無貌の神

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 99
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041052693

作品紹介・あらすじ

貌のない神は、喰う――。赤い橋の向こう、世界から見捨てられたような禁断の地にさまよいこんだ私。
かの地の中心には、顔のない神が坐して、輝きを放っていた。万物を癒やす力を持つその神には、代々受け継がれている秘伝の奥義があった。そのことを知った私がとった行動とは?(「無貌の神」)デビュー作『夜市』を彷彿とさせる表題作ほか、生きることにつきまとうやるせなさをあぶりだしながら、時代も国籍もジャンルも縦横無尽に飛びこえ、自由闊達、神話的な語りの境地をみせる傑作ブラックファンタジー全6作!

感想・レビュー・書評

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  • 「無貌の神」「青天狗の乱」「死神と旅する女」「十二月の悪魔」「廃墟団地の風人」「カイムルとラートリー」の6篇収録。

    この中では、パラレルワールドをデザインする時影とその他手足となって邪魔者を殺害する少女を描いた「死神と旅する女」が、まあよかったかなあ。ただ、全体的に今一だった。期待してただけにちょっとがっかり。「カイムルとラートリー」は中篇にして描き込めばもっと面白くなったかも。

  • 6つの短編集。
    どれも怖面白い。
    77人日本刀で斬る12歳の少女の話がとても印象的。「死神と旅する女」
    「廃墟団地の風人」も好き。
    私は重いから空に帰れない。
    重さは、体重計に乗った時の針の位置ではなく、存在としての重さ。地上に対する未練、執着、想い。
    カイムルとラートリーも壮大なファンタジーのような感じで良かった。

    恒川光太郎さんの「夜市」「秋の牢獄」が大好き。

  • ここではないどこかの話にひきこまれる。ハッピーエンドではない話もあるのに読み終えて全てスッキリした気持ちになる。最後の話があれで良かった。爽やかに読み終えた。

  • 掴みどころのない感じの短編6篇。

    ・よかった編
    「カイムルとラートリー」
    純粋な少女と幼獣が全編通して絵になるなぁと。
    ラートリーさま、鬼退治の後、あっさりダイジェストにしてしまわずもっと二人の交流を描いてくれてもよかったのですが。

    「無貌の神」
    表題作。食べてしまったら戻れないっての古事記みたい。閉塞感が強くて救いのないエンドっぽけど、それでも抗ったことに意味がないわけじゃないと思う。話の筋より描写の上手さ、気持ち悪さ愚かさ寂しさとか皮膚感覚が一番強くて夢に出そうだった。

    ・よくなかった編
    「十二月の悪魔」
    実際が妄想でも軟禁でも、どっちにしろ希望がなくて読んでて悲しくなった。怖い話なら突き詰めてドーンと落としてくれた方がすっきりするんだけど、薄い描き方してるのでモヤが晴れない感じ。

    <総評>
    詩情というか趣のある文章でやっぱ上手だなあと。ただ同じ短編の「竜が最後に帰る場所」と比べると、フワフワして細部エピが少ない?ので物足りなさはあるかも。

    あと最初抽象画?と思った装丁は九尾の狐らしい。狐出た編なくないか?いや常識とか嘲笑う怪異の雰囲気はあってるけどそれなら真っ黒い無貌の神絵とかしてくれたらよかったかなあというのも残念ポイントひとつ。

  • 各短編が始まるたびに、ホラーや童話のような異世界の色気に飲みこまれる。それを語る凛とした文章も、すぐ隣にあるような現実感の芯を通していて魅力的。
    表題作に加えて『青天狗の乱』『カイムルとラートリー』が特にお気に入り。

  • 久しぶりに恒川さんの本を読んだけど、相変わらずあっという間に不思議な世界に連れてってくれる方でした。
    短編はいつも物足りなくて苦手なのが多いんですが、恒川さんの本は内容が濃いせいか、全然物足りなさを感じた事がありません。
    不気味だけど、素晴らしかったです。

  • いつもの恒川ワールドが感じられる、安定した短編集だった。異世界でありながら、リアルさをひしひしと感じる、絶妙な描写がたまらない。

    「無貌の神」
    神と無気力な人々の話。面白かった。
    ある意味、理想郷ともいえるかもしれない。

    「青天狗の乱」
    幕末から明治初期にかけての混乱を
    面白い切り口で表現されている。
    異世界云々ではなく、あの時代は、
    今から見れば異常な世界だよな。。

    「死神と旅する女」
    タイムパラドックス的な話。
    時影の、人を超越しながらも、
    人っぽい感情があるのが面白い。

    「十二月の悪魔」
    SFのような話。
    これは、ちょっと印象に残らなかった。

    「廃墟団地の風人」
    母体不明な風人の話。
    よくこんな話を考え付くな、と思う。
    異世界というより、普通に人間が怖いと思う話。

    「カイムルとラートリー」
    気味の悪さや恐怖などはなく、
    少し不思議な美しいおとぎ話のような話。
    この話だけ見ると少し物足りないが、
    他の作品と連なる中にあっては、
    ほんの最後を飾るにふさわしい、
    後味の良い話であった。

  • 「無貌の神」(恒川光太郎)を読んだ。
恒川さんの作品を読むのはもう四冊目ではないか。

    六つの短篇
無貌の神
青天狗の乱
死神と旅する女
十二月の悪魔
廃墟団地の風人
カイムルとラートリー
    
ビターテイストです。
が、嫌な味付けではない。
(十二月の悪魔だけはちょっと好みではなかった)
    
スルッと読んでしまった。

  • 恒川さんの作品 初めて読みました。
    読みやすかった。

  • ちょっと現実とズレた向こう側の世界。
    その世界観が素晴らしい。
    私の好きな恒川作品でした。

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著者プロフィール

1973年東京都生まれ。2005年、「夜市」で日本ホラー小説大賞を受賞してデビュー。直木賞候補となる。さらに『雷の季節の終わりに』『草祭』『金色の獣、彼方に向かう』(後に『異神千夜』に改題)は山本周五郎賞候補、『秋の牢獄』『金色機械』は吉川英治文学新人賞候補、『滅びの園』は山田風太郎賞候補となる。14年『金色機械』で日本推理作家協会賞を受賞。その他の作品に、『南の子供が夜いくところ』『月夜の島渡り』『スタープレイヤー』『ヘブンメイカー』『無貌の神』『白昼夢の森の少女』『真夜中のたずねびと』『化物園』など。

「2022年 『箱庭の巡礼者たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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