- Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041052068
作品紹介・あらすじ
就職を来年に控えた大学生の「僕」は、今はなき彼女がついた嘘を真実にするため、社会に対して叛逆を企てるーー。青春の終わりの痛みと煌めきを描いた、著者渾身の新境地。
感想・レビュー・書評
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大学時代のまさに青くて痛くて脆い追憶が私には良く刺さってきました(笑) はるかに昔の我が大学時代には恥ずかしながら こんなに自分を見つめることが無かったので半ば羨ましく半ば残念にも感じながら結構真剣に読みましたよ。今どきの大学生の生態を知りつつ、とりわけ後半の展開には没入しながら読み終わりました。これほど面白いと感じるのは自分はちっとも成長していないんだとも実感しながら読了。良かったです。
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大学生の話。そこに流れる空気感がとてもリアルで、大学時代の自分やキャンパスの風景が思い起こされた。
「人を傷つけること」について考えさせるストーリーだった。
信頼し仲良くしていた友人が、自分だけを見なくなり、次第に変化したことに対して面白く思わなかった楓。その友人と大切にしていたものを壊してしまい、結果自分の本心を知り後悔し「傷ついたから、傷つけていいなんて、はずがないのに」という気付きを得るまで。
感情の描写が非常に丁寧で、特に秋好と楓の言い合いのシーンでは若さのエネルギーがびしびし伝わって来た。
SNS時代のネットでの誹謗中傷への警鐘のようなものも感じた。 -
本作を読んで、これはデジャブなのかと思ったのはわたしだけだでしょうか…?
楓や秋好の様な体験をしたことがあるという人は居ますか?
わたしだけなんじゃなないのかなぁと凄く不安です。
居たら教えて頂きたいです、DMでも構いません。
お話を伺いたいです。
何かを作ろうと志した。
二人で始めたのに気がついたら一人だった。
残された方の立場にも、その場から立ち去った立場にも、どちらにもなったことがあります。
秋好と楓の様に。
だから読んでいて涙が止まらなかったです。
傷つけてやろうなんて思っていなくて
ただわかって欲しくて
相手のことなんて考えていなくて
相手を傷つけて…
はたまた、どうしてこの場から去っていったのかわからなくて
何度も引き止めたり、理由を訊こうとしたけれど、相手にして貰えなくて
虚しくて、辛くて…
この場にあなたが居てくれたらどんなに良かったのになんて思ったりして
自分の気持ちを素直に表現出来なくて歯痒い…
あの気持ちを
あの痛みを
ほんの少し傷付いただけで怯む脆さを
こうして文章として書き上げ小説にした佐野よるさんは本当に凄いです!!
自分が思うこと
相手が思うこと
やっぱり、勇気をだして訊かないと、伝えないと
人間はすれ違ってしまう
でも、その歪みから拡がった「距離」を
「誤解」を
何よりも大切な人(相手)を取り戻せるかどうかは、その人次第。
大人になるほど一度ダメになった関係を修復するのは難しい。
だから、そっとするのもありだし
取り戻しにいくのもありだと思う
人間関係って繊細ですね。
素晴らしい作品でした✨
今のところ今年1です!
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住野さんも何作目かなぁ。
今回は大学生です。
2人で作った集まり{モアイ」があれよあれよ言う間に大きくなって
居づらくなってやめてしまった楓くん。
この楓くんが、恨みます。
一緒に始めた子を。
いや、一緒に始めたってより誘われただけなんだけどね。
静かに火を燃やしながら恨みます。
辞めてから2年半たって、就職決まって、
潰しにかかります、この「モアイ」を。
痛いより怖い。
楓が怖い。
ナイフよりも鋭利な見えない刃物で人を傷つける。
ストーリーより何より、楓が怖い。
最後に反省して、成長したってことになるらしいけれど
いやいや、怖いし。
その、なんていうの?
意識高い系っていうの?
もう、独りよがりで怖いんですけど。
意識の高い人に失礼よ!!!
んー、ちょっともう、おばさんはついていけないかなぁ。
という感じです。
モ:脆くて
ア:青くて
イ:痛い
だそうです。
上手いのか?これは上手いのか?
わからん。
個人的には「青くて、痛くて、恐ろしい」だったよ。 -
青くて痛くて脆い。主人公のことですね。途中まで共感もできなくて、読むのが苦痛でしたが、ラストの方で自らの愚かさ(?)に気づいたあたり、言葉を駆使して主人公の気持ちを説明するあたりが、よんでいてやっとスッとしました。
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理想論を堂々とぶちまける、秋好のイタさとか。
だれにも一定の距離を保つ、田端のスタンスとか。
それぞれの大学生の、繊細な心中がこまやか。
理想をもって始めた秘密結社〈モアイ〉の行く末と、ふたりのすれ違い。
タイトル通り、まさに青くて痛くて脆い青春小説。
ほろ苦かった。