濱地健三郎の霊なる事件簿 (幽BOOKS)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041052747

作品紹介・あらすじ

心霊探偵・濱地健三郎には鋭い推理力と幽霊を視る能力がある。事件の加害者が同じ時刻に違う場所にいる謎、ホラー作家のもとを訪れる見知らぬ幽霊の謎、突然態度が豹変した恋人の謎……ミステリと怪談の驚異の融合!

感想・レビュー・書評

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  • 霊能力を持つ心霊探偵が解き明かす七つの事件。
    怪談専門誌「幽」に連載された作品なので括りとしては怪談ものになるのだが、怖さよりも有栖川さんらしいミステリ要素を楽しめた。
    つまり霊現象はあるものという前提で、何故それが起こるのか或いは依頼人の話であったり事件にどう関わってくるのかという謎解きを楽しめる。

    探偵役である濱地健三郎が個人的には好みの、年齢不詳でプライベートも全く分からないミステリアスな存在なのが良い。ワインやアンティークに詳しいがそれ以外のことは分からない。言動は非常にスマートで淡々としているがその態度の端々には助手や依頼人、時には霊にまで気遣いを見せる。
    助手の志摩ユリエは元々漫画家志望だったというだけに似顔絵描きの能力で濱地を助ける。そのユリエも次第に霊視が出来るようになっていくのは元々持っていた能力が濱地といることで開花したのかそれとも突然の覚醒なのか。

    夫に女の霊が憑いている、壁に黒い孔が現れ引き込まれそうになる、前を通っただけで気味が悪くなる家、海へデートに行った日を境に自分に対する態度がひどくなっていく彼、同時に離れた二箇所に現れる男、子供が落ち着かなくなる屋敷、霊現象が起こる寺。

    濱地によると霊も人間も同じ。怒りもすれば悲しみもある、恋もすれば間違いも起こす。
    霊が何故そこにいるのか、何故その人に執着するのか、何を怒っているのか悲しんでいるのか、その理由や構図の種明かしが面白かった。
    しかしこんなことで憑かれる人間は堪ったものではないという話もあったが。

    敢えて濱地のようなミステリアスでスマートな探偵に淡々と謎解きさせることで霊現象の怖さや事件のやるせなさを際立たせているのかと思ったが、最終話では濱地にもそれまで葛藤もあったであろうことが分かってくる。霊現象という一般の人間には与り知らぬ世界が彼にはどう見えているのか、それまでどんな驚きや不安が彼を襲いどう受け入れてきたのか。
    まるで生徒に解き諭すようにユリエにその世界について語る濱地だが、ユリエが濱地にとって一つの支えになっていることも分かる。
    とは言え、濱地とユリエとの間には探偵とその助手以上の関係はなく一線を引いていている。ユリエに年齢すら明かさないのもその一つ。事件の方はともかく、シリーズ自体には有栖川さんらしく男女間のベタベタや煩わしさがない。

    あとがきによると濱地は『幻坂』に登場しているそうで、当時は『一回きりのキャラクターのつもりだった』らしい。
    『幻坂』は読んだが随分前のことなので濱地が登場していた事自体忘れている。そのうちに読み返してみよう。
    またこちらの作品も続編がすでに出ていた。そちらもそのうちに読んでみたい。

  • 短編集。心霊物は、、、と思い敬遠していた作品だが、読んだら面白かった。濱地とユリエのコンビが良い。

  • ホラーに入れるかミステリーに入れるか迷ったが、掲載されていたのが怪談誌なのでホラーに入れておく。心霊探偵なので幽霊が見えるという設定で、それをどう謎解きに生かすのかと気になって手に取ってみたが、なるほどそういうふうに利用するのかと面白く読めた。ただ、淡々としているというか控えめというか、展開に派手さはないので、活力がみなぎっているときに読むとちょっと物足りない。逆に密度の濃い小説を読んだ後で息抜きしたいぞというときにはいいかもしれない。

  • 短編集。
     心霊探偵濱地健三郎。年齢不詳。若くも見えるし、50代にも見える。助手の志摩ユリエ。元漫画家志望。その才能を生かした似顔絵が得意。もともと霊感はなく、好奇心で事務所に就職したが、本作途中からぼんやり感じることができるようになった。殺人者にとりつく女、ドッペルゲンガーを世装う双子、まるで生きているかのような亡霊など、霊感を使いながら事件を解決する。

     幽霊ものかーとドキドキしながら読んだけど、やっぱり有栖川作品。幽霊という枠を設定しながらも着実に推理してた。ただ、今回は心情的にもぐっとくる作品もあったなー。いつもはエンタメとしての本格推理を楽しんでいたけど。16歳の亡くなった少年が海水浴所でいたずらした話はぐっときたし、ラストの亡霊が探偵二人を呼んで相手してほしい、って話はなんとなく怖かった。

  • 心霊探偵・濱地健三郎には鋭い推理力と幽霊を視る能力がある。事件の加害者が同じ時刻に違う場所にいる謎、ホラー作家のもとを訪れる見知らぬ幽霊の謎、突然態度が豹変した恋人の謎……ミステリと怪談の驚異の融合!

    個人的に結構怖いが読んでしまう。濱地健三郎シリーズの1番目なので助手の性格設定・・・「私が支えるわ~」のやる気が満々が少々鼻につく。

  • 幽霊をみる能力がある心霊探偵・濱地健三郎の短編集。
    依頼される事件は見知らぬ幽霊の出現とかお化け屋敷、生き霊などだが、幽霊がみえるだけでは解決できないので推理で真相に至り、だいたいは穏やかに霊を諭して事件を解決する。
    ホラー要素もありつつも怖くはなく、軽妙で読みやすいが、探偵と助手のキャラに癖がなさすぎるのがちょっと物足りないかも。

  • 心霊現象ありきの中での、事件解決へのアプローチが新機軸で楽しく読めました。助手の存在がいい狂言回しになっていて、心霊探偵の底知れなさが上手く描かれている。「あの日を境に」が一番のお気に入り。「霧氷館の亡霊」「不安な寄り道」も好き。

  • 心霊的に解決した事件も、外向きに問題のない説明をしている、という展開が面白かった。常人にない能力で解決すると逆に疑われますものね……
    探偵と警察が持ちつ持たれつつというのは他のミステリにもあるけれど、心霊的解決を伏せるために刑事に手柄を譲ってる、というのがちょっと楽しい。

  • 濱地探偵事務所、ビルの隙間にそっとあるその事務所にいるのは、ある特殊な事例を扱う探偵である。彼が得意とするのは、心霊現象。濱地健三郎は心霊探偵なのである。急に具合を悪くした夫の夢枕に立つ見知らぬ女、ある日を境に態度を変えた恋人の秘密、その家の子どもだけが見る不気味な存在。それらの事象の側には、謎が眠っていた。

    有栖川先生の新しいシリーズ。シリーズになってほしいなー心霊とミステリが程よく混ざって良いバランス。たしかにこうすることでしか書けない謎もあるもんだ。あんまり怖すぎず、ダンディな濱地先生に私も会ってみたい。心霊現象には会いたくないけど。

  • 心霊探偵が主人公の作品。風変わりな設定だがミステリらしさはちゃんとあって、おもしろく読んだ。

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著者プロフィール

1959年大阪生まれ。同志社大学法学部卒業。89年「月光ゲーム」でデビュー。「マレー鉄道の謎」で日本推理作家協会賞を受賞。「本格ミステリ作家クラブ」初代会長。著書に「暗い宿」「ジュリエットの悲鳴」「朱色の研究」「絶叫城殺人事件」など多数。

「2023年 『濱地健三郎の幽たる事件簿』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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