- 本 ・マンガ (194ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041052389
作品紹介・あらすじ
元男で性同一性障害の作者・小西真冬が女性の身体になるために、性別適合手術を受けた実体験を描く! ありとあらゆる痛み・苦悩を赤裸々にポジティブに再現した、異色のエッセイ漫画が登場!
感想・レビュー・書評
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おもしろかった
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正直これを読んで性別適合手術をしたいと思わなくなった。
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LGBTQの本棚から
第13回 「生まれる性別をまちがえた!」
今回紹介するのは
「生まれる性別をまちがえた!」
というトランスジェンダーのMtF(男→女)の漫画家さんの描いた実録漫画です。
LGBTの中でも特殊なのがTのトランスジェンダー……。
他のセクマイ(セクシャルマイノリティの略です)とは違って、手術が必要な場合があるからです。
手術というのは主に性転換手術のことで、通称SRS(Sex Reassignment Surgery)と呼ばれています。
直訳すると
「性別・再割り当て・手術」
といってもトランス全員が完全な手術を望んでいるわけではなくて、服装だけ変えられればいい、という人や、胸の手術(とったりつけたり)だけでいいという人もいるので、トランス=手術、というわけではありませんので、トランス……ああ、手術するのね、と早合点しないでください。
一人一人、事情は違う、としかいいようがないのです。
でも、もし完全な性転換手術を望む人がいたら、オススメなのが、今回紹介する
「生まれる性別をまちがえた!」
です。
この漫画はMtFの漫画家さんが実際にSRSを受けた時のことを描いた実録漫画です。
ネットや本でSRSの手順はわかっても
「実際どんな感じなのかわからない…」
「タイでの手術が主流らしいけど…?」
「術後の経過とかを知りたい」
なんて人におすすめです。
作者さんがあとがきで
「同じ境遇の方には参考になるように、そうでない方にはそうなんだと思っていただける作品を目指しました」
といっているように、当事者はもちろん、何も知らない人でも読める本だと思います。
なので、自覚したてで何もわからないトランスの子も読みやすいし、自分の子どもがトランスだった!という親御さんも読みやすい……!
学校の先生だって読みやすいし、会社の人事担当の人も読みやすい……と思います。
特にトランスの子どもたちにはいい本だと思います。
なぜならトランスの子どもは、少なからず
「生まれる性別をまちがえた」
と思っているからです。
そしてその間違いを正そうとして間違った行動に出てしまうこともあるからです。
例えば自分の意志に反する身体の成長を止めようとして、食べることを拒絶したり、身体が女の子なら、大きくなる胸を過度に押さえつけたり……。
そんな時に
「身体は望む性別に変えられる」
ということを知れば、そういった行動に走らなくて済むかもしれません。
「自分はもうどうしようもない、これから一生自分を殺して生きていくんだ……」と絶望してる子にも、一筋の光になるかも……。
逆に、小さい子のなかには(子どもなので)大きくなったら男の子になれるんだ、女の子になれるんだ、と漠然と思っている子もいるので
「手術しないと望んだ体にはなれない……」
というのはショックかもしれません。
なので中学生からのほうがいいかもしれません。
最近は小学生の成長が早いので、小学校高学年からもいいのかな…?
そのあたりは司書さんや図書館の先生、養護の先生などに、判断していただきたいです。
難しいですが……。
とりあえず、文章で読むとわかりにくかったり難解だったりするSRSのことがわかりやすく描かれているので”知る”ことはできます!
知ることで前向きになれるかもしれないし、逆に混乱することもあるかもしれないです。
でもそれはトランスに生まれた以上、多かれ少なかれ避けて通ることはできませんので、周りの大人が支えてあげて下さい。
そうして、支えてあげるためにはやはり相手のことを知っていないとできませんので、子どもの回りにいる人には、ぜひ読んでおいて欲しい一冊です!
2017/07/18
小西真冬の作品





