青くて痛くて脆い

著者 :
  • KADOKAWA
3.31
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本棚登録 : 789
レビュー : 85
  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041052068

作品紹介・あらすじ

就職を来年に控えた大学生の「僕」は、今はなき彼女がついた嘘を真実にするため、社会に対して叛逆を企てるーー。青春の終わりの痛みと煌めきを描いた、著者渾身の新境地。

感想・レビュー・書評

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  • 今回、主人公が大学生男子ということで少しオトナになった青春の痛みやもやもやがどんな風に描かれているのかとても楽しみだった。今までの住野作品だと、読み始めてすぐから主人公に感情移入してどっぷり浸る感じだったけれど今回は主人公に同化するのに少し時間がかかった感じ。
    タイトル通り、主人公の4年間は青くて痛くて脆い日々で、もう、本当に読んでる方も「痛くて脆」くて辛かったね。
    住野さんらしいひっかけも健在で、あぁ、なるほどそういうことね、とにやにやしながら読んだけど、なんとなくちょっとイタ過ぎて読んだ後のカタルシスが足りなかったかな、という気も。
    それでもそのイタさが今回は読者層を広げる形になるのかな。

  • 待望の住野よるさん最新作。
    『膵臓』というタイトルにひいてしまい、最初は手に取らなかったデビュー作。
    でも、やはり気になって読んでからは彼女の大ファンになった。
    (女性と思い込んでいました)
    次に好きなのは「また、同じ夢を見ている」ラストが私にとって完璧だったので。

    そしてこの5作目ですが、期待は裏切られました。
    いい意味で。
    自分の好きなものと同じものをねだる子供のような期待をしていた感は否めない
    私をさらりとかわし、人に見せたくない部分をえぐり、さらすことで
    タイトル通り、青く痛い自分と向き合うこの作品。

    間違いなくたくさんの人にオススメできる、読んでほしい良作だと思います。
    特に特に若い人に。そしてそれは達成されるでしょう。
    痛いですよ。それは、当然なのです。
    表面だけを繕うものではないのですから。この二人は私の中にもいる。二人同時に。
    そして私は、彼女…ではなく彼の次回作をやはり心待ちにするのです。

  • 住野さんも何作目かなぁ。
    今回は大学生です。

    2人で作った集まり{モアイ」があれよあれよ言う間に大きくなって
    居づらくなってやめてしまった楓くん。

    この楓くんが、恨みます。
    一緒に始めた子を。
    いや、一緒に始めたってより誘われただけなんだけどね。
    静かに火を燃やしながら恨みます。

    辞めてから2年半たって、就職決まって、
    潰しにかかります、この「モアイ」を。

    痛いより怖い。

    楓が怖い。
    ナイフよりも鋭利な見えない刃物で人を傷つける。
    ストーリーより何より、楓が怖い。

    最後に反省して、成長したってことになるらしいけれど
    いやいや、怖いし。
    その、なんていうの?
    意識高い系っていうの?
    もう、独りよがりで怖いんですけど。
    意識の高い人に失礼よ!!!

    んー、ちょっともう、おばさんはついていけないかなぁ。
    という感じです。

    モ:脆くて
    ア:青くて
    イ:痛い
    だそうです。

    上手いのか?これは上手いのか?
    わからん。
    個人的には「青くて、痛くて、恐ろしい」だったよ。

  • 好きな作家の作品のため楽しみにして読みました。
    今回は大学生が主人公の話ということで
    バイトやら就活やらサークルやらがメインの話で
    社会人暦の長い自分としては懐かしく読みました。

    主人公が思いを寄せる人物が既に他界しているかのような
    ミスリードがありますがなかなか上手いです。
    主人公の独りよがりな考え方とか俯瞰している読者には
    非常によく分かり、段々感情移入が出来なくなってからの
    最後の主人公の内面の変化が心地良い感じでした。

  • 彼がそうあるべき真理と信じて疑わないところ。そう正当化しないと立ち行かない心。もはや突き動かされ止められない自分。
    だって、わたしは正しいことをしているんだもの。
    全部知ってるから、自分を突きつけられてるようで、痛々しい。
    タイトル以外の言葉が見つからない。

  • 住野よるさんの最新刊!

    ええ、そうですとも!真っ先に買いましたよ&読みましたよ!

     今までとは違って、なんと舞台が大学生活です。ちょっと進化した(笑)

     モラトリアムな一匹狼の男子、楓(かえで)が、大学生活で初めてであったちょっと痛い女子、秋好(あきよし)と、「モアイ」というサークルをつくる。
     でも、モアイはどんどん変節し、秋好は失われ、楓はモアイを離れる。
     そして、大学4年生になり、楓はモアイの理想を取り戻すための復讐をはじめる!

    以下、お笑い芸人の山里亮太さんのレビューがとっても良かったのでそちらでどうぞ。▽

    「そこからは胸が苦しくなって、自分に重なるものを見つけては辛くなるし、走り続ける楓と同じ方向の苦悩をする。僕たちが一番戦っている相手は、こんな自分をどう処理したらいいんだろうってことなんじゃないか。自分にレッテルを貼って相手を敵とみなし、戦うことで逃げていたんじゃないか。人を傷つけていたことにも周りが手を差し伸べてくれていたことにも無自覚だった自分にじんわりと気づいて、シンクロ率がとんでもないことになっていく。これはただの青春モノじゃない。大学生の話として読んでいるはずなのに、あの頃を振り返るようにじゃなく、自分の今の状況や周りの人をうっすら重ねて読んでしまう。こんなに本の中に入って、感情を動かされ続けたのは初めてだった。」

     理想を掲げた集団が変節する。リーダーが変わってしまったような気がする。
     でも、本当は何も変わっていない。
     変わったのは、自分の自意識だけ。
     そう、実はひとりで、戦っていたのは、自分自身なんだ。

     そんな姿を、住野よるさんはみせてくれます。

     痛い小説です。でも、救いはあります。

  • すごい本だったー

    最初の方は、大学生ってそうそうこんな感じ〜懐かしいなーとか思って。そしたら大学の頃の友達、夢に出てきたし。笑

    後半は、私も覚えがあったよ。
    大切にされるべき人から軽んじられたときに感じる怒り。
    自分ばかり傷ついて損をしてフェアじゃないという気持ち。
    どうにかして相手を苦しめたい、相手にも傷ついてほしいという執着にも似た復讐心。それは止められなくて、やってしまって初めて気づく、「まずいことをした」。

    でもそうやって人は学ぶよね。
    あ、ここまでだ。みたいなライン。
    ここを越えたらまたやっちゃう。後悔する。もうこの先には進めない、みたいな。
    それをどういう形で知るかは人によるけどさ。私だけかと思ってたよ。しかしみんなこういう経験してるんだね。

    そして最後のびっくりは、
    男女の違いなのかな。パーソナリティの違いかな。
    私はもう絶対何が何でも相手とは会いたくないし、連絡も取りたくない。話したくもない。恐怖。
    だから最後の終わり方、すごいなって思った。主人公メンタル強いし、なんかほんと、、、青くて痛くて脆いわって思った。

  • 初出 2017〜18「文芸カドカワ」

    人との距離を保つことに過敏な大学1年生の田端楓は、授業中に理想論を繰り返し発言する「痛い」秋好の純粋さを持て余しながら、誘われて、なりたい自分になるための「モアイ」というサークルを二人で立ち上げた。

    参加者が増える中で疎外感を感じた楓が途中で抜けたモアイは、その後就活のためのOBとの交流サークルと化し企業がスポンサーについくまでに発展していった。
    4年生になった楓は、秋好が「いない」今、当初のモアイを取り戻したいとモアイ破壊工作に乗り出す。

    ところが、196ページ目の衝撃!
    そして、思ったとおり最悪の結末。
    そこで楓はようやく気づく、自分の弱さに。

    5年後、楓が大学の就活サークルに招かれ、「学生時代に学んだことは、大切な友人を傷つけて後悔したことで、今、人に対して誠実でいようする自分がある。」と語る最後の場面にはほろりとさせられる。

    大切な人を傷つけた自分を葬りたくて、周囲の人には自分のことを忘れて欲しいと思い、過去を切り捨ててきた私には、「逃げてきた」ことを突きつけられた作品だった。

  •  住野さんの本を読むと、いつも瑞々しさを感じるのは、きっと、自分たちがずっと昔に置き忘れてきたその頃の心をしっかりと持っているからだ。
     今回も心の奥底にあるものをギュッと握られるような切ない思いにとらわれながら読み終えた。

     大学1年生の楓は、ちょっと痛い女、秋好と出会う。秋好は『みんなが幸せになれる世の中』を目指し、『モアイ』なるサークルを作った。部員は秋好と楓。初めのうちは、写真展を見に行ったり、そんな活動だけをしていたが、やがて人が人を呼び、巨大な組織へとなっていった。
     そして、考えのズレを感じた楓はモアイを抜けることに・・・。それから3年後、秋好がいなくなった世界でやり残したこと。今のモアイを変えようと楓は立ち向かうことを決意して・・・。

     内容が良いとかじゃないんですよね。住野さんの場合。まあ、悪いわけではもちろんないけれど。それでも一番の魅力は心に突き刺さる透明感というか、本当に心をギュッとされているような感じ。ピュアだった頃の自分を思い出させてくれる、そんな数少ない作家さん。今後もそういった作品を描き続けていっていただきたい。

  • あまり感情移入もできなかったし、同じ立場だったらと考えることもできなかった。ただ、思い込みやすれ違い、嫉妬や憐憫や痛さや脆さというのは誰もがいつかどこかで感じるものだから、いつ誰が読んでもいいと、逆に言えるのかな。

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