の卑小さ、自然の偉大さが今回はより際立っている。
    人間の身勝手で、交配された雑種。
    餓えの凌ぎに人を喰う。

    柴田氏の動物シリーズは自然界に対する人間の傲慢さが巧く描かれるが、同時に東日本大地震の原発事故や日航機墜落事件などの災害時の国の隠蔽体質も同様に取り入れられている。

    これだけ、読み応えあるのに飽きさせないってのは、素晴らしいね。
    『DANCER』が未読なので読んでみよう。

  • 私の生活している埼玉県秩父市の周辺の奥秩父の山の中が舞台の絶滅したはずのオオカミが主人公の作品。なかなか読み応えのある一冊です。

  • 傑作。最初から最後まで緊迫感が絶えなかった。最後の結末も神秘的な余韻が心地良い。
    あらすじ(背表紙より)
    ノンフィクション作家・有賀雄二郎のもとに、林野庁の埼玉環境保全担当から突如連絡が入った。奥秩父の両神山の麓に“山犬”らしき大型動物の群れが徘徊しているという。息子の雄輝と共に現地に向かった有賀は調査を開始。カナダの大学で森林科学を学ぶ雄輝は、被害の様子をみてニホンオオカミではないかと仮説を立てる。次々に人を襲い始めた“山犬”に危機感を抱く2人は捕獲作戦に協力、正体に肉薄するが…。

  • 圧倒的に広大な大自然の前に、その化身とも思われるほどに強大な生物。世界を支配したかのような人間の、あまりにも小さな存在であることを感じざるを得ない。その強大な集団をさらに上回る謎の存在。大自然はどこまでも圧倒的で静かにそこに存在する。

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著者プロフィール

1957年、東京都出身。日本大学芸術学部写真学科中退。フリーのカメラマンから作家に転身し、現在はフィクションとノンフィクションの両分野で広く活躍する。パリ〜ダカールラリーにプライベートで2回出場し、1990年にはドライバーとして完走。1991年『KAPPA』で小説家デビュー。2006年、『下山事件 最後の証言』で第59回「日本推理作家協会賞・評論その他の部門」と第24回日本冒険小説協会大賞(実録賞)をダブル受賞。2007年、『TENGU』で第9回大藪春彦賞を受賞し、ベストセラー作家となった。他の著書に『DANCER』『GEQ』『デッドエンド』『WOLF』『下山事件 暗殺者たちの夏』『クズリ』『野守虫』『五十六 ISOROKU異聞・真珠湾攻撃』『ミッドナイト』『幕末紀』など、多数ある。

「2021年 『ジミー・ハワードのジッポー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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